遠足じゃないんですか
レースには、いろんなたのしみ方があります。
「いろんな」です。
世の中には、いろんなランナーがいるのですから、当然です。
ところが、です。
どうもこのレースは、事情がちょっとちがいました。
走りはじめて、そう感じました。
みんな、なんでそう急ぐの?
いや、ほかのランナーのココロザシは、いいです。
自分への反省。
勉強不足も、はなはだしい。
つい、多忙にかまけて、予習をまったくしてきませんでした。
英語の授業に、単語もまったく調べずにでるようなものでしょうか。
ブッツケ本番レース。
スタートまで、遠足気分でした。
だって、山を走るんだもの。
情報は、いろいろと、ネット上に掲示されていたようです。
まず、それをちゃんと読んでいない。
すると、どーなるか。
よおく、わかりました。
駐車場で出迎えてくれたメエメエさん
会場は、スポンサー企業も出店してはなやか。
スタートダッシュ
はい、今回は、全編、反省記です。
いま改めて、地図や高低表を見ながら、ふり返っています。
なにしろ、レース前に頭にとどめておいたのは、25キロくらいの距離かあ、ということだけでした。
累積標高って、のぼりの合計ですよね。
それが、1450メートルってことは、1キロ半ね。
そのくらいの認識でした。
何とかなるでしょ、ハーフマラソン(苦笑)。
スタートは、いまはやりの実力差ランク別の、時間差スタート。
とうぜん、最後の部の、しんがりで走り出しました。
余裕です、ここまでは。
スタート地点は、標高1000メートル。
ここから、2キロで、100メートルくだります。
トレイル、といいながら、まずはくだる一方。
という予備知識もまったくないまま、最後尾。
くだりだから、重力にのって、タラタラ。
すると前を走るランナーから、どんどん離されてゆきます。
最後から2番目のランナー(ぼくの前)にしてから、はやい。
みるみると、離されてゆきます。
ふつう、何人かのお仲間がいるものなのに、皆無です。
何じゃ、これは。
ま、いっか。
ビリでも、ゴールをめざすココロザシが大切なんだよ。
少なくとも、前にひとりのランナーが視界に入っていれば、道には迷わないはず。
すると、いつの間にか、うしろにランナーの気配。
なーんだ、まだ2人いるじゃないか。
にしても、この2人。
若くて、体力がありそうなのに、やけにスローペース。
「お先にどうぞ」
道幅は広いけれど、一応の気配り。
でも、抜いてゆかない。
なんと、最後部担当のスタッフでした。
最後まで、最終ランナーを見届ける任務だそうです。
うーん、さりげないプレッシャー。
最終組のスタートは、だんだん緊張感に欠けてきます。
なのに、だんだんと離されてしまう、奇想天外。
のぼり始める
スタート地点がゴール地点。
なので、のぼりおりの合計は、チャラです。
お金でいえば、貸し借りなし。
そんなお気軽気分のスタートもはや2キロ、相変わらず最後尾です。
うーむ、今回は、われながらテンネンすぎましたか。
さて、いよいよのぼりチャレンジが始まりそうです。
あとで見直したら、これから6キロはのぼりです。
その間に、600メートルあがればいい。
って、600っていうイメージがわきませんけど。
ここが、第一のお山のようです。
たしか、2つのお山をのぼりおりすればよさそうです。
そして第一のお山は、観光地でもあるようです。
一般道路をあがって、スキー場の斜面に入ってゆきます。
スキー場ですよ。
冬には、スイスイ、山は白銀とかいって、滑り降りる斜面です。
なんだ、スキー場じゃないか。
岩にハリケーンを打ち込んで、なんていうところではありません。
ところが、です。
スキー場って、こんな傾斜を本当に滑り降りるんですか。
はい、わたくし、ゲレンデスキーを一度もしたことがありません。
若いころ、歩くスキーはよくしました。
テレマークスキーとかいうやつ。
日光の戦場ヶ原が、大好き。
あそこは、平らだったのに。
のぼるにつれ、トンデモな傾斜にゼイハー。
車道から離れて、スギー場斜面に突入するらしいです。
その入り口は、田んぼ場のお出迎え。
なにやら、あやしそうな階段をまずのぼります。
おお、スキー場が始まりました。にしても、ランナーの列がもはや見えない。
みんな、はやすぎないか。
それとも、ぼくが遅すぎるのか。
人生の楽園
それでも、まだ序盤戦です。
なんとか急斜面をのぼりあげると、雰囲気が一変します。
ゆるい傾斜でひろがる高原に突入してきました。
広々とした台地の出現。
木々のあいだには、しゃれたバンガローがいくつも点在しています。
テントがはられた空間も目にはいります。
それらの前にテーブルをだして、ゆっくりとコーヒーをたのしむ方々。
かわいい犬のペット連れもいます。
いい香りが、こちらまでただよってくるようです。
一方で、はやくもヘロヘロの自分。
人生のたのしみ方を、まちがってはいないか。
こういう生き方も、あるじゃないか。
山はのぼるもんじゃなくて、イスに腰掛けて、人生をくつろぐ場所だ。
うーむ、空気が薄くなって、思考が飛んでいます。
やがてUターン地点。
今度は、きた道をくだりはじめます。
なんて生産性のないお遊び。
やばい、無心に走ろう。
人生の勝者は、ここで朝コーヒーをたのしむ生活を選ぶものなのか。
とりあえず、くだり道に入ってゆきます。
意外に、くだりも手こずります、ズリズリ。
迷い道
スキー場をおりてきました。
さて。
まったく前方にランナーの姿がありません。
もっとも恐れていたケース。
ここはどこ?
わたしはだれ?
みんなどこへ消えちゃったの?
よりによって、進行方向の案内も見当たりません。
地図を読んでこなければ、携帯もしてこなかったアサハカサ。
文字通りの立ち往生です。
ただし、後ろを振り返ってみると、スキー場の斜面をランナーがくだっています。
そうです、のぼりで何人かをぬいていました。
とりあえず、賢明なるランナーを待ちましょう。
「もっと下まで、きた道をもどるはずです」
しばし車道をゆけばよさそうです。
ああ、そういうことだったのですか。
貴重なアドバイス、ありがとうございます。
いっしょに走るランナーは、ライバルではなく、お仲間です。
道がよくなったので、タッタカと、スピードがのってしまいました。
気がつくと、ふたたび、まったくのボッチラン。
どこまで戻っていいんだろいう。
ふたたび、不安がつのります。
山菜採りにきた車が、下からのぼってきて、わき道に停車しました。
すかさず、声をかけさせていただきます。
「下の方で、走っているランナーをみかけましたか?」
「ああ、何人か、走ってるひとを見たよ」
「ありがとうございます」
まだコースは、間違えていないようです。
イザとなったら、来た道をもどれば、スタート地点にはたどり着けるわけだし。
じつに情けない展開になりつつ、それでもレース中です。
しかし、ようやく第2の山に入る標識に出会えたようです。
(つづく)
さあ、ここから第2の山のぼりが始まるぞ。
迷い道 ここがまさかの ジジ捨て山
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