北オホーツク100kmマラソン2019、サライの会場へ

あついひと

 

小さなアップダウンのつづく道。
前から、走ってくるひとがいます。

うん、うん、今はやりの逆走ですか。
やがて、視線があうと、大きな声で「あと300」

え?
「最後の関門だ、間に合うから、歩くなよ」
「お、おう」
「いいペースだから、歩くなよ」
「あ、ありがと」

逆走するその熱きひととハイタッチをかわすと、そうだな、いよいよ90キロの関門だな、と気がひきしまります。

すると、突然うしろから声が突きささります。
「そうそう、いい調子だ。それをくずすなよ」
あ、今度は、うしろから見てくれているんですね。
こちらは、ふり返る力はありませんから、右手をかるくあげてこたえます。

「いいよ、いいよ、でも歩くなよ」
うしろからの声は、いつまでも続きます。
もしかしたら、アナタは北海道の松岡修造さんですか?

おかげで、90キロ関門は、余裕(?)の、制限時間6分前に通過できました。

 



閉門閉鎖まで、6分を残して、余裕の通過。イヤハヤ。

 

夕ぐれどきの、さみしさ

 

時刻は、刻々ときざまれてゆきます。
太陽が、ずいぶんと西に傾いてきました。
それでも、さえぎる雲も、さえぎる木立もないコースには、夏の日差しがまぶしくそそぎつづけます。

カラダの感覚は、もう、よくわかりません。
アタマは、ボーッとしています。
表現しようのない、疲労感。
それでも、走っている(つもり)。
この感覚がたまらなく好きです。
このために、ずっと走りつづけてきたんだよ、といいたくなるような、あやしい快感

恍惚感ではないんですが、ただトボトボと走りつづけます。
もう、あとはゴールを目指すだけ。

ひと気のない道に、沿道から2人の声援。
「あれ、レースに出てませんでしたか?」
たしか、スタート地点で、お見かけしたようです。
「いやあ、リタイヤしちゃって、今度は応援です」
うーん、ありがとう。

思わぬ出会い方。
コース上の、ひとこと、ひとコマが、胸にきざまれてゆきます。
もうすぐ、町の中。

 



泣きたくなるような感動的な夕暮れ時。

 

ゴールが視界に

 

ゴール会場からでしょう。
拡声器にのった、大きな声が届いてきました。
まだ、どの方向にあるのかはわかりません。
「さあ、あと5分を切ってきました」
カウントダウンが始まっている、のはわかります。

「あと200」
沿道の声に、まちなかのコースを左手におれると、突如として感動的な空間が視界に入る。
一直線にむかう道。
その先が、照明でキラキラと輝いています。

ああ、ようやくゴールが見えた。

ゴールの周辺では、たくさんの方が集まっています。
もちろん、こちらに注目。
日常では、まったく注目もされないわが人生にあって、この展開。

そのとき、ゴール会場に音楽がなり響いていることに気がつきました。
あれれ、この曲は、聞いたことがある。
も、もしかして、『サライ』ですか。

いまはテレビを見ない生活なのでわかりませんが、かつて24時間テレビのゴール会場で歌われていた曲じゃありませんか。

え、その再現ですか。
すると、足をひきずりながら入ってゆかないと、サマになりませんか。
ゴールテープを切ったら、倒れこむのを期待されてますか。
感動の涙が必要ですか。

いきなり、ココロが乱れて、思考停止になってゆきます。

 



ついにゴールが視界に入ってきました。サライも聞こえます。

 

役者には、なりきれません

 

ははは。
ちょっと表情がかたいかな。
ゴール手前のコースは、手を挙げた応援者の列。
順番に、ハイタッチ。

そして、なんとか、ホントになんとか、ゴール。

ホッとして、立ちすくんでしまいます。
何とか、感動的なオッチャンを演じたい気持ちはありますが、シドロモドロ。
えへへ、と芸のない笑いばかり。
まだまだ、修行が足りませんねえ。
せめてポケットに『タラタラしてんじゃねえよ』くらいをしのばせておいて、モグモグ食べるくらいのパフォーマンスができたなら。
それとも、そんなことしてたら、タラタラ走ってんじゃねーよ、って石が飛んできてしまいますか。

13時間58分31秒のエンディング。
制限時間1分29秒前という、ねらっても無理なタイム。
いやはや、ギリギリの127,767歩の旅でした。
神経、疲れました。

マラソンとプロレス中継は、ちゃんと終わりどころがあるんですよ、なんてわけではありません。
うそいつわりなく、100%運がよかっただけでした。
そして、多くの方の情けが、地球よりも重かった。
心から、感謝します。

 



ゴール後は、さっそく、会場の撤収作業が始められたようです。

 



急に、会場に夕闇が舞いおりてきました。

 

あぶないひとリスト

 

ゴールとともに、大きな花束をもった美女がやってきて、なんてことはありません。
近づいてきたのは、「救護」と書かれたビブスを着た方です。

「大丈夫ですか」
「ダイジョーブではありません、ボロボロです」
「歩けますか?」
「オナカすきました」
かみ合わない会話。

たしかゴール会場には、カレーライスがある、と聞いていました。
ノロノロと会場エイドまでゆくと、うーむ。
もう、片付けがはじまっています。
「おしまいですか?カレーはないんですか」
このあとアリーナ内で開かれる、後夜祭で食べられますよ、と。
また、おあずけですか。

アリーナでは、シャワーを浴びられたので、サッパリ気分で、後夜祭に遅れて参入。
真っ先に目指したものは、カレーライス
疲れた空腹に、カレーライスは最高のごちそうとなりました。
ああ、おいしい。
ひと息ついた次は、やっぱ北海道です。
サーバーからついでいただいたヒエヒエの生ビール
ゴクゴク。
うーん、オナカの中から、しみじみと生きかえってきました。

100キロコース392名出走、248名完走。
完走率63,2%だったそうです。

 



アリーナで盛況だった後夜祭会場。レース以上の熱気でムンムン。

 



そして、ここまで来たら、やっぱ最北端の宗谷岬に立たねば。翌日の光景。

 



稚内市内に入って、真っ先に入ったところ。旅は地元の本屋さんから始まる。

 

たーさん
涙なし ゴールのわけは 脱水です

 

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