中間点で再出発
50キロの中間点計測ポイントをこえると、糸満市役所の広大な敷地に入ってゆきます。
いままでは、市役所前の広場が中間点エイドでした。
もっとも盛大な場所。
荷物をあづけておけるドロップバック地点でもあります。
今回は、何の事情か、エイドが移動しています。
さらに1キロほど先の、糸満南小学校の校庭です。
なかなか重厚な雰囲気の学校へ入ってゆきます。
制度的には、おおきな変更はありません。
ドロップバック制度もあります。
わたくしは、利用しませんでしたが。
ここのスタッフのひとたち、人数も多いですが、なにしろ元気です。
老いも若きも。
食べれば爆発するのか、爆弾おにぎり。
ただただ笑い転げる高校生集団。
(単に、ぼくが笑われているだけなにか?)
さて、気分をリフレッシュして、後半戦に飛び込むぞ、という気分の後押しです。
足もとだけは、さすがに、消耗モードに入ってきていますが。
実質的な中間点エイド、糸満南小学校、オアシスです。
あのテントで、どんな出会いが待っているでしょうか、ワクワク。
ちょうどお昼時、まずは「ばくだん」をオナカにおさめます。破裂しませんように。
つづいて、ポーク玉子です。いつもは見かけない味と形に感動。
さあて、後半戦のはじまりです。あと49キロ。
無念無双
しばらくは、来た道をもどってゆきます。
来るときは、さほど感じていなかった「くだり」坂気分。
もどりはじめると、「のぼり」感覚がズシリと伝わってきます。
しばらくは、タンタンと走ります。
この時点で、何か考えていいことなんかありません。
とくに、わたくしの場合、50キロから60キロの過程は、フシギ区間です。
まだまだ、先は長い。
何も考えずに、考えられずに、ただすすむ。
思考の空白区間。
60キロをこえると、あとフル1本、という区切り感が浮かんでくれます。
沖縄南方は、畑のひろがる丘陵地帯です。
そこをつないで、町や集落があります。
人家がふえると、歩道がでてきます。
歩道は、名前のとおりなのか、走るようには考えられていません。
せまい。
フタがガタガタ。
ナナメってる。
車道との高低差。
疲れとともに、のぼりおりもドッコイショ気分。
ガジュマルの大木の間を走るだけで、沖縄気分が満載。
とおくに海をあおぎ見ながら、平和創造の森までもどってきました。もうすぐ60キロ。
風がふくたびに、サトウキビはザワワザワワとないてきます。
いつも感動しちゃう沖縄のバスの停留所。
正念場
天候は、あいかわらずの曇天模様。
ときおりまう霧雨も、さいわいに続きません。
収穫前のサトウキビが歩道にまでのびていて、ときおりおおいかぶさってきます。
ざわわざわわ。
68キロ南の駅やえせエイド地点。
ここから、島の中にコースは、入ってゆきます。
坂がふえてきます。
気温もさがってきて、坂道をのぼっても、汗をかきません。
あ、のぼるスピードがおそすぎるせいですか。
だんだんと、途中関門時間が気になってきました。
ゴールまでに、通りゃんせの関門は、8カ所あります。
確実に、通過時間と、関門時間が近づいています。
天候のせいか、暗くなるのも、はやまっている感じです。
ああ、でも最終関門91,9キロ地点まで、やってこられました。
ここでも、待ちかまえるスタッフの方々はあかるい。
そして、あたたかい。
「まだまだ、いけるよ」
「大丈夫、大丈夫」
「おソバ、食べていきな」
そうか、思いだしました。
ここの名物は、沖縄そばの名物エイド。
こりゃ、いただかなくちゃ、通過できません。
元気がでます。
さて、あと1時間10分です。
なんとか、ゴールまで、たどりつけますか。
歩く人より、木を優先した道づくりに関心します。
沖縄にきたら、坂とお友達になれます、きっと。
こんなバス停留所なら、1時間くらい待っていても大丈夫かも。読書タイムがもてます。
坂と友だち、坂と友だち。ヒーハー。
