夏だ、山だ
夏は、山がよんでるぜ。
そういうわけではありません。
ひきつづきの多用で、ことしの岩手銀河100kは、泣く泣くパス。
日程をあらためてみて、ここなら出られそう。
そうして、1年をあけて、HOTAKA SUKAIRECE(武尊スカイレース)に参加させていただくことにしました。
HOTAKAは、漢字にすると「武尊」です。
ちょいと、読みにくい。
ですから、ローマ字にしたんでしょうか。
地元グンマーで味わえる「お山」のスカイレース。
距離は約28キロ、累積標高は1,600メートルほどとか。
このレースをのぞむにあたり、2つの目標をかかげました。
ひとつは「一歩」を大切にしよう。
基本にたちかえる、ですね。
とくに山道ですから、ガシガシ無摂生にゆかない。
ハキモノは、タビ式シューズにしました。
クツ底は、ゴム1枚のやわらかな素材です。
十分に、大地の感触を感じられます。
もうひとつの目標は、「完走」をめざす。
柴又100kでは、あえなく関門アウト。
このまま、関門アウトがつづいちゃうと、気持ちも沈んじゃいます。
スタート地点に立つことに意義がある、じゃさみしい。
やはり、ゴールをめざしたい。
そういう意味でも、特別なレースです。
といいつつも、トレランは、ボクにとっては「遠足」気分がぬけない。
だって、ほとんどの区間、走れませんからね。
ランニングじゃない、ってーの。
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スタート前のにぎわいと、盛況さ。
第一のおたのしみ
梅雨に入って、雨がつづいていました。
ところが、前日からお天道様は上機嫌。
尾瀬の入り口、片品でのレースです。
いくら平地が暑くなっても、ここは別天地だろう。
いえ、すでに朝から暑くなっています。
ちなみに、この日、近くの前橋では35℃を超える猛暑日だったとか。
このレースを、3つの場面、3つのおたのしみと整理してみました。
第一のおたのしみは、最初のピーク制覇。
グーンとのぼって、天空の武尊牧場内をグルリと回っておりてくるコース。
あぶないところはありません。
そして、何よりトレイルのガシガシ登坂もたのしめます。
そう、これをたのしめるか、いなか。
トレランの好き嫌いの、適性判定リトマス試験紙コース。
今回は、完走をめざしたいレースです。
なので、出発時は、せめて集団のまん中あたりでゆきたい。
と、思っていましたが、みなさん元気すぎです。
結局、しんがりグループからの幕開けとなりました。
しばらくは車道をのぼってゆくウォーミングアップ区間。
そしてスキー場ゲレンデにぶつかると、そこをのぼり始めます。
緑の中を、一歩一歩大切に。
とうぜん、ゆったり歩きペースです。
のぼりつめたら、武尊牧場の一角をしめるキャンプ場広場です。
キャンプ場、といっても、範囲がつかめない広大さ。
高原をのんびりすごす別世界の方たちがくつろいでいます。
最初のピークをおさえて、くだって、通過です。
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なんだかんだで、やはり出遅れ気味かな。
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なんでみんな、そんなに速いんですか?
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さあさあ、山のぼりのウオーミングアップのはじまり。
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ともあれ、一歩一歩、のぼってゆくだけ。
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いつのまにやら、置いてきぼり気分。
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キャンプ場のなかを、ゆるゆるジョグ。
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ううっ、ここは田植え会場か、というような場面も出現。
第二のおたのしみ
くだりきったら、しばらくは静かな山の中へ。
ここは、ピークとピークをつなぐ「つなぎ」のようなあつかいです。
なので、おもてに出てきません。
でも、この区間こそが、このレースの最大の醍醐味じゃないか。
わたくし個人の、中高年の主張です。
木々のつくるみどりの光線のなかを、すこしずつあがってゆきます。
しんがりグループも、いよいよ本領発揮。
いえ、たんにバラけるだけです。
前後に、ひとかげがいなくなっています。
とくに、前方に、まるでひとの気配がない。
まるで、トップを走っている気分です。
トップとのちがいは、走っていないで、歩いていることです。
静寂。
そこかしこから流れでる水の音。
この一帯は、十二沢とよばれているようです。
ああ、うっとり。
なんて感傷にひたってばかりもいられません。
徐々に傾斜がきつさを増してきました。
ズズズズズ。
足もとが安定せず、すべりすべり、あがってゆきます。
一歩分あがって、半歩ぶんずりさがる。
バランスを失えば、転げおちてしまう傾斜面。
特別に危険な箇所2つには、スタッフの方が見守ってくれています。
ほうほうの体でのぼりあがると、スタッフさんからのはげまし。
「もう林道へでられるよ」
そうか、そうか。
と思った次の瞬間、ふたたびけわしい斜面の登場。
疲れが、ドっ。
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静寂の山の道は、思索には絶好の場です。
