春の古河路
3月10日、茨城県古河市中央運動公園前の道は、スタートをまつランナーたちの列で、先頭が見わたせません。
年々、人気がたかまり、きょうは1万人以上がフルのコースを駆けぬけるそうです。
はなももは、まだ咲いていませんが、青空に響きわたってくるのは、ヒバリではなく、カラスでもなく、そうか、本日のゲスト千葉真子さんのおチャッピーな声でした。
もり上がっています。
ちょっと前の天気予報では雨となるはずだったのですが、ランナーたちの熱気が雨雲を蒸発させてしまったようです。
どこまでも広い青空が、ずっとおおっています。
広く感じるのには、理由があります。
山が、ない。
関東平野の、ど真ん中。
いつの間にか、先頭はスタートしたようです。
うしろまで号砲はとどかず、ランナーの流れもはじまっていないのでよくわかりません。
とつぜん、打ち上げ花火があがったのです。
派手な演出。
四つ角に今日の運命が
盛大な大会、ということは、コース上にランナーがたくさん、という意味です。
上下にはいませんが、前後左右に、ランナーの波。
いつも、ひとりで走っているわたしには、うわあ、という非日常感を強くいだきます。
当面、流れにのってゆくだけです。
道幅も、決して広くはありません。
少しバラけた気分にひたれるのに、およそ17キロを走る必要がある、というとオーバーな表現になってしまうでしょうか。
その先も、しばしば高密度のランナー地帯があらわれます。
はなももマラソンのコースの特徴のひとつが、Uターンの多さでしょう。
走ってゆき、180度まわって、もときた道をもどる。
これが、5つあります。
「もどらすくらいなら、ゆかせなきゃ、いいじゃないか」
これをいったら、マラソンになりません。
特に21キロの中間点をすぎた先にまつ大きな四つ角。
はなももマラソンでは、この4差路を、すべて使います。
まず四つ角に突入したら、左の道へ入り、しばらくいってUターンしてもどります。
そしたら、ふたたび左の道へ入り、いってUターンしてもどる。
そしたら、再々度左の道へ入り、以下同文。
で、またもどると、最初にきた道をもどって帰ります。
この四つ角に立っていると、同じランナーに4度会える、ということです。
そして、この地点で、黄色い声援を送っていただいていた千葉真子さんと出会えて、ハイタッチしていただきました。
はい、ミーハーです。
今回は、この四つ角で、物語が待っていました。
アクシデント
四つ角の3番目の道にわけ入り、30キロ地点をふんで、最後の5番目のUターンをおえての畑道。
コースをはずれた歩道奥で、うずくまってオエオエしている男性ランナーに目がいきました。
なぜか、こういう光景が、視野に入ってしまいます。
「ダイジョーブですか?」
オエオエ中の方に声かけしても返事はできない、のは承知のうえで、アヤシイ者ではありません的アプローチ。
うなっています。
軽く、背中をさわる。
ランナーが吐くほどのときは、しばしばオナカの差し込みを伴っています。
走れない、だけじゃなく、痛い、声も出せない。
重症者は顔色に反映されてきますが、このランナーはまだそれほどではなさそうです。
走っているのに、白いのは重い、青いのは重症です。
「は、はい、大丈夫です」
やがて声が出せて、視線を向けていただけました。
「助けはいりますか?、ひとりで様子がみられますか?」
「大丈夫、です」
はなももマラソンで感心するのは、コース上に大会パーカーをきた方が多い、ということです。
いざというときの、救援ボランティア。
まず、コース上で孤立することはないでしょう。
「じゃあ、少し休んで、気をつけて」
背中をかるくたたくと、おまかせとして、レースに復帰。
ゴールは、まだ、まだ。
そしてガス欠か
最後の四つ角をぬける33キロ地点。
あとは、ゴールをめざして、もどるのみ。
このあたりから、ペースがガクンと落ちてきました。
遅れをとり戻そうとスピードをあげちゃったわけでもないのですが、足の運びがあきらかにキツくなってきました。
欲をかいて、ついダッシュしてしまっていたのかなあ。
息がきれてくるわけじゃありません。
ただ、カラダが前に進まなくなる。
足が、かたくなってくる。
不思議な感覚です。
1週間前の東京マラソンで、中間点を先頭集団で走りぬけた日本人3選手が、後半に入ると、次々とペースを落としていった光景に重なります。
いえ、めっそうもありません。
そんなプロの選手と比べようなんて、おこがまし過ぎます。
でも、ペース配分のビミョーさは、だれもが経験することじゃないでしょうか。
歩くなら、歩ける。
でも、歩きたくはない。
こういう感覚をもったところで、走りはガタガタってきちゃうものです。
アタマが走りを制御する、という感じです。
そして、甘い方、甘やかす方へ、たなびいてしまう。
はい、自分の弱さ、わかっています。
トドメは、38キロ地点のチョコレートエイド。
チョコが、これでもか、とテーブルの上で待っています。
「うわあ、おいしそう」
「いっぱい、食べていってね」
「おいしい。もう走れないけど、元気がでます」
「このチョコは、ここ(古河)で作っているのよ」
「え、工場直営ですか」
「ほら、このチョコも、ポケットに入れていきなさい」
「うわあ、そんなに。うれしいです。お守りにもなります」
「じゃあ、反対のポケットにも入るでしょ、ほら」
よっぽど貧相に見えたのか、気前がやけにいい。
に、にげてる、レースから。
ランパンの両方のポケットには、いただいたチョコでホッコリ。
もう、飛脚走りではありません(笑)。
食べ物をホッペにふくんだリスか。
ポケット一杯のしあわせ。
ちいさな胸の痛み。
あと一歩
ゴール会場が見えてきました。
あと1キロの案内表示。
天をあおいで、大の字でコース脇にのびているランナーがいます。
もう大会の方が、かこんでいます。
「大丈夫ですか?」
つい、おせっかい。
ニコッと笑顔で、うなずかれました。
向こうから、タンカを担いだスタッフが来るのがみえます。
両足のツレのようです。
おまかせ、です。
フルマラソンも最後になると、足もかたくなってきます。
ゴールしちゃえば、やわらかくなってゆくのに、不思議な現象です。
今のボクも、そう。
かたくなって、自由がきかない。
水分不足も、あったのかもしれません。
スタート前、あたたかくなってきたのに、水の持ちあわせを忘れていました。
走りはじめてから、ノドのかわきを、感じていました。
そんな、ヤワな性格じゃないのにな。
日常のタラタラ走りと、ペース配分のちがうレース独特の環境も関係あるのかもしれません。
4時間6分39秒でゴール(ネットタイム)。
毎日、勉強。
毎回、宿題。
そう、次はコノ対策。
ノートに、また課題がひとつ加わりました。
走る都度 ふえる課題と 反省の数
↓ よろしければ、清き1票をお願いします(1日ワンクリック有効)
にほんブログ村