天使の羽のなごり
人間に、「天使の羽」はあるでしょうか。
ありません。
みりゃ、わかるでしょ。
というようなことを、モリナガのキャラメルをみて考える。
ここには、天使が降臨。
でも、人間にもあったら便利です、天使の羽。
汗水たらして、地上を走ろう、なんて必要もなくなります。
トレランなんて、一気にひとっ飛び。
なんて妄想をいだいていても、事態は変化しません。
ということで、現実を直視します。
もし人間に天使の羽があったとしたら、どこにつくでしょうか。
もちろん、背中です。
それも、上のほうでしょう。
すると、そこにドンピシャの筋肉があることがわかります。
その名を「僧帽筋」といいます。
これは、天使の羽のなごりなんでしょうか。
中心部は、背骨にそってついています。
アタマの下から、腰のほうまで。
もう一方は、肩甲骨にのびています。
背骨から、「ひし形」にひろがる背中の筋肉です。
この形が、僧の帽子のようだ。
という意味で、僧帽筋と名づけられたようですが。
わたくしには、ぜんぜんピンときません。
西洋の発想ですね。
4本足ハイハイ時代には、ウデの働きを支える、大切な筋です。
もちろん、立ってからも、ウデとの強力なタッグを組んでいます。
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イメージつくり
天使は、天使僧帽筋をパタパタうごかして、天を舞う。
天使の解剖をしたヒトは、まだどこにもいませんが、たぶん、こうなります。
もちろん、人間の僧帽筋には、羽はついていません。
かわりに、ウデがのびています。
羽をパタパタさせるかわりに、ウデを自由にうごかす。
よろしいでしょうか。
人間のウデは、僧帽筋からはじまっているんですね。
つまり、ウデのつけ根は、背骨からはじまっている。
なにしろ、2本足になってからも、ウデは大活躍していました。
ものを持ったり、ささえたり。
水くみ。
ぞうきんしぼり。
マキわり。
洗濯板を使っての洗濯ゴシゴシ。
歩く働きからは解放されましたが、ほかの仕事はビッシリ。
しかも、多種多様。
ところが、ウデの仕事が減る一方の時代となりました。
なんでも、スイッチポン。
いえ、触れなくても、しゃべるだけで号令かけ。
きょう、ペットボトルより重いものを、もちましたか?
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仕事の変化
背中の僧帽筋は、ウデと一体になっている。
そして、ウデといっしょに1日中、フル回転ではたらいている。
かつては、こういう時代もありました。
そう、何万年ものあいだです。
ところが、ここ数十年、ウデの仕事は激減中。
となると、僧帽筋はさぞや「おひま」になったのではないか。
ところが、そうにはならなかったようです。
ウデの仕事がへる。
これは、人間の活動性が低下する、ことに通じてきます。
人間の活動が低下すると、カラダにどんな変化がみられてくるか。
その代表的なひとつが、「アタマをささえる」仕事の増加です。
ふだんの活動している時間帯、アタマは首の上にのっています。
のっている、というくらいですから、安定しています。
だって、視線の先は、遠くのケモノや畑ですから。
それが自然体の視線とアタマの位置です。
ところが、現代は、アタマは「しなだれる」時代です。
視線のゆく先は、モニター画面ですから。
アタマは、自然とさがってくる。
いきおい、首への負担が、強まる一方です。
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一体化の時代へ
もともと、首は首まわりの筋群がささえています。
その上に、アタマをのせる。
ところが、アタマが前方に傾いてくる。
しかも、ちょっとじゃない、長時間という間。
すると、首の筋群だけじゃ、アタマをささえる役目がキツくなります。
アタマは、思っている以上に重いんです、使っていないヒトでも。
アタマをささえる援軍がほしい。
そこで「僧帽筋」に声をかけます。
「おーい、背中の大きな僧帽筋よ。
アタマが垂れないように、背中側から、アタマをひいておいてくれないか。」
「同じ人体、お安い御用さ」
僧帽筋は、アタマをささえるための仕事をはじめます。
このようにして、僧帽筋とアタマとのつながりは、日々深まってゆきます。
その結果、首の構造も、ゆるやかな曲がりから直進的へと変化をはじめます。
ストレート首(ネック)という名前さえつくようになりました。
「気をつけえ」
「アゴを引けえ」
こういう号令も、僧帽筋とアタマとの一体化を助成しています。
これが不自然な姿勢だ、ってわかりますか?
アタマ・首・僧帽筋の一体化は、全国で絶賛進行中。
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解放
江戸時代の、浮世絵にみるアタマ。
軽快な動きをみせるヒトのアタマ。
(たとえば、宮本武蔵や千代の富士関)
よくみると、アタマと僧帽筋が、離れています。
それぞれが、独立している。
一瞬、「猫背」気味と、思われてしまいそうです。
しかし、よく見ると、ちがいます。
猫背というのは、アタマと僧帽筋が一体化した姿勢です。
この状態で、軽快な動きはむつかしいでしょう。
というより、首、肩がこってきます。
アタマが痛んできます。
アタマと、僧帽筋が、それぞれに独立した関係をとりもどす。
僧帽筋は、ウデと背骨をつなぐはたらきへ。
アタマは、アタマで。
背中からは、自由な存在にしておく。
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宮本武蔵の自画像。ゆったり感を感じませんか?
アタマが、自由。
これこそが、本来の姿勢じゃないでしょうか。
何をするにしても、です。
もちろん、歩行やランニングでも。
簡単な実験があります。
ハイハイで、ゆっくり歩いてみる。
このとき、アタマと僧帽筋(肩甲骨)との「離れ感」を味わってみましょう。
独立感と表現してもいいかも。
気持ちよくなりませんか。
アタマが自由になる、って気持ちよくないですか。
いろいろと、不自由な世の中です。
自分の思うようにはなりません。
せめて、自分のアタマだけは、自由にさせて快適生活を味わってみませんか。
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背中から アタマを解放 人間だもの
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