飯島米俵マラソン2019、10キロの重さ

出だしから、アキマへン

 

午前11時、10キロレーススタートを告げる号砲。
わきあがる歓声。
ここは飯島米俵マラソン会場、11月24日。

ところが、うまく走れません。
スタートダッシュ、ぜんぜん無理です。
足が思うように、前に出てゆかない。

いえ、故障中、というわけではありません。
まるで悪夢をみているよう。
でも、現実なんだ、コレは。

今日のレースは、キツい、いえ、重い。
背中に10キロの米俵をかついで走る、米俵マラソン世界大会。

世界にたったひとつだから、今回から「世界大会」と名づけたそうな。
ああ、ついにこのわたしも、世界大会に出場するランナーの仲間入りか。
灌漑深いものがあります。

ところが、世界大会出場といいながら、このていたらくは何ごとか。
マラソンになっていない。
走っていない。
1キロを経過して、ラップは8分33秒
やはり、歩きじゃん。

 



スタート風景。すでに集団から離されています。ほぼ最後尾

 



前方は、すでにマバラ。あやしい光景が広がっています。

 

こめのしまの原風景

 

こめのしま」ともよむ「飯島町」。
南信州のおいしい水と肥沃な大地がはぐくむ理想郷。
むかしから、おいしいお米の産地なんだそうです。

お米といえば「たわら」です。
収穫したお米をつつむ袋です。
そう、1俵が60キロで、お米の単位にもなっていました。

ところが、近代化は、お米の容れものも変えてゆきます。
いまは、ジョーブな紙袋
たわらの伝統も、作り手もいなくなっています。

そこに「待った」をかけたのが、この地方の俵職人
いまも、俵細工をつづけています。
大相撲の土俵の俵も、ここの職人の手になっているのだとか。

その俵をかついで走るマラソン大会をしよう。
おもしろいことを考えるひとがいるものです。

俵の重さは、1キロ、3キロ、5キロ、10キロの4部門があります。
おっと、手ぶら部門も、ありますから、全部で5通り。

走る距離は、3,4キロ、5キロ、10キロの3部門。

 



スタート会場。パッと見、トレラン会場みたい、かついでいるものが違うけど。

 

性格ですか

 

米俵マラソンを、走るぞ。
さる恩のあるかたに教えていただいた、この大会。
ぜひ、走りたくなりました。

では、どの部門を走ろうか。
そりゃ、1番長い距離を、1番の重さで走ってやろう。

思い起こすのが、わが故郷に伝わる舌切り雀伝説。
スズメのお宿で一晩お世話になった翌朝のおみやげ
小さいツヅラ」と「大きいツヅラ」のどちらになさいますか?
もちろん、大きい方に決まっているでしょ、ワッハッハ。

うん、ごうつくジイさんの発想でしょうか。

さて、出場を決めたごうつくジイさん(わたしね)。
どんな格好で走りましょうか。

米俵は、見えてさえいれば、持とうが、かつごうが、背負おうが、どんなスタイルでも結構なようです。
ならば、コレ。

すいません、目新しさなし。
校庭の聖人、二宮金次郎さんに決定。

 



自作の背負子に、10キロの米俵を装着。カッコいいなあ。けど、重い!

 

金次郎さんは、勉学にいそがしんじゃあ

 

小屋を引っかきまわして、集めた材料。
作っただけで、まだ使ってみない背負子(しょいこ)
今回も、ぶっつけ本番です。

はたして、10キロの重さに耐えかねて、途中で分解しないだろうな。
それが、心配の半分。

のこりの半分は、自分の方が、途中で分解しないかな。

肩にかかる重さは、かなりのものがありました。
くわえて、二の金チャンに変装して、2時間以上も会場でみんなと談笑。
スタート前に、肩はけっこうこたえてきました。

そして、いざ出走。
やはり、走れません。
おまけに、本をもつと、うでも振れない。
また、いつもの、いいわけのオンパレード。

そんなアホにも、沿道の声はやさしい。
ガンバレ、金次郎。
金ちゃん、しっかり。

声援に応えていると、なかなか本に集中できません。

出だしから、集団には、離される一方です。
うしろは、とふり返ると、最後尾車の軽トラが。

ほぼ、完全のひとり旅
目立つ。
ぎゃくに、だから声援は、すべてボクに集まってくる。
ダントツでトップを走るランナーも、こんな気持ちになるのかな(いや、ちがいます)。

 



まちの中。すでに最初の折りかえしをくるランナーたち。速いね。

 



声援にこたえて、本に集中できていません。前後にランナーおらんし。

 



やがて、町をぬけてゆきます。前のランナーは、視界にはひとり

 



 

すぐにはじまる、クネクネののぼり坂。

 

レースは、夢の中

 

レース前半は、町の中です。
たぶん、繁華街。
老若男女、たくさんおられます。
声援も、多彩。
チビッコもいます、まだまだ安心。

後半にはいると、一転のぼり坂が待ちかまえています。
沿道に、人かげがなくなります。
すると、はや折り返してくるランナーが続々。
その、ほぼ全員とエールの交換
なんだか、山歩きみたいな、ホンワカとした交流。

のぼりつめると、南信州の自然を一望できる高台へ。
東にみえる山々には、紅葉が真っ盛り。
折りかえして、せまってくる西の山のいただきには、はや雪景色。

 



東の山並みの紅葉にうっとり。ランナーにゲラゲラ。

 



給水所は、明るく熱い。「どっから来たの?何してんの?」質問の嵐。なにせ1対10看護(ランナー1名に、ボランティア10名体制)。

 



正真正銘の最後尾車。ギブアップしたら、背中の俵だけは荷台で運んでくれるとか

 

すると、ゲストランナーの柏原竜二さんが、3キロの俵を背負って迫ってきました。
30分後のスタートの組から、もうここまできています。
さすが、山道どうということなしの、山の神

驚いたのは、走りながら、サチュレーションモニターを指にはさんで計測をしている。
酸素飽和度心拍数が同時にはかれるすぐれもの。
そうか、神サマは、こんなハイテクも利用するんだ。

 



さっと、追いこしてゆく山の神。笑顔がサイコーでした

 

じつは、仮装ランというのは、ゴールがもったいなくなります。
もっと、もっと、走っていたい。
だって、声援がちがうもの(と、独り合点)。

そんな気持ちのゴールでした。
1時間35分10秒(距離10キロ、俵10キロ部門)。
順位が、ちょうど100番、というのもうれしい。
たしか、この部門は全部で100人がゴールしたみたいです、テへ(未確認情報)。

そして、みごと完走者には、かついだ重さの新米がいただけます。
予は満足じゃ。

 



みごと100番でゴール。終始、緊張感を欠いて、モーしわけございません

 



うしろに誰も写っていないからって、何よ



ゴール後には、かついだ米俵(砂が入っています)と、同じ重さの新米がいただけます。

 

 

たーさん
信濃路を 俵かついで 大爆走

 

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