いねむりランニング(1)

水戸街道ジャニーラン2023

 

あの感覚は、何だったんだろう。
そういうものを、もった経験はありませんか。

あとから振りかえってみると、じつに不思議な経験。
どう表現していいものやら。
何より、どうしたら再現できるだろう。
簡単にはゆかないぶん、よけいに神秘的なものになってゆきます。

そういうものを、水戸街道ジャニーランで経験しました。
ときに2023年11月。
東京後楽園(旧水戸藩江戸屋敷)から、茨城県の水戸城までを走る第一回大会。
走行距離は、130キロです。

土曜日の午前10時に、江戸をスタート。
ぼくの足では、一昼夜はフルにかかる距離です。
実際に、25時間弱を要しました。

ふつうのウルトラマラソンは、明け方にスタートします。
そして、夜までにはお開きとなります。
ところが、これは、そうにはまいりません。

 



 

夜のとばり

 

問題は、夜です。
はい、夜は、ネムネムの時間です。

わたくし、夜は苦手です。
よい子は、早寝早起き。
べつに、よい子じゃありませんけど。

それなのに、夜を徹して走りつづけるわけです。
とうぜん、眠くなります。

眠いなら、寝ちゃえばいいじゃないか。
ただし、寝ちゃえば、制限時間内にゴールすることはかなわなくなります。

くわえて、11月も後半時期時期です。
うかつな野宿は、寒さできびしい季節となっています。

ということで、レースに対して、少しの不安がありました。
少し」しかなかったのは、少ししか、考えていなかったからです。
あとは、眠くなってから考えればいいじゃないか。
得意の、問題先送り思考。
キホン、ノー天気です。

スタートしてからの明るいうちは、東京の町の中を走ります。
大都会です。
少しずつ、下町に入ってゆきますが、やはり都会。

ところが、だんだんと人里離れ感が、かもし出されてゆきます。
くわえて、水戸街道というルートです。
車の行き来もおおい、新しいバイパス路は通りません。
すべて、「」の水戸街道です。

うねうね。
高低差も、なかなかあります。
何より、住んでいる人がいなくなっています。
ワビサビ感、ハンパなし。

やがて、秋のつるべ落とし。
夕刻時、小さなお月さんがでましたが、すぐに沈んで漆黒。
星だけは、まぶしかったですが。

 



 

でも、走っている

 

たぶん、周囲は畑か林です。
そういう区間が、ふえてきました。

人家なし。
とうぜん、街灯もありません。
車の通りもありません。

そんなさみしい道を、時間としては、午前3時をまわったころでしょう。

足もとが、ふらついている。
一応、走ってはいますが、あきらかにチドリ足。

ときどき、ハッとしますが、またフラフラ
眠くなったら、眠くなったときに対策を考えよう。
そういう作戦は、無理だと察しました。
考えは、何もうかばない。

ただ、ただ、ボウっとしている。
でも、走っている。
スピードは、わかりません。

あきらかなのは、歩いてはいない、ということです。
ちゃんと、走っている。

ああ、いま寝ながら走っているかも。
ボンヤリと、そう感じてはいました。

そういう時間が、すぎてゆきます。
26年余りのラン生活で、はじめての感覚。

 



 

あらためて、今

 

たしかに、あのとき、眠りながら走っていた。
いま、あらためて確信です。
そのときの、不思議な感覚。

それが、日ごとに大きくなってゆきました。

だって、寝ながら走っているんですよ。
走りながら、眠れるんです。

眠る。
いまの寒い季節、フトンの中は天国です。
ヌクヌク、ぐっすり、いやあゴクラク気分。

そんなゴクラク気分で走れるって、なんて素敵なことでしょう。

走りを修行のようにとらえるランナーがいます。
タイム更新に、必死のランナーがいます。
すばらしいことです。

ただ、走りが、すべからくそういうものではない、という気もします。
とくに、わたくしのように、もはや記録更新、無駄なあがきみたいなお年になると。
別の、楽しみ方もある。

そのひとつの究極の走り方。
それが、寝ながら走れるワザじゃないでしょうか。
夜行列車の旅みたいに。
努力の対極にくる発想で、はなはだ申しわけございませんが。

走っていれば、だんだんと疲れてきます。
これは、とうぜんおきてくる生理的な反応です。
で、疲れてきたら、寝ちゃえばいいじゃん、走りながら。

うーん、我ながら名案だと思うのですが、いかがでしょうか。
そしてここまでくると、当然、寝ながら走れるカラダのしくみに関心が向きます。
はい、努力以外に、努力したがる性分です。

 



 

一体化

 

寝ながら走っているとき、意識は、ほとんどとんでいます。
少なくとも、どう走ればいいか、なんて意識があるうちは無理です。
フォーム、ピッチ、タイムなんてのがアタマをかすめているうちは無理です。
そうです、ある意味で、無意識化が必要。

車の自動運転の実証事件が進行中です。
それになぞらえば、走りの自動運転化です。
はんぶん無意識の下で、カラダが前に勝手にでてゆく走り。

自動化で、大切なものは、何でしょうか。
少なくとも、ギクシャクしない動きが必須です。
ギクシャクは、よぶんな意識をよびさまします。

ひとつは、カラダが一体化した動きではないでしょうか。
つまり、カラダは一つになった動き。

カラダは、どうすればひとつになれるか。
一体化できるか。
よぶんな力が入らずにすむか。

何か、いいアイディアありませんか?

まずは、ゆっくり、ゆっくり走ってみる。
いろんなヒントを集めてみたいです。
(つづく)

 



 

たーさん
いねむりラン できたら無敵 どこまでも?

 

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