あやしい誘い
「おもしろいレースがあるんだけどね」
あやしい弁護士K先生から、メールが届きました。
「あやしい」と表現したのは、そのまんまの印象です。
じっさいに仕事をしている光景を見たことはありません。
レースでのお付きあいだけです。
そのレース場では、まんま「あやしい」オッサンです。
昨年は、越後きき酒マラソンで、いっしょに前泊しました。
かるく一杯(で止められませんでしたが)と、前日の夕げをともにしました。
そのさい、おたがいユニクロのフリース姿で登場。
はい、ヒトのことだけではない、かもしれません。
そのレースとは、「みちのくジャーニーラン」というのだそうです。
ジャーニーとは、ふつう「旅」です。
そこに142キロのコースがあるよ。
142キロの旅ラン。
7月の第3週の日曜日とつづく海の日。
日曜日の午後3時にスタートして、翌日海の日の午後8時が終了。
レース時間は、29時間。
うーん、魅力的です。
とくに、7月の北オホーツク100kマラソン大会が消えてしまった喪失感。
ところが、場所は青森の弘前です。
ここで、午後8時までいるとなると、どう工夫しても、当日中には帰れません。
翌日まで、つづけての休みはとりにくい。
日程、時間的に、きびしいなあ。
ですが、そうそう割りきれません。
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悩みます。
逆算
当日中に、家までもどる手立てはないものか。
すると、弘前発午後5時41分発の列車に乗れれば解決がつきそう。
すると、新青森発の新幹線にのれる。
すると、地元までの北陸新幹線にのれる。
すると、家には午後11時には帰れる。
「すると」の連結が完了しました。
29時間のレース時間を、26時間にすればいいんだ。
29時間と、26時間は、誤差の範囲です(まちがってます)。
レース途中で完走無理とさとったら、午後3時までにレースを切りあげる。
そして、どんな手段を使ってでも、レース会場にもどる。
できれば、午後5時までにゴールする。
いずれにしても、サイテー、レース姿のまま電車へ。
汗臭いのは、新幹線の中で、なんとかしよう。
あとは、「ジャーニーラン」と「ウルトラマラソン」とのちがいの把握です。
ジャーニーとは、「旅」です。
レースとは、ちがいます。
「旅」です。
ですから、大会情報は、ランニング雑誌ではなく、旅行雑誌にのります。
「るるぶ」の青森版(のってません)。
象徴的なのは、エイドの数でしょう。
ウルトラの場合は、3〜6キロおきくらいにはエイドが待っていてくれます。
ところが、この142キロの旅では、エイド数は途中7カ所。
20キロ以上ない区間が、3カ所あります。
最長は、30キロ、ない。
なので、コンビニとか自販機などの道中資源の活用が必須となります。
しかも、20キロ以上、コンビニも何もない山道区間だってあるらしい。
心配性なら、ぜんぶ持ってゆく。
くわえて、道路上の矢印などの地形案内が一切ありません。
コース誘導員もいません。
わたされるのは、「地図」です。
ですから、まったくのコース上を走らないといけないわけではないようです。
だって、無理でしょう。
エイド兼チェックポイントを通りさえすればオーケーです。
逆立ちしても無理、なんて切りすてないことが大事なんですね。
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気候はどーなの?
ウルトラマラソンは、原則、冬にはおこなわれません。
一般のフルマラソンの旬が、寒い季節とは、ちがいます。
というのも、走りがユックリとなるからでしょうか。
途中でへばって、休み時間も長くなります。
さいごは、動けなくなってくる。
これが厳冬期にあったら、どうなるでしょうか。
コース途中(けっこう山中もある)で、凍死するかも。
とくに、ここは青森です。
冬の八甲田山の悲劇にDNAが、いまも受け継がれています(想像)。
さむい冬に、無理しちゃいかん。
だからといって、海の日が最適か?
場合によっては、梅雨末期の大雨となることがあります。
梅雨があけていれば、ギラギラ太陽光線の餌食になります。
じっさい、今回は、この両面をみるハメになっちゃいました。
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勝算
ウルトラ級のレース制覇の秘訣は何か?
より強靭な体力と、精神力。
はいはい、そう考えて実践しておられるランナーさんは、どうぞ、あちらの貴賓席へ。
そういう世界もあるでしょう。
だた、自分とは無縁の世界です。
そうじゃない一派もあります。
ま、野党、弱小集団、獲得議席いまだなし、みたいかもしれませんが。
といいつつ、信念もあります。
キモは、作戦にあり。
たとえば、「合戦」の場面をふりかえってみてください。
かたや、数万にもおよぶ大軍勢。
一方、数千にも満たない小さな集団。
ところが合戦の火ぶたが落とされるや、みごとに形成逆転。
こういう史実が、いたるところでありました。
とくに長丁場のレースは、「実力」だけでは通用しません(と思っています)。
長時間を、どのように移動しつづけるか。
ここには、キロ何分で走れるか、だけではない世界があるんだってば。
そうです、作戦で勝つ。
実力は、もはや無理です。
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スタート前、最後のたよりはこの足です。
いざ出陣
レース当日、朝イチの新幹線にのり、さらに乗りつぎます。
すると、午前11時には新青森駅へ。
そこで、くだんのK先生と、その妹さんと会えました。
どちらも、同じレースに出場です。
しかし、です。
会場についたら、早々と準備をはじめて、午後3時にはスタートするんです。
なのに、なぜスラックス姿なんかでやってくるんですか?
「ははは、とってもレースに出るヒトには見えませんね」
「お互いにね」
いえ、わたくしは、しまむらジャージにゾーリですから。
どうみたって、120%臨戦態勢です。
でも、どちらかといえば、海水浴ファッションでしょうか。
(そこを競うな)
2日間の強行日程旅行ですが、荷物はいがいに軽装です。
だって、泊まりの支度がいりませんから。
夜は、走っているだけ、宿不要。
うーむ、ビミョーな感覚です。
ともあれ、スタート地点であるみどり野百貨店前に到着です。
徐々に、レース前の雰囲気に染まってきました。
こんなおバカなレースに出るお仲間(失礼)は、100余名ほど。
いよいよスタートの時間です。
午後3時、天候はくもり。
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はじめて降りたった新青森駅で、すでに感動シーン。
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さあさあ、旅の始まりだい。
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みちのくの 旅ランについ 来てしまいました
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