みちのく津軽ジャーニーラン(142k)、ここはドコ?

第6チェックポイント(121,1キロ)まで、の途中で

 

「次のエイドは、30キロ先だよ」
「ずっと、ずっと真っすぐいって、最後はちょっと曲がるよ」

91,1キロ地点のエイドスタッフさんに、アドバイスをいただきます。
こういう「生情報」は、ありがたいです。

ともあれ、これからの30キロは、エイドはありません。
タンタンと進むだけです。
とはいえ、五所川原市を突っきるルートです。
道すがら、コンビニや自販機はいろいろとあるようです。

ひきつづき、ひろい畑の中を、まっすぐににむかいます。
まっすぐ、まっすぐに、のびている道。

『The  Long  And  Winding  Road』
ビートルズの名曲が、アタマをよぎります。

やがて、GPS時計の表示が100キロを超えました。
まだ、午前9時前です。
あと、フル1本分。

帰りの電車にあわせた自分のゴール設定時間の午後5時まで、8時間余あります。
フル1本8時間
ハーフに換算すれば、1本4時間を2本。

よし、いける、いける。
やがて視界にローソンが見えてきました。
あそこで、すこし休もう。

 



原則、歩道があれば歩道を走るんですが、ここまで野生化した歩道は走りにくい。

 



100キロをこえて見えてくる光景も、あまり変化はありません。

 

異変

 

気温があがってきて、汗の量がふえてきました。
カラダが、熱くなっています。
冷房のきいたローソン店内は、心地よい。

麦茶とアイスを買って、ローソンの日影でくつろぎます。
つめたいアイスを、ガリガリ。
(ガリガリ君じゃありませんが)

「さて、ゆこう」
これからも、集中力をきらさない、あせらない。
小さな一歩も、ゴールに近づく一歩に変わりなし。

歩道がないので、ガードレール寄りに、気をつけて走ります。
ときおり、トラックが、猛スピードで走りぬけてゆきます。

それにしても、変わらない光景です。
そして、いつまでいっても、ランナーの姿が見えてこない。
ふり返っても、追いかけてこない。
青森、広し

「あれ?」
ふと気づいていたのですが、頭上の道路案内板の行先が「竜飛岬」とかかれています。
ふーん、この道も竜飛岬にゆけるのか。
たしか、竜飛岬は、北の方角だったような気がしたけど。

とにかく、休むな、歩くな。
たんたんと距離をかせげ。

なにしろ、いくらいっても五所川原市街地に入ってゆけません。
人家が、まったくない。
たしか五所川原って、大きな町って聞いてたけど。

「あれ?」
看板に「中泊町」とかかれています。
中泊町?
たしか、朝に通りぬけていかなかったっけなあ?
フラフラ状態で休んだ、夜明けのローソンが中泊町だったような。

 



これで生き返るんだよな、と思っていたら、そうは問屋がおろしませんでした。

 

ここは、ドコ?

 

左手に、広場とお店の集合体がみえてきました。
一番手前は、ファミマです。
あそこで、冷たいものを飲んで、考えよう。

ファミマの前のベンチに、ドッカと腰を落として息をととのえます。
まずは、大会でわたされた紙の地図帳をひらきます。
「まっすぐにゆけば、いいはずだよな」

迷うはずのない行程です。
でも、紙の地図だけでは、現在地がわかりません。
そこではじめて、スマホの地図アプリ「Map」というのをひらきました。
スマホ不慣れ。

そこには、現在地向いている方向がしめされます。
「おかしいな」
どうみても、向いている方向が「」なんです。
弘前市は、南にあるはずです。
そして現在地を拡大すると、朝にとおった道にすぐに出そうです。

「えっ、何?ナニ?」
なんで、こんなところにいるの?
ここはドコ?わたしはナニ?