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豊富な水量に、あたり一面がミストに包まれたような空間。
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冷たい水で、気分をサッパリとリフレッシュ。
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ゆく手をさえぎる複雑な木の造形。
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だんだんと、けわしくなります。この先、しばらくは写真を撮る余裕なし。
エイドの救世主
ようやく山の中の迷走から脱出。
あかるさが、もどってきました。
そこでエイド。
ここのエイドは、食べものがちゃんと豊富です。
そうじゃない大会を多く経験するようになっていて、もうそれだけで感動です。
そのなかで、オレンジ。
疲れたカラダに、オレンジがグングン染み込んでゆきます。
何より、喉ごしのおいしさよ。
なんだか、力がわいてきます。
「ああ、おいしい」
「じゃんじゃん食べてください、まだまだありますよ」
何と、包丁を入れていないオレンジが、まだどっさり。
ナミダがでそうです。
「あまっちゃいますね」
「そうですね」
「なんたって、あと10人も来ませんから」
ただし、この日はブヨの襲撃には悩まされました。
「動いていれば、大丈夫なんですがね」
スタッフの方には、そうなぐさめられました。
ですが、走っている最中にも、刺されました。
いまも痛痒い。
そうか、自分じゃ走っているつもりだったけど。
ブヨからすれば、止まっていると判断されたんだな。
このやろー。
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オレンジが、こんなにも体に染み込んでくるのかと感じた幸せな瞬間。
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バナナさんにも、助けられました。
第三のおたのしみ
いよいよ、最後の高みへのチャレンジです。
ここをのぼりきれば、あとはゴールを目指す。
一歩一歩だよ。
あえぎ、あえぎで、なんとか上まで。
振り返ってみれば、最高の絶景。
ムフフフフ。
遠足、いえトレランのひそかな、私的なたのしみ。
最大のミッション。
1番の絶景地で、「お弁当」にする。
遠足の鉄則ですね。
いや、トレランですけど。
コースからちょっとはずれて、ドッカと腰をおろします。
本日のメインディッシュは、「梅おにぎり」。
まあ、コンビニの調達品ですけど。
視線を、遠くの稜線にうつします。
遠くに、走っているランナーの姿もみえます。
モグモグ。
おいしい。
本当は、お湯をわかしてコーヒータイム。
そういう希望もありますが、ドンジリのひとりとして、そこまでの余裕はありません。
オナカが満たされたら、さあ下山です。
食後の昼寝は、いたしません。
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さあさあ、最後ののぼりです。腹をくくって。
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本日のメインイベント、絶景お昼の時間です。
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あとは、くだってゆくだけ。
目的達成
急斜面をおりきると、車道に入ってゆきます。
最初は、ガチの砕石道。
ウス底足袋には、こたえます。
道をはずれて、草むらの中をゆく。
くだりきったらゴール。
のはずですが、今回はゴール場所が変更されています。
日帰り温泉施設「花咲の湯」まで。
ちょいと、長くなります。
そのぶん、制限時間が30分延長です。
集落まででて、スタッフの方が道案内。
「もうちょっとだよ」
「どのくらいですか?」
「あと2キロくらいだよ」
「え?ちょっとじゃないじゃん」
「もうひと登りもあるからね、がんばって」
それでも、走りつづければゴールに近づきます。
いよいよゴール会場。
そうか、レッドカーペットでのゴール。
トップランナーには、絵になる光景です。
ボクのような、汚れ靴のヨレヨレランナーには、にかわしくない。
神社じゃないけど、脇をするする。
前後にだれもいなかったので、ひとりで独占したような錯覚。
そして、無事でした。
タイムは、6時間01分56秒。
(制限時間は、7時間30分)。
一歩一歩を大切にしました。
うれしかったです。
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さいごに出会った花咲の出水。
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ゴールの前に、ここでお顔もザンブラ、清めてみます、冷たーい。
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レッドカーペットの先に待つ、ゴールなんですが、気恥ずかしさ満杯です。
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ああ無事にゴールをこえました、よかったです。
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トレランの 醍醐味絶景下の 弁当
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