ハイソ、それとも
日本にはまだ、というか、いぜん階級思想がのこっています。
いえ、日本だけじゃありません。
人間は、複数つどえば、階級をつくる。
太古の世界から、かわりはありません。
もっとも、これは人間界に限ったことではありません。
動物の群れでも同じです。
サルの集団。
犬の社会。
さて、ハイテクハーフマラソン大会。
都心のおおきな規模の大会です。
たくさんのランナーが、1本の荒川河川敷を走る。
どうしても無理が生じてしまいます。
というので、2つの階級にわけました。
上流階級組と、下流階級組。
それぞれが、3組にわかれて、15分おきの時差スタート(ハーフの部)。
いえ、実際は「階級」はついていません。
前者は、上流に向かって走り、Uターンしてもどってくる組。
後者は、下流に向かって走り、Uターンしてもどってくる組。
両者は、ゴール以外、顔をあわせる場面はありません。
しばしば風は、川の流れにあわせて吹いています。
河川敷をのぼって向かい風、とくだって追い風。
前半しんどいか、後半キツくなるか。
わたしは、下流組にふりわけられました。
たしかに、そうだよな。
どうみたって、上流階級じゃない。
いえ、だから「階級」はつかないって。
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下流組、第2弾。つまり、わたしの入るチーム。先頭集団にはピンク系シューズが多い。
寒さ対策
天気予報では、当日は、つめたい雨予想。
そこで、雨対策を考えてきました。
雨ふる ふるさとは はだしで歩く。
そうよんだのは、わたしの好きな種田山頭火です。
雨ふる レースは はだしで走る、ってか?
しかしなんとか雨はふってこないようです。
それでも、陽ざしのないぶん、寒さはつのります。
冬のレースは、寒さ対策が成否をきめる。
だって、ガンガン走って、寒さをけちらすようなランナーにはなれません。
短パン、ランニングシャツ。
足もとは、ピンクの厚底シューズ。
そういった、ちょっと近づきがたいランナーも見うけました。
ちがう世界の方です。
結局、長ズボン(ジャージ)。
長ソデ、手ぶくろ。
と、いつものご近所ランニングスタイル。
くわえて、ここが大切、ランナーズ腹まき。
そういえば、くだった先は、葛飾柴又。
ランナーというより、寅さんスタイルというべきかなあ。
足もとは、くつ下にワラーチを想定していました。
が、結局は、ハダシにワラジ。
ああ、やっぱり下流階級じゃん。
ともあれ、保温を第一。
そういう、お年ごろです。
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これだけ見ると、レースの格好じゃない、かも。
ゆきは、くだり
コースは、迷うことはない、単純ルートです。
まっすぐに河口に向かって流れる荒川に沿ってくだる。
10キロ半いって、もとの場所にもどる。
そう、下流組です。
そのなかの、第2組。
レース前半は、左手に荒川をのぞみながら、くだる一方。
わが人生と重ねあわせてのスタートです。
集団の後方にいましたが、いがいとみなスタートダッシュ。
意識高い系のランナーが多そうです。
とにかく、くだる。
無風(じつは背中からの追い風)。
いつもより、飛び出しちゃっていますかね。
わたしは最近、走っている間は、腕時計を見なくなりました。
呼吸にあわせて、すすむだけ。
はるか前方には、スカイツリーが見えるはずですが、どこにあるのかな。
沿道は、お天気もあってのことでしょう。
ほとんど応援の方は、マバラです。
静寂。
気持ちよく、折り返し点まで、やってきました。
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半分走ってUターン場面。あと半分。空は、ドンよりですが降ってはこない。
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Uターンしてから見る光景。荒川河川敷は、広いなあ。
かえりは、来た道
平行棒というのがあります。
体操競技のはなし、じゃありません。
リハビリ室にある、両側に手すりのついた、5メートルほどのみち。
片側から入り、むかって進む。
いきついたら、Uターンして、またもどる。
入院中の、あるオバーさんがいました。
平行棒の中を、先まですすむ。
「じゃあ、もどってきてください」
「もどすくらいなら、最初から行かせるな」
はい、そのオバーさん、無事に家に帰ってゆきました。
一番よかったのは、「根性」だと思います。
半分走って、上流に向かう。
とたんに、向かい風を感じはじめる。
ま、この日は、比較的しずかな風です。
コースは、来た道。
もう、わかっています。
あとは、「上流へ」と「向かい風」というコトバの重圧。
ここで必要なのは、やはり「根性」かな。
それとも、「集中力」かな。
そんなことを考えながら、ニヤニヤ走りつづける。
ちょっと、アブナイ。
軽いのぼり坂。
わたしは、意外に好きです。
いつも、走っているし。
なぜか、いちばん腰が入る気がするんです。
ヨレヨレゴール。
1時間48分28秒(ネット)。
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ゴール地点。空は相変わらず、ドンヨリ。じっとしていると寒くなります。
ハイテクは、何を生むか
近世の歴史は、ハイテクを追求する道。
2本足は、やがて自転車を考える。
そして自動車をつくりだす。
いつの間にか、電車網をはりめぐらす。
空を見上げれば、飛行機。
歩かずに移動ができる時代になったのに、なぜかのランニング・ブーム。
しかし、そこにもハイテクは目をつけます。
プレートの入ったシューズ。
日常の訓練にも、体をあやつる、さまざまな運動機器。
当マラソン会場では、高圧酸素、低圧酸素の効用を説明するアナウンスが流れていました。
さすが、ハイテクマラソン。
一方で、わたしの探求先は、江戸のカラダ使いです。
ひとからハイテクをはぎ取ったとき、どう動けるのか。
上流にむかう流れのなかで、下流にすすむおバカさん。
年寄りはローテクで生きるべきか、若者を凌駕するハイテクをまとうべきか。
でも、いつの日にか、いい融合ができたらいいな。
そのためにも、みんなが上流に向かわなくてもいいのかもしれない。
ハイテク会場をあとにすると、庶民のまち赤羽。
道にイスをだして、昼から一杯やっているひともいます。
下町感あふれる路地を、赤羽駅へと向かいました。
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レースを終えたランナーたちでにぎわう会場。人手は多いです。
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赤羽商店街。下町の情緒が満ち満ちています。
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参加賞の長そでTシャツ後面。どー見ても、ギョーカイ関係者風。地下タビはいて、これを着ていたらランナーじゃない。
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ローテクで 下流に向かいながら 考えた
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