赤城の森トレイルラン2023、振り返れば追い上げ隊

予言

 

「60代の後半に入るとね、ガクンとくるんだよ」
わたくしの尊敬する元日医ジョガーズ会長の小嵐正治先生が、飲み会の席であつく語っていたコトバが忘れられません。

スポーツ整形外科医として、長くご自身も走られています。
それもハンパない距離やタイムです。
くわえて『ランニング障害解決事典』(ランナーズ)という名著もかかれています。

そういう目でみて、自身で感じて、さとってきたランナーの発言です。
重みがあります。
でも、そのころは、まだ「後半」には入っていませんでした。

ふーん、そういうものかな。
では、自分はちがうように走りたい。
小嵐先生は、わたくしより一回りほど先輩です。

そして、ときのうつろいは必ずやってきます。
小嵐先生の予言する年代に、立派に足をつっこんできました。

そして、小嵐予言の妥当性を、思い知らされることがふえてきました。。
「ああ、本当だ」。

それは、同じレースに出ることで、よくわかります。
今年も、「赤城の森トレイルラン」の大会がやってきました。

 



いつもとかわらぬ場所に、いつもとかわらぬ表示が安心です。変わったのは、わたくしです。

 



おーおー、いましたね。最後尾のハッパ掛け隊(まだ、他人事)。

 

ランなんですが

 

あつい日でした。
関東各地で、熱中症警戒情報がだされています。
運動は、ひかえましょう」ですって。
ま、無視しましょう。

スタートは、一斉スタートとなりました。
昨年までの、時差スタート、チョロチョロスタートではありません。
まずは、その全貌を写真におさめたい。

そのすぐあとを、追います。
たくさんの酔狂なランナーが、次々に、山の中にわけ入ってゆきます。

わたくしも、最初は、そういうランナーの群れの中でした、たぶん。
それが、だんだんと、ランナーの影がうすくなってゆきます。

うーん、痛ててて。
アシ裏に、けっこうな刺激が伝わります。
砕石がしきつめられた山道は、うすゴム底のシューズには、ちときついです。
いつまでたっても、アシの裏だけは、きたえられません。
ハキモノ、間違えちゃったかなあ。

といって、引き返すわけにはまいりません。
ゆけるところまで、いっちゃえ。
あくまで、自分のペースで、です。

 



さあ、いよいよレースに参戦です

 



どんどんと、前との間隔が離れていっているようですが。

 

皮算用

 

このトレエランのコース設定は、スタート地点から大峯山中腹をグルリと一周するかんじ。
そしてスタート地点にもどってきます。

ここをグルリ1周コース(17キロ)と、ふたたび来たコースをもどるWコース(34キロ)の2部門にわかれています。
わたくしは、自信もないまま、いつもWコースを選択しています。

つまり、いったんスタート地点にもどって、ちょうど半分。
わかりやすいです。

くだって、くだって、折り返し点に向かいます。
その時点で、はじめて気がつきました。

「今年は、歩く区間が多くないか?」
まわりのランナーと歩調をあわせていたつもりです。
なのに、結果として、明らかにタイムがかかりすぎている。

それは、折り返し点で、はっきりしました。
時計を見ると、2時間15分が経過しています。

レースの制限時間は、5時間とアナウンスされています。
とすると、中間点で15分の余裕。
なんてわけには、まいりません。
後半は、さらに遅くなります。

けっこう、やばそう。
だって、昨年は、2時間を切っての折り返しでした。

じっさい、折り返しでコースが反転すると、ぐっとランナーがいなくなっていました。
そうとう、ドンジリ付近にいるな、というのがわかってきました。

 



スタート会場にもどって、ちょうどここで中間点。

 



ボクも年寄りの冷や水をかけていただきましたが、冷た過ぎです!赤城の湧水。

 



Uターン路は静か、ということは、ランナーがいないということです、以上。

 

ついに最後尾か

 

まだ中間点にむかう少数のランナーは、そこがゴールのランナーです。
これは、ゼッケンの色でわかります。
赤が、1周コース。
黒が、Wコース。
黒ゼッケンのランナーさんにも出会いましたが、みな1周中間点でリタイヤされたようです。

