たのしみが、ギャフン
Uターン地点に近づくにつれ、たくさんの折りかえしランナーと出会うようになります。
意気揚々と、帰路にはいったランナーたち。
一方、まだ半分に満たないわたくし。
自分の順位というものが、いやでもはっきりしてきます。
ま、それはそれで。
そのだいたいのランナーと、ひと声、かけ合います。
尾瀬の木道みたいな光景。
いろんな走りを見られるのも、たのしいです。
なによりそれは、表情にあらわれてきます。
必死な顔と、響きわたるような呼吸音。
これは、もう、わたくしには真似のできない走り方。
なんで、自分はいつも、ニヤニヤしてしまうんだろう。
このあたりが、レースには向かない性格なんでしょう。
ゴール地点まで、やってきました。
ここを通過すれば、あと半分です。
進路が逆になり、のぼり道に切りかわります。
もはや、走ってすすむ気力なし。
しばらくは、歩く。
といって、ただ歩くだけじゃ、能がありません。
単なる苦行です。
せっかく歩くんだから、せめてピクニック気分を。
そう、おいしいものモグモグしながら、のぼるよ。
リュックの中をさがして、ハッとします。
あれ、食べものが入っていない。
そうか、お菓子は、車の助手席に置いたままじゃん。
リュックに入れるのを忘れているなんて。
いやはや、旅のたのしみが半減です。
本日のコース、沿道にコンビニどころか自販機ひとつありません。
そもそも、だからお金も持ってないし。
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ここは、お菓子モグモグですすみたかったなあ。
後半戦の展望
折りかえすと、ぐっとランナーの数がへります。片道コースのランナーがいなくなる、のも一因。
ドンジリに属していることが、最大要因。
ひと気がひいたコースになると気がつく「クマさん注意」の看板。
注意ったって、何を注意すりゃいいんですか。
とはいえ、まったくの単独行ではありません。
そういう中で目に入ってくるランナーを見ると、ホッとした気分になります。
お互い、後塵を杯する非実力者同志(失礼)。
なんとなく、親近感がわいてきます。
近づいたり、離れたり。
抜いたり、抜かされたり。
だんだん、顔を覚えてきちゃいます。
といって、ライバルか。
そういう感情には、なれません。
敗走兵同士、というところまでは、ゆきませんが。
そういう中で、おもしろい傾向があります。
女性ランナーの場合は、最後は、グイとわたしを追いぬいてゆきます。
ついてゆけません。
根性の差でしょうか。
男性ランナーの場合は、お互いがジリ貧になりつつ、いやあ、と照れながらの並走。
だいたい、こんなものです。
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前をみても、ひとり。
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うしろを振り返っても、ひとり。
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たぶんこの山をグルリと周回しているので、やはり一度はテッペンに立つべきかも。
至福ラン
折りかえしも、後半になってくると、くだりが目だってきます。
こんなに、のぼってきていたんだ。
不思議な感覚に入ってしまうほど、くだりがつづきます。
路面は、前日の雨をすって、とても柔らかくなっています。
足に、とってもやさしい。
ときおり、遠くの谷をこえた風の音が、ひゅーっと届いてきます。
すでに、落葉をはじめているものもあります。
もう少しすると、この道も、葉っぱでおおわれてゆくでしょう。
からっ風が、ふきぬけるようになるでしょう。
山の季節の切りかわりは、あっという間です。
こんな空間。
このレース中で、いちばん好きな時間帯です。
走るって、気持ちがいい。
走りのすべてがそろっているような瞬間。
これが、このレースの醍醐味かも。
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静けさの中を、足音がすすんでゆきます。
デジャブ
緑色にそまったロードが、急に色彩を輝きはじめる。
太陽光線に反射する山肌。
ああ、そうだった、ここ、ここ。
急に山からぬけ出た、とおもわせる広い空間が目の前にあらわれてきます。
場面の切り替え。
そう、あとは山道は林道になり、直線路をくだってゆくばかりとなります。
車も走れるジャリ道となり、大小の砕石がならぶ光景。
あとはもう、重力の勢いにのって、くだるだけです。
その先に、ゴールがまっています。
ここにきて、急に、力がわいてきました。
ここにきてかい。
もうちょっと前に、マジメに走り出せなかったんかいな。
それができれば、記録は少しはのびるのですが。
そして、いつもいつもの、感動のゴール。
3時間53分49秒。
制限時間は、5時間だからね、まだ余裕。
そして、いつも比較相手は、自分です。
昨年の記録を調べてみると、3時間55分11秒。
ほとんど変わらず、という結果でした。
ねらってたわけでは、ありません。
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急に前方が、明るい空間の予感。
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あとは、林道をザザッとくだってゆくだけ。
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ゴール会場は、もう静寂が半分。
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最後は、昭和村名物、朝採れのレタスがプレゼントされます。
いやし
トレラン会場には、3つのお店のほかに、2つのいやしのテントが店を開いていました。
670人規模のレースだったにもかかわらず、豪勢です。
ひとつは、アロママッサージのお店。
東京、東京、山中湖から、3名のスタッフさんが出向されているとのこと。
もうひとつが、テーピングサービスのお店。
ここは、スタート前には、行列ができていました。
そういえば、トレランランナーって、テーピング愛好者が多いような気がします。
膝のまわりにクルリとまいたり。
太モモや、フクラハギにシュッと貼ったり。
あれを巻くと、どういう感じになるんでしょうか。
大リーグボール養成ギプスみたいな効果があるのかな。
まったく、的外れな発想かな。
あまりに遅いわたくしには、どちらも、なかなか敷居が高い感じです。
そういうランナー用のブースもあったらうれしい。
トレラン・カーブスみたいな。
午後の日差しもまわってきて、のどかな雰囲気のゴール会場。
ことしも、たのしめました。
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さすがに、ここに寝る勇気はもてませんでした。
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スタート前は、テーピングコーナーは大盛況。
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本日のハキモノは、子供からプレゼントしてもらった「足袋型トレランシューズ」、レース前編。
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レース終了時、大事にはきましたが、少々、よごれはついてしまいました。
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静けさの 中でまったり 思索ラン
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