お出迎え
うーん、ただごとじゃないゾ。
午前2時半すぎ、ホテルをでたわが身に、風が吹きぬけてゆきます。
そして、さむい。
ことしは、風のお出迎えで始まりそうです。
ですが、これが「自然」です。
自然というのは、モノゴトのコトワリ。
昔からあり、今をつくり、そして通りすぎてゆくもの。
生きものは、この中で生まれ、生き、やがてバトンを手渡してゆきます。
そういえば、宮沢賢治も、よく自然をみていたなあ。
いきなり『風の又三郎』がアタマに浮かんできます。
そうだよ、たまにはこんな「大風」の中に飛びこむのもオツじゃないか。
何もかも、吹きとばされてみるのも。
思う存分、大自然の大風を受けとめてみよう。
カゼにふり回されている国への、メッセージですか?
3年ぶり開催の沖縄100kウルトラマラソン大会。
そして、3年ぶりの沖縄上陸。
西端の那覇から、東端の与那原町にむかってシャトルバスの乗りこみます。
まだ、漆黒の中。
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暗くったって、寒くったって、好きなひとは集まってくるものです。
ノリノリでゆこう
スタート会場の 与那古浜公園には、テントが盛大に並んでいます。
こうこうと、灯りもともされています。
とはいえ、原っぱです。
まあ、風の通りの元気なこと。
「年に何回もない寒波だよ」
地元のヒトにうかがうと、答えてくれます。
第5回目となるこの大会。
その魅力にひかれて、わたくしも5回目の参加となります。
コロナ前の前回は、ギラギラと輝く暑さを味あわせてくれました。
今年は、一変。
いろんな表情をみせてくれます。
んだば、気候の変化に臨機応変に対応すればいいだけじゃん。
ところが、そういう器用さが足りません。
せっかくの沖縄レースなんだから、今回も沖縄コスチュームでゆきたい。
そう、「沖縄ばあば」で参戦さ。
ただし、足もとだけは、変更しました。
ワラジは、珊瑚状の路面にはきついのです。
前回も、前々回も、2足がもちませんでした。
ゴム製のワラーチとしました。
寒くはないですか?
はい、寒いです。
ただ、オナカだけは、今回もサラシにしたため、ぬくく保たれています。
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スタート前の沖縄ばあば。はい、どうも緊張感に欠けるところがありそうです。
どんな天気だって沖縄
午前5時、盛大にスタートです。
そう、こういうときこそ、気合いだ、気合いだ。
夜明け前の道を、ライトの灯りで走りだします。
ウルトラのコースは、基本「歩道」です。
そして沖縄の歩道は、せまいところが多い。
ランナーは、前後にならんで、いいペースですすみます。
例年なら、2時間もしないうちに、光の気配がしのびよります。
あっちが東方だな。
太陽がのぼってくる予感。
15キロくらいの地点の、小高く海にとび出した知念岬。
ここにいたっても、まだあかるさを感じません。
もしかして、速すぎる到着?
そんなわけ、ありません、空が暗いだけ。
帰路にくだってくる二ライカナイ橋を仰ぎ見ながら、海岸線に入ってゆきます。
潮のかおりと、波の音がもっとも近くになってくる区間。
そして水平線上に顔をだしてくるハズの太陽。
は、今年はお会いできませんでしたが、ライトは不要となりました。
しばしのビーチランを堪能。
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すごいピンボケですが、スタート地点と先頭集団です。
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ライトの灯りをたよりに、もくもくと進みます。
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知念岬からの眺望は、やはりスッキリします。
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85キロを走りきると、右にみえるニライカナイ橋をくだっておりる算段です。
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なんて先を考えるまえに、くだって海岸線にむかいます。
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ことしは、この水平線にのぼるご来光は拝めませんでした。
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それでも、海岸線は気持ちイイです。
やっぱり沖縄
曇天とはいえ、すっかり夜明けとなった27キロすぎくらいの地点。
海にとび出した小島、奥武島。
この島の一周は、とても幸せ気分にひたれます。
なにせエイドが盛大、そしてスタッフの情熱、あたたかな島。
島に入ると、島内放送が耳に入ってきました。
「100キロマラソンのランナーが、いま島内を走っています。
みなさん、声援をおくってください」
朝っぱらから、こんなアナウンスを流してくれていたんですね。
島を出ると、いよいよ沖縄本島南面を、東から西へと向かいます。
のぼっては、くだる坂の島。
ときに足をすくわれそうになる風の島。
いよいよ、本領発揮です。
コース上にそびえるガジュマルの大木。
歩道上にあると、歩道の方がよけてゆきます。
今年は少なかったハイビスカスの花。
南国気分ルンルンで、すすみます。
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さあ、この橋をわたると奥部島です。
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沖縄のオニギリは、いろんなバリエーションを楽しめました。
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このアバウトさが、今の世に必要じゃないでしょうか、消毒よりも。
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坂をのぼりきると、新しい海の光景にきりかわるという繰り返し。
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ときには、ここを通ってみんしゃい、といわんばかりの歩道(無理でした)。
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この坂をのぼりきると、今度はどんな光景が待っているかな?
経年劣化か
沖縄南部。
広大な美しい自然と同時に、もっとも戦いのはげしかった地です。
「戦争を知らない世代になったら、気をつけないといけない」
大戦の悲惨さ、無意味さを味わった古老たちが口にするコトバです。
いま、まさにそういう世の中になっています。
背丈をこえるサトウキビ畑。
その上を、風が強く吹きぬけてゆきます。
ザワワ、ザワワ、ザワワ。
本当に、そういう音をかなでるんだ。
畑作地帯がおえると、遠方には大きな建物が見えはじめます。
糸満市街地、ここの市役所が中間地点となります。
ひろい海岸通りの浜側を、風にあおられながら市役所をめざします。
すると、対側には、反対方向からたくさんのランナー集団が。
午前11時出発の、50キロコースのランナーたちの集団です。
50キロコースは、100キロコースの中間点からスタートです。
むこうから、手を振ってもらいます。
はげましてくれているのか、笑われているのか。
(たぶん後者)
ここで、走力の変化が、如実にでてきます。
第1回大会、このチームのスタートより先に糸満市役所を出られたな。
前回大会、もう少しで、このチームのスタートに間に合ったのに。
そして今回。
このチームのスタートを見つつ、市役所にむかう。
あと、まだしばらく、ウーっむ。
でも、強風下、なんとか中間点がみえています。
50キロ。
ウルトラの醍醐味は、体力が尽きてからが本番です。
(つづく)
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平和祈念公園に入ってゆきます。
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この橋の下をのぼりきると、別の世界が。
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疲れてはきてますが、見慣れない光景がはげましてくれます。
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ざわわ、ざわわ、ざわわ。風の音が通り過ぎてゆきます。
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曇っていても、糸満の海は輝いていました。
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中間点をめざす海岸通り、もうすぐ糸満市役所だ。
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ざわわざわわざわわ みんな風の中
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