気がつくと、前にもうしろにもランナーの消えた暗い登り道。
そう、遠くで雷鳴が聞こえ始め、空模様まであやしい。

気がつくと、後方から鈴の音をびびかせて、2人のランナーが追いかけてきます。
おお、あの赤いビブスに身をつつんだランナーは。
そうです「追い上げ隊」です。
すると、いよいよ最後尾ですか。

「いや、ゆっくりでいいですよ、制限時間はありませんから」
どうやら、記録には残りませんが、ここまで来ちゃったからには、ゴールまでサポートしますと。
涙が、ちょちょギレます。
しばらくは、つかず離れずの距離での走り(歩き)。

ようやく、あと9キロ地点、コース上唯一のエイドまでのぼりつめました。
あやや、スイカが残っている。
ことし復活のスイカエイド
ふつうは、帰路にはあとかたもありません。
それじゃ、遅いランナーがかわいそうだろう。
ということで、ひとり一切れというお達しがだされた結果でしょう。

あつい気候の中、水分たっぷりのスイカは、なによりのご馳走。
「もう、ランナーは、来ないですよね」
「はい、もう、好きなだけ食べていってください」
思いがけない、最後尾特典

単純によろこんでいいのか、反省すべきなのか。
ここでは、よろこんじゃいます。
スイカをガブガブ、元気がわいてきました。
この先、急なのぼりはありません。

この場にいたのは、もうひとりのオッチャンランナー。
その方は、一足はやくにスタートしてゆきました。
わたくしが、ひとり取り残された格好。
といいつつ、追い上げ隊と記念撮影とか。

以後は、そのオッチャンランナーさんと、前後して走ります。
そのうしろ側に、追い上げ隊が密着。

 



もう好きなだけたべていいよ、という最後尾特典、ウひひ。

 



はしゃいで余裕こいてるヒマがあったら、前を目指せ、と指摘されそう。

 



静かな山道を、それでも味わいながらすすみます。

 

あつき友情

 

わたくし担当(勝手に決めるな)の追い上げ隊員は、東京は青梅の方です。
たんたんと、軽快に走られています(あたりまえか)。
うらやましい走りです。

いろんな話とともに、アドバイスもいただきました。

砕石が多い砂利道に入ると、足ウラを痛がるわたしに「厚底が楽ですよ」と。
うーん、そうですか。
うすいゴム底のタビ式シューズは、砕石ゴツゴツ路は苦手です。

次は、もう少しクッション性の高い地下タビと考えていたわたくし。
もう少し、幅広い発想の転換も必要でしょうか。
でもたぶん、厚底ははかないと思いますが(融通がきかない)。

落ち葉でつくるクッション性のたかい山道ならば、うす底タビは快調です。
でも、そんな山道から、別れる地点までやってきました。

木々の間をぬけ、あかるい山道にでてきました。
あと1キロちょっとです。
しかし、ここからは最大の砕石砂利道となります。

ここにきて、うしろからきたわが相方はダッシュ。
砕石をふみしめて、ぐんぐんとくだって、やがて見えなくなりました。
わたくしは、路面を選択して、ユルリユルリとくだります。

それでも、なんとか制限時間内のゴールとなりました。
4時間45分51秒、みごとな時間内着です、エッヘン。
追い上げ隊の方に、お礼のお言葉。

ゴールの先には、かき氷屋さんがオープンしています。
まだ、待っていてくれている。
シャキシャキのかき氷が無料サービスされます、うれしい。

同時にそこには、一足先にゴールしたオッチャンランナーさんが待っていました。
「お互い、よかったですね」
ドンジリ仲としてはぐくまれた友情。
熱い抱擁をかわしました。

いえオッチャン同士で、そんなことはありえません。
かたい握手です。
仲良きことは、美しきかな、ジュワ。

ちなみに、Wコースの完走者は、219名だったとのことです。
そのなかで、立派な、219位でした。
やっぱ、きちんとしたギアチェンジが必要ですか。

レースには、1位のランナーがいます。
同時に、ドンジリのランナーもいます。
根性の差は歴然としそうですが、ガンバッタということでは同類ということにしてください。

 



わが相棒の、ウス底タビ型シューズ。

 



暑くたって、こののぼりの下には、涼風が待っています。

 



ほてったカラダに、このシャキシャキ氷がジーンと染み込んでゆきます、ガーン(頭イテ)。

 



わが守護隊となっていただいた、青梅の怪人、お世話になりました。

 

たーさん
新しい 走りのたのしみ さがす旅

 

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