飛脚走りで、草木湖一周

草木湖一周マラソン全国大会 2018年9月16日

 

渡良瀬渓谷をせき止めた草木湖ダムがつくる草木湖をグルリと反時計回りに周回するレース。
約19キロの道のり。
このコースの参加ランナーは約400人弱。
それでも、「全国大会」と盛大に名のっています。

ああ、ダム湖の湖畔ね。
水の音を聞きながら、爽やかさに包まれながら走れる大会なんだ。

ときどき、こんなカン違いで参加しちゃうランナーもおられるようです。
でも、それが思いちがいかもしれないという疑心は、スタート・ゴール会場のみどり市東運動公園に足を入れた瞬間、核心にかわってゆきます。

見上げれば、巨大なダムの壁

そうです。
大会会場は、ダムの真下につくられています。
もしダムが決壊したら、まがうことなくここのみなさん全員が同じ運命で消えてゆく、そんな不安もかもしだす会場です。

 


 

ともあれ、レースは、まずあのダムの上までかけのぼらねばならない。
実際にスタートすると、思惑がウソではなかったことに気がつきます。
のぼって、のぼって、のぼって、ダムまで登りつめてゆくと、奥深い湖面をたたえる草木湖の全貌が顔をだします。

 

ここから長いのぼりです

 

ハア、ハア、ハア。
やっとダムの壁まであがってきました。

ダム湖が、ずっと先まで見渡せます。
湖面がキラキラ。

どれどれ、一息。
と思ったところで、場違いな看板に出会います。

ここから長いのぼり坂
確かに、こうに書かれています。

長いのぼり坂をかけあがってきて、ようやくダムまでのぼりつめたんだよね。
この看板は、スタート地点に置いとくもんでしょ。
なんで、こんなところに置いておくんだろう。
カン違いしちゃったのかな。

カン違いではなかったことが、すぐにわかります。
ダム湖を見おろせる湖畔に出たものの、ここは渓谷をせき止めてつくられた人造のダム湖です。そう、ダム湖。

天然の湖とダム湖の大きな違いは、ダムにたまる水量によって、湖面の高さがつねに変わってゆくということです。
干上がれば、湖面はぐっと下がります。
大雨がつづけば、逆にグーンと湖面は上がります。

ゆえに、湖面にそった散歩道、のようなのどかな光景はありません。
湖面は、キケン区域なんです。
湖面に勝手に近づいてはキケンです。

しかもダム湖の両脇は、傾斜のきつい崖面でおおわれているのが定番ですから、そこをとおる道筋が平坦であるわけありません。

たしかに、けわしいのりがはじまっています。
というか、相変わらずつづいています。
ハア、ハア、ゼイ、ゼイ。
まわりのランナーのはく息が、周囲にこだましてゆきます。

 


 

のぼりだけの人生はない

 

長い坂道を、息をはずませてのぼりつづけると、ようやく地面が平らになってきました。
と、思う間もなく、一気にくだりはじめます。

平らにせんかい。

せっかくかせいだ高度を、こんどは一気にはき出させようというコース設定。
会社の出口に、呑み屋さんが店を並ばせているような光景です。かせいだお金を、さあ、思う存分使ってください。

伝え聞いたところによると、全ルート中、平らな区間は2割ほどとのこと。

右方は切り立って湖面へ、左方は山につらなる傾斜。
木々がおい茂り、秋をむかえて至るところ山栗のイガや木の実がコロコロ転げ落ちています。
マラソンルートを歩くだけで、そうとうな栗の収穫が期待できるほどです。

山栗は、小粒ですが、キュッとしまった真っ黄色の実が甘くておいしい。

やがてわたらせ渓谷鐵道を横切ります。
運がよければ、列車が見られて、しかも遮断機がおりている間、休息がとれます。

 


線路は続くよ、どこまでも

予想外の暑さ

 

雨で、肌寒い。
天気予報は、こういっていました。

念のため、レインコートも準備。

しかし、人生というもの、準備万端していると、しばしばタガをはずされるものです。

青空がまぶしい。
太陽光線が、痛い。
と思ったら、雲がモクモク。すき間から太陽。
そのため、蒸す。
こういうものなんだ、天気も、人生も。

思いおこせば、大雨の日もあったのです。
日記で振り返ると、2013年9月15日のこの大会がそうでした。
台風が京都地方に大雨の被害をもたらした日、ここではレースがおこなわれていました。

その日は、朝から土砂降り。
あまりの雨足なので、家からは長靴でやってきました。
レース自体は、地下タビで走ればいい。

ところが、地下タビをだしてビックリ。
両方、右足用です。
ふだん2足を並べておいて適当にはき換えていたためにおこした失態。
それにしても、考えられないようなミス。
右足用の地下タビを左足ではくと、やはりキュー靴。

車には、あとはゾーリしか入っていません。
小さな大会会場には、運動靴屋さんの出店もありません。

長靴、ゾーリ、ハダシ
どれで走ろうか、の択問題です。
いえ、実際の試験にこんな問題が出されたら「正解なし」で却下されてしまうでしょう。

出した結論は、ゾーリで走れるところまでいって、もしこわれたらハダシかな。
でも雨の中、ビチャビチャ、それなりにゾーリで楽しく19キロを走りきれました。
ふーん。

いつのまにか、ダム湖は終わって、最上流の沢入橋をわたります。
渓流が真下に見えてきました。
さあ、こんどはUターンです。


 

中学生集団のおもてなし

 

バカな回想にふけりながらも、順調に走りつづけます。
順調、というのは、欲をかかず、自分なりのペースということです。
今日は、地面はほとんど乾いていて、ハダシにワラジ気持ちいいです。

富弘美術館がみえてきました。
体育の授業中に頚椎を損傷し、以後、口に筆をくわえてすてきな作品を世に出しておられる星野富弘さんの作品をかざった美術館です。
今回のマラソン大会は40回記念ということで、その富弘さんが描いた「走」という字が入った記念Tシャツをいただけました。


ここをめぐると、あとは4キロ弱くらいだったかな、多分。
しかも、もう登りはないはず。くだる一方

ダムを一気に横切ると、ぐいぐいとくだってゆきます。


晴れたおかげで、ゴール会場の土もかわいています。
しかも、キレイな砂が入れられています。

土砂降りになると、まるで田植え時の田んぼみたいになっていた、かつての会場がウソのようです。

ゴールでは、地元中学生を中心に、若い方がレース運営を支えてくださっています。
地元に溶けこむ大会、すてきです。
さわやかにゴール。1時間41分。

いい香りもただよっています。
本日は、「山賊焼き」をいただきました。
どこが山賊じゃ、なんていうツッコミは野暮というものでしょう。
おいしかったです。


レースのあとは、こういうのがおいしい。

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