赤城の森トレイルラン2019、森の妄想

森のトレイル

 

自然林の中の森の小径(トレイル)。
すんだ空気。
大自然にいだかれた、心やすらぐ空間。

都会のランナーにおかれましては、トレランのイメージって、おしゃれ

生い茂った草やツル。
ヘビにカミナリに毒虫。
歩けばからむクモの糸。

はい、ふだん徘徊するわが里山の雰囲気は、こんなものです。
なんで、そんな道に入ってゆくのか。
常識の欠如、ゆえの酔狂なんでしょうかね。

ところで、トレイルランニングです。
名前は、カッコいい。
8月18日、赤城山の北面でおこなわれたレースです。
ボクは、30kmコースに参加しました。
しかし、正直申せば、長いのぼり坂ではランニングがつづきません。
すっかり、トレイルウオーキングになってきました。

 



ランニング? ノー、 ウオーキングです。前のランナーも

 

山道の装備

 

舗装されていない山道。
とくると、アタマに浮かぶのは、長グツ地下タビです。
富士山は、地下タビでのぼっています。
六根清浄。
近所の雪の積もった山道は、長グツが便利です。

今回は、走りが入るので、長グツは向きません。
12枚のコハゼをはめるひざ下までの地下タビにしました。
これだと、小石も入りにくい。
ふだんの畑作業用のやつです。

営林署の方ですか?」
そう聞かれましたが、笑って「いいえ」と答えておきました。
見りゃあ、わかるだろう。
って、わからない格好しているから、こういう疑問を持たせてしまうんですね。

一応、今日はランナーです。
たとえ、コスチューム的には、あか抜けていなくても。
仕方なし。

 



スタート前。畑のドロも洗ってきています

 



ゴール後。畑仕事のときより、キレイです

 

 

分け入っても

 

スタートは、予定よりも10分遅れ。
なんでも、しゃべる人が遅刻してしまったから、というユルイ大会。
その流れでではありませんが、後方からのユルユルスタート。

すでに、前方は長く大きな縦列
そう、トレランのひとつの特徴は、道幅がせまいことです。
スタートは二車線を解放して、なんて状況はつくれません。
最初から、山道。

後ろの方のユッタリペースの流れにのって、息を整えてゆきます。
やがて、縦列は自然に前後にのびて、バラけてゆきます。

 



行きにはいただけた、スイカエイド。帰りには、もう残っていませんでした。

 

そして、徐々にまわりを囲むのはランナーから、自然の景観へと変化をはじめます。
沿道から、声援をおくるひともいません。
人家もありません。

天気予報では、相変わら熱中症予防情報を流していますが、木洩れ日の光は、やわらかさを感じさせます。
汗は、いっぱい流れてきますが。

サクサクと、走りつづける。
すると無性に種田山頭火が思い浮かんできました。
だんだんと、気分はレースから旅気分に。
山ごえ、垰ごえの旅。

 



さわやかです。気持ちいいこと、このうえなし

 

漂泊の俳人

 

種田山頭火は、明治15年に、山口の大地主の長男として生まれます。
しかし、やがて家は没落。
おおきな造り酒屋も破綻させ、家をすて、家族をすて、放蕩の旅人になってゆきます。
そんな中で、自由句をかきつづけ、59歳でポックリと脳卒中でいったひとです。

やくざれ人生の中で、季語や五七五にこだわらない自由律は、こだわるものを捨ててきた、あるいは逃げてきた生き方に重なるのかもしれません。

しようもない人生。
でも、どこかで惹かれるのはなぜでしょうか。
自分も、そうなのかもしれない。

いくつかの句は、おなじみかもしれません。

・分け入つても分入つても青い山
・どうしやうもないわたしが歩いてゐる
・捨てきれない荷物のおもさまへうしろ
・うしろすがたのしぐれてゆくか
・うつむいて石ころばかり
・ころりと寝ころべば空
・青葉の奥へなほ小径があつて墓
・あるけばかつこういそげばかつこう
・ひとり山越えてまた山
・いつでも死ねる草が咲いたり実つたり
・うれしいこともかなしいことも草しげる
・すべつてころんで山がひつそり
・つかれた脚へとんぼとまつた
・どうしようもない私が歩いている

どれも、森の中を走る心境に付き添ってくれます。

 



後半は、すっかり静けさの中の行脚となってゆきました

 



前後に、誰もみえない空間、も増えてきました

 

ゴールの先の現実世界

 

あわい緑色の世界。
セミと風のよぎる音しかない世界は、こんなボクでも、ココロが洗われてゆきます。
おお、こうなるんだったら、白装束で参加すべきだったでしょうか。
首から、ホラ貝をぶら下げて、ブオーと鳴らしてみたい。
山伏ですか。

あるいは、頭に懐中電灯をツノのように縛りつけてみるとか。
八つ墓村ですか。
すっかり、妄想の世界に、入りこんでしまっています。

ペースは、ゆっくり自分ペース。

やがて、前方下の方から、スピーカーの声が聞こえはじめてきました。
ゴールまで、もう少し。
そして、ゴールライン

完走証には、「30kmの部」と書かれています。
でも、ウデのGPS時計は、27キロを過ぎたところです。
いえ、コースはズルしていません。
実際の山なり、道なりの距離と、頭上から計測する理論値の誤差でしょうか。

ま、そういうアバウトな感じも、楽しい大会です。

ゴールでもどった世界では、朝とれた新鮮な地元レタスをいただく。
かき氷も、いただく。
暑い日の、小さな旅、すてきなレースでした。

一応、30kmの部。
3時間53分37秒。

 



ゴールラインが目の前に。遅いから、人出の波も去っています

 

最後になってしまいしたが、ふだんは人通りのなさそうな今回のコース。
じつは、倒木や一部で生い茂った草たちで、野生化していたそうです。
それを、地元の方が、コツコツと整備してくださったあとのレース開催でした。
本当に、感謝いたします。

 

たーさん
妄想と 空想ふくらむ 森の小径

 

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