痛い、といったら
ゴホン、といったときの一手は何でしょうか?
はい、龍角散です。
むかし、テレビで学びました。
で、ためしたことがあります、小さいころ。
ゴホン。
家にあった龍角散を、口に放りこむ。
ゴホゴホゴッホん。
かえって、むせこんでしまいました。
誤嚥。
それでは、「痛い」といったときの一手は何にしましょうか。
これは、たくさんあるようです。
薬だけでは、ありません。
マッサージや針もある。
ストレッチもある。
おまじないも、ある。
たくさんある、ということは、決定打もないということなんでしょうか。
ここでは、薬の世界を想定してみます。
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おなさけ
学生時代、薬理学という講義がありました。
これが、わけわかんない。
授業もよくサボったから、ますますわかんない。
当然のごとく、赤点となりました。
再試験は、教授室での1対1の口頭形式です。
「プロスタグランディンについて、説明してください」
ぼくに出された設問です。
「これは、プロスタータで発見されたので、こういう名前になりました」
「でもその後、全身のあらゆる場所での存在が明らかになってきました」
「なので、じつに多彩な作用機序をもっています」
このあたりで、わが知識は、在庫切れとなってきています。
あとは、アドリブ勝負です。
「ですので、ひとことではいえるものではありません」
「多彩すぎて、ここで説明するのも、なかなかむつかしいです」
「なので、今後も、まだ多くの知見が出てくる可能性を秘めています」
「もういいよ」
ここで、止められました。
「君は、もっと勉強しなくちゃなあ」
そう暗い目でいわれましたが、試験は通していただけました。
古き良き時代の、温情判決。
ご恩は、忘れておりません、小幡教授。
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痛みは、増幅して伝わる
どこかで、痛みが発生した、と仮定します。
たとえば、ころんで手のひらをすりむいた。
すりむいた場所からは、「痛み物質」が放出されます。
ただし、この量は多くはありません。
微量です。
すると、この放出を感知した「増幅物質」が次にでてきます。
感度をアップさせる増幅物質です。
増幅された痛み物質は、伝達の神経回路を刺激します。
神経は、その様子を、脳ミソまで伝えます。
その結果、脳ミソが「手のひらが痛い」と認知するわけです。
痛みの大きさに、この「増幅物質」の加減がおおきく関係することがわかってきました。
何なのだ、この増幅物質は。
なんと、あのプロスタグランディンだったのですね。
「あの」とつけたのは、わたしにとって、思い出深い過去のためです。
赤点とるのも、悪くはない。
デキルひとが、一回でスウっと通るところを、2回なぞるわけですから。
はい、負けおしみ。
痛いと思ったら、ロキソニン。
龍角散ほどではありませんが、これも有名です。
とくに運動関係者御用達。
ロキソニンて、何する薬ですか。
プロスタグランディンの生成をジャマさせる薬です。
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のんで効く、のんでも効かない
すると、ロキソニンの使い所がみえてきます。
カラダに、破壊工作が起こっていること。
これを、いっぱんには、「炎症反応」といっていますが。
これあると、痛み増幅反応が始まるわけです。
そう、プロスタグランディンの出動です。
この出動を止めるお薬が、ロキソニン。
ですから、破壊される場所がないとき。
破壊工作が、終わってしまっているとき。
つまりは、炎症反応がない状態。
このような場面では、とうぜん、痛み物質は出ていません。
ゆえに、増幅物質プロスタグランディンも出ていません。
なので、ロキソニンのんでも、効きません。
痛さを感じるのに、ロキソニンが効かない。
だったら、その場所では、炎症が起きていないのかも。
そう、考えてしまいます。
一方で、ロキソニンがよく効く場面があります。
増幅物質がたくさん出ている場面です。
つまりは、破壊工作が盛んな場面、です。
ただし、効いたからといって、「治った」わけではない、ということは肝に命じておく必要があります。
破壊工作は、盛んに起こっている。
ただし、それを増幅する物質を遮断しているから、痛みを感じないだけです。
それを、痛みが引いたからもう大丈夫、としたらどうでしょうか。
破壊されてる場所が、さらに荒廃してゆく。
まだ、治っていないんですから。
取り返しのつかない事態にだって、なりえます。
取り返しのつかない状況に追い込んじゃうひとが、いるんだってば。
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ギックリ腰は、破壊ですか?
ギックリ腰、というのは、一体どうなっているんでしょうか。
突然のグキッ。
動けなくなるほどの激痛。
じつは、よくわかっていない部分もあるようです。
ぼくだけかもしれませんが。
ですから、ここからは、わたくしの勝手な推論です。
くれぐれも、ご注意ください。
ギックリ腰は、「腰のこむらがえり」です。
腰筋群の、突然の、筋収縮。
何かのスイッチで、大きな腰筋群が、突然ギューっとちぢんでしまった状態。
だから、痛い。
動けない。
だって、筋肉が伸びてくれないんだから。
こむらがえりの、経験ありませんか。
とすると、です。
ちぢんだのですから、最初から、「破壊」ではない。
破壊されていなくても、ちぢみすぎれば痛いのです。
すなわち、炎症にあらず。
長びけば、筋の断裂も生じて、炎症反応がおこるかもしれない。
でも、本質ではない。
ですから、ロキソニンの出番とは、ちがうのかも。
炎症が主役の場面ではないですから。
(あくまで、個人的な意見です、すいません)
こむらがえりに、ロキソニンは、効きますか?
ギックリ腰当事者となって、こんなことを考えました。
(つづく)
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火事現場 にはよく効くよ ロキソニン
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