痛み物質と炎症

安易な表現

 

組織の損傷がおこる。
すると、そこに痛み物質が放出される。
それが、痛みを生じさせる原因物質。

なんとも、安易な表現法です。
そんなこと、あたりまえでしょ。
拍子抜けです。

まあ、ガッカリ感、ハンパありませんか。
もう少し、学問的になりませんか。
してみます。

損傷して、痛み物質が出ている現象。
その現場の状況を、どのように表現したら、カッコいいでしょうか。

はい、「炎症」というコトバがありました。
ちょっと、学術っぽく、きこえませんか。

そして、同じ意味に使っても、問題はなさそうです。
炎症の定義も、そういうものでした。
損傷部位から痛み物質」がでている場所の現象が、炎症です。

 



 

便利なコトバ

 

炎症」は、ある意味、とっても使い勝手のいいコトバです。
そして、なにより、メジャーです。
カラダにおこっている、どんな組織の損傷も、みな炎症ですから。

では、あらためまして、炎症の特徴はなんでしょうか。
次のような特徴がある、といわれています。

・熱をもっている
・熱い
・腫れている
・ちゃんと働けていない

むつかしいことでは、なさそうです。
だって、損傷して、痛み物質がでている場所のことですから。

そして、炎症は、やがて鎮火してゆきます。
いつまでも、燃えつづける火事はありません。

鎮静化した場所。
そこは、組織が修復されたことを意味しています。
もちろん、痛み物質も、もう出ていません。

 



 

炎症の、持ち時間

 

それでは、炎症がつづく時間は、どのくらいでしょうか。
組織の損傷が修復されるまでの時間、ということです。

それは、原因によって、ちがいます。
規模によっても、ちがいます。
養生の仕方によっても、ちがいます。
あたりまえでした。

ちょっとぶつけた傷、くらいなら、すぐになおります。
それこそ、痛みだって「痛いの、飛んでゆけ」でなおっちゃうかも。

出血するようなケガともなると、日数をまたぐことになります。
大きなケガなら、何週間も、必要となります。

骨折までくると、さらに長引くことがあります。
痛み物質の放出量だって、ハンパありません。

ですので、炎症がつづく期間、とひとくくりにはできません。
しかし、長いといっても、限度はあります。

1ヶ月つづく炎症、ともなると、長い長い部類に入るでしょう。
そして、1ヶ月をこえるものも、またあります。
となると、どーんと幅をひろげて、3ヶ月
これなら、どーだ。
ここらで、ケリをつけてください。

 



 

世界は、広い

 

3ヶ月もつづく炎症なんて、そう、めったにはないよ。
ふつうに考えれば、そう考えます。

その通りです。
しかも、そんなに長く炎症がつづいたなら、たまったもんじゃありませんし。

ところが、です。
世の中は、広いですね。
3ヶ月をこえて、炎症が長引いている。
痛い。
そういうのが、実際にはあります。

もう、半年も、痛みで苦しんでいるよ。
いや、自分は1年間も、つらい思いをしているよ。

いやいや、もう4年間もずっと大変な思いをかかえているよ。

そういう、オリンピック級の方もいらっしゃいます。
組織の修復が、忘れられちゃったのでしょうか。

 



 

炎症か、炎症じゃないか

 

 

長きにわたる痛みの持続。
それはもう「生きるべきか、生かざるべきか」の心境にまで昇華しそうです。
ハムレットさん顔負け。

でも、そんなに長引く炎症なんて、実際にはあるんでしょうか。
あるんですね。

たとえば、リウマチの炎症。
たとえば、静かにひそんでいるガンの炎症。
たとえば、結核とかの特別なバイキンの存在。
たとえば、ホルモンなどの過活動。

どれだって、頻度は多くはない、といっても、マレではありません。
忘れていると、ひどい目にあう。

そして、なんとランナーで、長きにわたる痛みに悩まされている方も、いらっしゃいます。
運動系の、ランナーなのにです。

そう、ランナーなのに、慢性病のように、痛みと向きあっている。
具体的には、3ヶ月以上が、ひとつの目やすになりますけど。

この場合は、また特徴があります。
炎症」の頻度が、非常にひくいということです。
まず、炎症じゃありません。

裏付けるように、検査では、いわゆる炎症反応に出てこない。
炎症を鎮めてきくはずの、ロキソニンが無効。
でも実際に、痛いんだよ。

となると、炎症じゃなくても、痛み物質が出るのか。
いえ、痛み物質は、出ていないかもしれません。
そうです、痛みは「痛み物質」だけが、つくるんじゃないということですね。

となると、痛みって、雲をつかむような世界なんでしょうか。
そんなことはありません。
人体は、もっと精巧です。
ちゃんと、痛みの回路ができています。
組織の損傷も、痛み物質も、この回路内でおこっている現象です。
痛みは、痛み回路内で、いちおう完結しているんですね。

ですから、痛み回路は、忘れてはならない回路です。
こんど、痛みの回路を考えたいと思います。

 

今日のまとめ:
(1)痛みは、炎症でひきおこされる。
(2)炎症は、変化してゆく。
(3)長引く痛みは、炎症じゃない可能性がある。
(4)痛みは、痛みの回路の中で、完結する。

 



関係ないけど、シェイクスピアの生家。

 

たーさん
炎症の 有無を考え 次にゆく

 

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