相棒
旧精進小跡(71,7キロ)を出ると、気分がちょっと変わります。
あと30というより、方向が変わるということです。
ここから、スタート地点に、方向変換。
つまり、ここがスタート地点からいちばん遠い場所。
もう、もどるだけです。
これが、いがいと気持ちに関係してきます。
単純思考。
今回は、精進湖畔から、ひとりのランナーさんと伴走状態でした。
ほぼ同じペース(わたしの方が若干遅い)。
ですが、相方さん、わたしのペースに合わせてくれています。
名古屋からの参加、ということでした。
いろいろと、話がもり上がってきます。
ふだんは、いつもひとりランですから、たまにはオシャベリランもいい。
ウルトラは、こういう走りもたのしめます。
長い長いのぼり坂も、お互いガンバロー的に、歩かず上までゆけました。
前回、前々回は、半分以上あるいた場所です。
さらにゆくと、もうひとりのランナーさんも合流。
いい思い出。
そしてなんとか、吉田のウドンエイドまで、もどってきました。
このあたりで、体力は、つきかけています。
どっこいしょ。
イスにこしかけ、つい長居をしてしまいました。
ここまで付き合ってくれた相棒さんは、先へいったようです。
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今回は歩かずのぼれた長い橋。
ついに、富士山登場
さあ、再スタート。
ところが、なかなかスイッチの切りかえがむつかしい。
くわえて、いきなりの、のぼりです。
なんとか歩幅をせばめて、ピッチをあげてみます。
これで、少しばかりのラン感覚へ。
スピードは、出ていません。
でも、走りの自己(満足)感覚さえもっておけば大丈夫。
不思議と、周期的に、カラダ状況が変わってきてくれますので。
これは、歩きのリズムのなかにいると、できません。
なんとか、西湖畔に入る道まで、もどってきました。
帰路は、西湖の南岸へむかいます。
このコースの前半は、湖の眺望はまったくききません。
木々のあいだを、すすむだけ。
やがて、第五関門(80,3キロ)に到着。
締め切り35分前。
まだ余裕あるじゃん、と1度気をゆるすと、取り返しがつかなくなることがあります。
緊張の糸は、切りたくない。
この先で、うれしい施設エイドとの遭遇。
なんと、富士山コスチューム。
今日見た、唯一の富士山です。
ついに、富士山を見たぞ。
という、どこか脱力気味の会話で、もりあがりました。
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吉田のウドンエイドを出て、さあ走りモードへ切り替えたい。
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西湖に入ってゆきます。
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ついに富士山を見ることができましたよ、ありがとう。
さらば、湖
西湖の東岸に入ってゆくと、大きな西湖が望めるようになります。
西湖は、たおやかです。
太陽がでていれば、ちょうど西にかたむくころ。
キラキラと輝く湖面が、とても好きです。
ですが、本日は、太陽の完全休養日。
出番なし。
ところが、これが逆に、西湖の幽玄性をかもしだしていました。
出るとしたら、こんなときかな。
そうです、西湖にすむ幻の「ニッシー」。
遠くイングランドのネス湖に通じる西湖に住むといわれる恐竜です。
もちろん、お兄さんは、ネッシーです。
(わたくしの、まったくの妄想恐竜です)。
決定的なチャンス到来かも。
しばらくは、カメラをかまえて走りましたが、ダメでした。
うーん、思考能力も、限界かも。
とにもかくにも、休みさえしなければ、前にはむかうはずです、理論上は。
理屈を考えている余裕は、ありません。
無心に走ろう。
アタマへのエネルギーも、すべて走りに注入だ。
そうしていれば、河口湖に入ってゆけます。
のぼり上げた坂を、こんどは、ころげ落ちてゆく。
10キロごとのタイムチェックポイントも、最後の90キロをこえます。
いよいよ河口湖町の中。
ゆるいのぼりが、はじまります。
そして最後の関門、第六関門(92,4キロ)。
ここには、持ちタイム、32分をのこして通過。
ということは、あと8キロをのこして、1時間40分をかけられる。
ムフフ。
といかないところが、このレースです。
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西湖をテクテク。
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今だ、顔を出せ、西湖の「ニッシー」よ。
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前方のトンネルを抜けると、河口湖が待ってるぜ。
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そしていよいよ河口湖。
気合いの入れ場
最終エイド。
すこし場所は移動しましたが、95キロ地点。
ここから、いよいよ山道、3キロ強ののぼりが始まります。
チャレ富士最後の正念場。
天気もよくないので、すっかり夕闇につつまれています。
リュックから、手持ち式の電灯を出しておきます。
このときを待っていたかのように、雨脚が強まってきました。
オナカは、いつもの、ランナー腹巻き。
上は、ウインドブレーカーで、最低限の雨よけにはなっています。
ところが、下は短パンにハダシ、ワラーチ。
下半身の冷え冷え感は、強まっています。
こごえた血液は、オナカにのぼり、オナカを冷やす。
なんとなく、ムカムカ感。
なんて状況分析して何になる。
もう、一歩一歩、前にゆくだけ。
最低、早足歩き以上をつづければ、時間内ゴールになるはず。
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閑散としてきた最終エイドを、たちます。
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そして、山道に入ってゆきます。
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刻々と、あたりは漆黒につつまれてゆきます。
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雨脚も強うなって、はっきりいって、寒い。
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のぼりきると、街灯が誘導してくれていました。
おわり良ければ
すっかり、夜のとばりです。
長いのぼり坂に、街灯はありません。
足もとを、電気で照らす。
わたくしを追いぬいてゆくランナーが、ひとり、またひとり。
途中関門はすべてが同一でしたが、ゴール時間だけは14時間と平等です。
わたくし、スタートが一番遅い組なので、ゴールは7時20分まで。
もっとはやく出走したランナーは、ゴール時間が、その分早まっています。
どのランナーが、いつまでにゴールしなくてはならないか。
それは、背中のナンバーの色で、わかります。
わたしより20分はやいレース時間終了のランナーは、もうあぶないです。
そういうランナーに、抜かされざま、声をかけるべきか。
いいえ、だまって見送ろう。
いよいよ会場の灯りが見えてきました。
到着するランナーの名前をよぶアナウンサーの声も、耳にはいってきます。
ああ、なんとか時間内にもどってこられました。
ヨレヨレ。
13時間50分41秒。
9分あまりを残しての、ヒヤヒヤゴールでした。
この種目、完走率は、69%だったようです。
その後、体育館のストーブから、しばらく離れられませんでした。
芯から、冷えた春の夜。
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ゴールの門が、見えてきました。
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そしていただいた完走メダル。100均手袋も、役にたちました。
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しばらく、体育館のストーブから離れられませんでした。
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さらば、チャレ富士会場。
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くらやみの 雨のゴールも オツなもの
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