疲れたら、ハイビスカスが垣根から、はげましてくれます。
ついに85キロ地点、ニライカナイ橋までやってきました。
うーん、いつ見ても感動の光景です、いつもより暗いですが(タイムが遅いせい)。
91,8キロの最終途中関門、なんとかギリ到着、通過はできましたが。
さあ、急がねば、という前に、やはりここは沖縄そばで仕切り直ししてからでしょう。
ああ無情
あたりは、すっかり、夕やみにおおわれてきました。
足もとは、ライトのあかりがたよりです。
なかなか、カラダが前にすすみません。
しばらくは、ゆるいのぼり勾配です。
何人かのランナーに「がんばりましょう」といわれて、追い抜かれました。
ふと気づくと、ときおり、おとなりの車道にバイクのおニイさん。
スタッフビブスをつけています。
「あれ、ボク、最終ですか?」
「まあ、ゆっくり、いってください」
「ハハハ」
いわれなくても、ゆっくりしかすすめません。
5キロごとに置かれた距離表示板。
さいごの95キロ地点にかかりました。
そこに、威勢のいいお兄さんの檄が。
「まだ40分あるよ。
キロ8分でゆけばゴールだ」
えっ、そうですか?
信じられないけど、暗やみでで、腕時計を確認する余裕ももてません。
そんなに余裕がありましたっけ?
力が抜けかかったカラダに、ネジが巻きもどされました。
「8分なら、いける」
「死ぬ気で走る」
しかし、それで調子にのりすぎました。
モーレツダッシュ。
全速力で走りぬき、何人かのランナーを、追い抜いてすすみます。
ただ、もたない(苦笑)。
あかん、力がぬける。
暗くなった夜道を、トボトボと走る(歩いてません)。
光
最終エイドは、97,5キロ地点です。
ライトで腕時計をみると、制限時刻の午後7時にあとわずか。
「ははは、ははは」
もう笑うことしかできません。。
あと、できることは、前に進むだけです。
ふたたび海岸線にもどってきました。
闇の中から、波の音がひびいています。
風が、吹きぬけてゆきます。
ときどき、気になって、ライトで腕時計に目をむけます。
あー、7時だあ。
制限時間が、きてしまいました。
でも、走る。
いまできることは、それだけです。
ヨロヨロを、なさけない走りをつづけながら、ゴールをめざします。
あかるく輝く会場が見えてきました。
まだ、待っていてくれる。
「エヘヘ」
気恥ずかしい気持ちで、ゴールを踏みます。
でも100キロ、なんとか走破しました。
14時間15分3秒、はははです。
逆に目立って(衣装も?)大きな拍手をいただきました。
スタッフの方が、完走メダルと、完走セットをもってきてくれます。
「あのお、間に合わなかったんで」
「いえ、完走しましたから」
そういうことですか。
時間内完走、じゃなくても、いいんですか?
すなおに、うれしい。
ジーンときました。
ゴール会場では、ゴールを祝ってくれたチビッコ集団とも談笑。
すてきな大会となりました。
気候は、寒かったです。
コースは、けわしかったです。
でもでも、とってもすてきな大会となりました。
ありがとう。
午後7時はまわってしまいましたが、ゴール会場の灯はともしつづけてくれています。
ああ、ゴールの灯がまぶしい。
ふりかえれば、もう後からくるランナーは見えず(笑)。
思いかけずに、完走メダルと完走グッツをいただいてしまって、ついニンマリ。
最後は、応援部隊の子といっしょの記念撮影。いい思い出になりました。
沖縄100kウルトラマラソン、2023年のシメのレースとなりました。
今年も、ゴールにたどりつけなかったのもふくめ、いろんなレースを堪能できました。
Garminさんの総走行距離は、1年間で、2,200キロ余になりました。
ああ、徘徊人生。
これからも、よろしくお願いします。
まちうける のぼりくだりよ 人生模様
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