しばらく、アタマは真っ白状態
思考回路が、かんぜんに遮断してしまいました。

どうも、「コースアウト」していたようです。
それも、絵にかいたような逆走
走ってきた道の逆走なら、対抗するランナーで気づくこともできました。
そのルートに、ほぼ並行して走る道があったなんて。

そう思うと、ナルホド場面もでてきます。
南に走っているはずなのに、いつの間にか、太陽は背中から差している。
雲がでて、それも気づきにくくなっていましたが。

 



前にも、後ろにも、どこにもランナーらしき人影なしの孤独走りがつづきます(もうコースアウト場所)。

 



あとから気づいたのですが、いつの間にか風よけが左手にきています(逆走ですから)。

 

決断

 

ともあれ、正規のルートにもどらなくてななりません。
しかし、そうとうな距離を逆走していたようです。

どう見積もっても、約12キロの逆走。
12キロもルートをはずれていても、ナニも気がつかなかったのか。
いやはや、自分でもあきれるボケ具合。

すると、レースにもどるためには、再び12キロのトラックビュンの道を走らないといけないのか。
すると、午後5時までにゴールして、5時41分発の電車に乗る計画はおジャンか。
それどころか、今日中に帰る計画も、はなはだやばい。

それでも、時間はまだ午前11時前です。
たとえゴールは無理とわかっても、ゆけるところまで走りきるのが「武士の志」というもんじゃないだろうか。

でも、わたくし、武士じゃないもん。
そういえば、ゴール横の「さくら野百貨店」には、日帰り温泉施設があるっていってたな。
はやくもどって、汗を流して、快適に帰りたいな。
ま、今回は0泊2日の、弘前温泉旅行だったということにして。

つくづく、自分の意志の低さが露呈されてしまいます。
そして、腕時計のGPS計測の終了を押しました。
ルートから離れたファミマの前のベンチ。
走行距離113,0キロ、レース時間20時間12分4秒。
あわせて、スマホでレースのリタイヤボタンを押しました。

まったく、予期しなかった流れのなかの幕切れ
津軽ジャーニーランの、あっけない終了。

 



ボクのゴール地点となったファミマ中泊店113キロ地点、あーあ。

 

すぐには、終わりません

 

リタイヤを決めたら、あとはゴール地点までもどるだけです。
なにしろ、ゴール地点からは、まだエンエンと離れています。
しかも、近くにスタッフやランナーがいる、わけはありません。
こんなところで、ひとりゼッケンをつけてウロウロ、ああ恥ずかしい。

このレース、すべて「自力」が基本です。
リタイヤしたら、自分でもどる。
ゴールまでもどれなかったら、その旨を連絡すれば、後日スタート地点であずけた荷物を送ってくれるそうです。
ということは、できません。
スタート地点の荷物に、電車の切符もはいっているからです。

ともあれ、ファミマの方に、確認の意味で、最寄駅をうかがいました。
津軽中里駅ですよ」
うーん、やはり午前6時前に発ったエイドの駅です。
距離は、2〜3キロだそうです。
いきなり、4時間前にタイムスリップ。

それを聞いて、疲れが一気におし寄せてきました。
当たり前ですが、もう走れません。
うーん、背に腹はかえられず、タクシーの番号をしらべはじめました。

ゴール地点まで、舞い戻ってきてしまいました。
「生きていてすいません」の太宰治の心境です。
はやいランナーが、一人、一人とゴールしてきています。
まぶしい。

ともあれ、まずは日帰り温泉へドボン。
汗と疲れを、ザブンと流します。

結局、弘前では本屋さんにも、食べもの屋さんにも寄れずに、帰路です。
初のみちのく津軽の旅は、わが認知機能の低下を思いしらされておわりました。

 



むなしく眺めた、幻のゴール地点。シンプルなつくりですが。

 

おまけの検証

 

わが腕時計GPSの記録した、走行地図です。

スタート・ゴールは同じ弘前市なので、時計周りに輪っかを作れれば完走です。
が、五所川原市手前の地点で、ズバリと途切れています。



 

拡大すると、100キロ地点をすぎて、走ってきた道に並行する道に迷いこんでいます。
つまり、ほとんど逆走です。
その距離、およそ12キロ余。
もはや高速を逆走する迷惑ドライバーをバカにできません(同類です)。
そして、結局113キロで、コト切れてしまいました。

 



 

Uターン場所を拡大すると、四つ角がでてきました。
ここにローソンがありました。
このローソンで、アイスをガブリ。
そして、本来なら339号という右上からきた道を、まっすぐ右下に進むだけでした。
地図には、おめでたくも黄色く塗られた道です。
なのに、ググッと左上のコメ・米ロードという白く塗られた道へと入ってしまっていました。
うーん、何でそんなルートをとるん?

 



 

こういうことをしてしまうお年頃となってしまったわけです。
しかも、それを12キロも気がつかない。
逆走距離ギネス
こんど、介護保険の申請をしたほうが、よろしいでしょうか。
徘徊にも、ほどがある。

 

 

たーさん
まよい路 気づかずすすむ ボケアタマ

 

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