小鹿野ロードレース2022、かえりの風景

折り返しの道

 

折り返し点をさかいに、景色がかわる。
といって、こんなにもみごとに、切りかわるものでしょうか。
かわりうるんですね。

人生だって、同じじゃありませんか。
わたしはもう、堂々たる折り返し人生。
目にうつるすべてが、昔とはちがってみえています。

ちがってみえるから、生きかたもかわる。
かわれないひとが、政治家とか、ニュースを騒がせるひとになるんでしょうか。

そうそう、小鹿野ロードレースの折り返しコースです。
ついさっきまでののぼりと、空間が切りかわりました。
まず、加速がつく。
まるで、ターボエンジンをしょったみたい。
ターボエンジンって、どんなエンジンだか詳しくありませんが。

くだり坂の妙です。
こんなにもくだっていたんだ。
のぼっているときには、気づかなかった傾斜です。

両側にせまる山の斜面や木々が、映像のようにうつりかわってゆきます。
それが、いっそう、スピード感をもたせます。

もしかして、自分、はやく走っている。
いいえ、錯覚です。
そんなスピード、出せるわけないじゃないですか。

でも、そんな気分にさせてくれる復路のスタートです。
のぼりで力を出尽くしていなかった余裕でしょうか。
気分は、ちょっとルンルン。
さあて、いつまで、もつでしょうか。

 



なんだか、タッタカ走っている錯覚を味わえる道。

 

いっしょケンメ

 

まわりのランナーのペースにのる。
こういう醍醐味が味わえるのが、レースのいいところです。

ふだんは、ひとりですから、こういう体験は味わえません。
ひとりで、いっしょケンメ走るなんて、無理です。
そういう根性は、もちあわせていません。
なにより、つづきません。

周囲のランナーさんたち、けっこうなペースで、かけおりています。
この流れに、のっちゃえ。
だって、どんどん抜かれる一方というのも、さみしいですし。

あとで見直したら、このあたりはキロ5分を切るペースでした。
自分ひとりでは、もはや望めない世界です。

問題は、いつまでこのペースでゆけるかです。
どう考えたって、ゴールまでもたすなんて論外です。



こんなコースが、続いたらいいんですけど。

 

いいペースがかわるとき

 

レース後半戦、いつまでもルンルンペースで走れたら、最高です。
しかも、驚きの記録までついてきます。
ところが、マラソンに奇跡はない。
よくいわれることです。
皮算用の通用しない世界。

走っている最中だって、このペースは自分じゃないよな。
よくわかっています。

いつ、ギアが切りかわるかか。
つまり、スピードがガクンと落ちるか。
これが、いがいによくわかるんですね。
あ、ここで落ちるぞって。

ただ、走りながらそんなことを考えてゆけるほど余裕はありません。
ただただ、急に呼吸がかわってくるだけです。

それでも、過去の経験から、こんな状況にはいると落ちる、そう思える瞬間があります。
具体的には、景色が「特別に見えはじめたら」です。

くだりの傾斜が終わっちゃったなあ。
ずっと前見えるけど、まだまだ長いなあ。
あそこから、のぼり坂が始まるぞ。

つまり、視覚の情報
それも、キツくなりそうだなと思わせる、景色への切りかえのタイミング。

つーことは、多分に心理的ってことなんでしょうか。
うーん、打たれ弱い性格。



いろんな視覚情報が、なにやら負の感情をよぶ、とか。

 

もっとニブく

 

意識がかわると、走りの世界がかわる。
ならば意識をうまく活用して、ランをかえよう。
筋トレいらないし。

まことに安易な発想です。
あいかわらずのノー天気思考。

そのためには、どういう手立てを用いればいいか。
努力」という選択肢は、なしにして。

そこでたどりついたのは、見なけりゃいいんだよ。
考えなきゃ、いいんだよ。

見ざる。
考えざる。
徳川家康公の教えのアレンジ。
コレなら、なんとかなる。
というより、ふだんから、してないか。

そして思いだすんです。
のぼり坂とか、くだり坂とか考えていない方が、ふつうに走れていないか。
うちのまわりは、坂には不自由しない環境ですから、ふだんは気にしません。
気にしていたら、走れません。

そういうときは、どう走っているか。
視線を上向きにする。
あるいは、足もとに固定。
景色に焦点をあわせず、ボッと走る。
あえて、度があわないメガネをかけているように。

うーん、ナイスアイデアではないか。
これぞ、ランナーズハイ。
自己陶酔、あるいは、手のつけられないアホ。



できるだけ考えないで、ともあれ前にゆこう。

 

宿題

 

ペースは、しっかり落ちてます。
それでも、ゴールがせまるつつある町なかの最後の直線路。
そうそう、ワラジのお寺の前にきました。

じつは往路時、このお寺近辺で「もの知り」風のジジ3人に、順次声をかけました。
「ここにワラジを奉納しているお寺がありますね」
「ああ、あるよ」
「何で、ワラジを奉納しているんですか?」
「何だべなあ、100年も200年も前から、やってるよ」

わたくしの納得する答えになっていません。
レース中だし、それ以上、立ち止まるのもナンだし。
帰り道で、また聞こう。

ということで、復路でも沿道をキョロキョロ。
ところが、スタート時の人出は、もはやありません。
もうすぐお昼の時間だし。

どこぞにインテリ老人はおらぬか。
郷土史愛好家はおらんか。
そう思っているうちに、お寺の前を無情に通過。

こうなったた、もうゴールにとびこむしかない。
ゴールは、スタート時にくぐれなかったかわいいアーチの下を通ります。

タイムは、1時間54分21秒とのこと。
自分的には、パチパチでした。

ゴール後、小鹿野小学校校庭でも、モノ知り風の方にワラジ、ワラジと声をかけましたが、解決ならず。

ワラジ奉納のナゾ。
あとで知ったのですが、ご当地名物となっているという「ワラジカツ丼」を食べなかったこと。
以上2点が、宿題として残されました。
が、なつかしの秩父路のいい大会でした。



ああ、ワラジ問題を解決せぬまま終わっちゃうじゃないか。

 



このアーチのかわいらしさが、かわいく感じました。

 



このワラジは、もうちょっとはけるので、ワラジ寺への奉納はまだですね。

 



ゴール後の通りの、しずかな路地裏風景。

たーさん
くだり坂 人生かさねて たのしみたいが

 

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