武士は食わねど
さあ、北オホーツク100kmマラソンも、中間点に到着。
多目的アリーナは、たくさんの方でにぎやかです。
洗面所で顔をあらい、手足をぬれタオルでふいて、気分一新。
先には、エイドのテントも一段とはなやか。
ここで空腹をみたして、再出発だ。
さて、とうかがうと、ウドンコーナーを発見。
おコメはないようですが、大丈夫です。
と、思ったら、ウドン容器のかわいらしさよ。
ラーメン屋さんでお借りする、子供用のとり容器ですか。
それとも、お供え用ですか。
ツルツル、はい、おしまい。
おかわり、いただけば、いいじゃありませんか。
いえ、まだ後続があります。
そもそも、並んでいる容器の数も少ない。
ここは、一人一杯が仁義でしょう。
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草なら、いっぱいあるんだけどなあ。
給水コーナーは、立派です。
でも、お隣は立派な多目的アリーナ。
水道設備完備(笑)。
よおし、せめて町の中で、コンビニかスーパーを見つけるぞ。
無理でした。
もう、ラーメン屋さんでも、大衆食堂でもいい、入ってゆくぞ。
見当たりません。
空腹感を覚えながら、後半戦がはじまりました。
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こんな給水所、はじめて見ました。ゴーカというか。
感覚的エネルギー論
走るときに必要となるエネルギー量は、いかほどでしょうか。
さまざまな、数値や資料はあります。
ぼくの愛用するエプソンGPS時計では、100キロを走ると、8,000キロカロリーほどの消費カロリー表示がでます。
しかし、数値というのは、あくまでも机上のものです。
個人差も大きいですし、同じひとでも、状況や体調で変わります。
というか、ほとんど数値化は無理な世界と思っています。
では、何が指標となるでしょうか。
気持ちです。
自分の感覚です。
足りていない、と感じたら、足りていません。
理屈や理論ではありません。
そして、カラダは、思った通りの反応をします。
たとえば、ぼくの休日の朝は、水分だけとったあと約22キロコースを一周、というところから始まることが多いです。
走っているときは、水しか持ちません。
しかも、今の季節は、もどったら、そのまま畑で走るのと同じくらいの野良仕事をしたりします。
口にするのは、畑のトマトをもいで、くらい。
空腹でも、走ったり、働くのには、なれている方です。
ところが、今回は、けっこうな空腹感におそわれています。
さて、カラダは、どう反応してくるだろうか。
それなら、いい人体実験の始まりとしましょうか。
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あたたかい声援には、ココロから感謝です。
馬力が落ちる
コースは、再びオホーツク海を左手にみる海岸線に出てきました。
あつい太陽に向かって走っています。
南に走っているのが、わかります。
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ここだって、立派な直線道路。
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ああ、このまま海の中に飛び込んでしまいたい暑さ。
ここも、長い直線道路です。
しかも、幹線道路っぽい。
ならば、お店の一軒でも、という期待は裏切られつづけています。
視界に入ってくるのは、巨大な風力発電用の風車。
やせ馬にまたがった、ドン・キホーテですか。
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風車が、小気味よくクルクル回っています。あのエレルギーを充填できないかなあ。
走りのスピードが落ちてゆくのが、わかります。
のこり42キロを切ってきました。
あとは、フルマラソン1本分。
これを6時間半かけてゆけば、いけるんだ。
計算上は、ね。
やがて海岸線に別れをつげると、内陸に進路を切りはじめました。
のぼり、くだりの丘陵地帯へ入ってゆきます。
さらにスピードは落ちる一方です。
キロ9分が維持できない。
ガス欠の次は、脱水症に熱中症
空腹感も、カラダのバランスをくずすキッカケになる。
自分のカラダで感じます。
たぶん、負の連鎖反応のはじまり。
まずは「脱水」状態に入ってきました。
エイドで、水をいただく。
1杯、さらに、おかわり。
ホッと息をついて、さらにもう1杯。
水を3杯つづけて飲んでも、走りだすそばから、ノドの渇きがでてきます。
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くわえて「熱中」状態にも、ツッコミはじめたようです。
朝から、暑い日差しをあびています。
翌日に読んだ「北海道新聞」では、道内は暑さにおおわれ、全道で少なくとも39名の熱中症の救急搬送があったことを報じていました。
カラダのどこを触っても、ほてる。
こんな日に、ウルトラを走るバカ。
かぶり水コーナーでは、まず、頭からヒシャクでザー。
次に、ウデにかけ、モモにかけ、首のまわりを湿らせ、シャツを濡らし、と水もしたたるランナー作戦。
たぶん、体温はかなり高めになっています。
グターー。
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それでも、走るという非常識
景色は、わかります。
歩くのではなく、走りつづけてはいます。
制限時間の計算は、かろうじて、できています。
カラダが、思うように動かない、だけです。
痛みがある、というわけじゃありません。
力の入れどころがわからない、という感じです。
ウルトラの場合、スピードが落ちても、走りつづけてさえいれば、再びチョット回復してくる「サイクル」が生まれます。
それが、まったくない。
このままゆけば、次の関門はアウトだな。
だったら、もう歩いちゃえ。
いえ、それはできません。
レースに無理は禁物。
しばしば語られる、よい子の発言。
たしかに、そうです。
でも、ぼくには、無理をしないでウルトラを走りきることなんか、とうていできません。
無理をつづけます。
夏の日差し。
緑こい木々。
のぼり、くだり、カーブ。
一場面、一場面の光景を目に焼きつけつつ、進みます。
大草原から、山手に切り替わったコースの中、ただただ、あえぎつつ足だけは止めない。
ただし、もう走りになっていません。
(つづく)
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沿道には、めったにひとはいませんが、こういう熱きメッセージが。芸術家だなあ。
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