思いつき
5月の第2日曜日。
わが地元では、安政遠足サムライマラソンが開催されています。
ところが、2020年の今年は、コロナウイルス騒動で中止です。
ならば、どうする。
こっそり、ひとりで走ってみようか。
ルートは、田舎道。
ひとりなら、集まらない、近づかない、密閉しない。
いわゆる、ノー集近閉、にあう条件です。
とつじょ、ヒラメいてしまいました。
よいこは、マネをしないでください。
というわけで、夜明けの6時前。
例年なら、仮装ランナーが集まりはじめる旧安中城址。
現在の文化会館駐車場に、はせ参上。
予想通り、だれもいません。
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昨夜の雨もあがって、だれもいない旧安中城址跡、いつものマラソン受付会場。
お水を背中に背負うと、スタートラインの武家屋敷跡まで移動。
午前6時すぎ、スタートしてみました。
いつもは、午前8時のスタートとなる大会です。
最初はランナーでノロノロとしか進まない道。
なにしろ、参加ランナーの多くが仮装なので、スタートダッシュになりません。
今日は、だれもいません。
思いっきり、自分のペースで走りだせます。
それなのに、いつも通りのノロノロスタート。
遅いスタートは、まわりのせいじゃなくて、自分の実力だったんだ。
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今日は、だれもいないスタートライン。ひとりでゴー。
安中宿から杉並木へ
安政遠足マラソン、別名「侍マラソン」。
江戸時代に始まったとされる日本最古のマラソンは、中山道を西へ西へのワンウエイコースです。
中山道は、江戸から京へとつながる、内陸の主要道です。
最初に入るのが、安中宿。
地方のご多分にもれず、空き家がめだつ通りです。
かつては安中宿から原市宿へとつづく街道は、杉並木通りでした。
江戸時代には、700本以上の杉が旅人をなごませたそうです。
花粉症のない時代。
現在このっているのは、そのうちの13本です。
しかも、健全な杉の木は1本のみなんだそうです。
あとの12本は、もろくなっているという樹医の診断です。
とくに4本は、重篤だと。
それでも、今にのこる杉並木。
遠足マラソンにマッチする光景は、絶好の写真スポットにもなっています。
例年なら、カメラマン、報道陣、観客でうめ尽くされる通りです。
が、今年は、だーれも見られません。
その中を、テクテクと走りつづけます。
ん?
やっぱり、はやく走れていない。
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この小さな坂をくだると、中山道に入ります。
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かつての往来も夢の跡。沿道にもだれもいない静かな旧中山道コース。
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やがて始まる杉並木。例年なら、両脇には、たくさんの方でにぎわいます。
人から風景へ
地方の小さなマラソン大会。
ランナーの数も、2千人ほどです。
キャパの関係で、それ以上は増やすのが困難なんだとか。
ところが、沿道の人出といったら。
そうですね、その何倍もいらっしゃいます。
私設エイドの数は、もう、数えきれません。
梅の産地ですから、手作り梅も、多彩で狂乱。
くわえて地域と一体化する高齢者施設。
昨年は、11カ所の施設から、車イスの利用者の方々も、沿道から拍手。
その一人ひとりと握手するようにしているので、なかなか進みません。
どこに、そんなにヒトがいるんじゃい。
過疎化って、本当なんですか。
とにかく、沿道から人影が途切れない大会です。
一転、きょうは誰もいない街道。
いきおい、ぐっと見方が変わってきました。
自然に、まわりの景色に目がゆくのです。
こんなところもあったのか。
60年以上住んで、20回以上走って、はじめて出会う光景がいくつも。
それも、おそいランのおかげでしょうか。
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和洋折衷の光景に、心がなごみます。
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ひとはいなくても、沿道の花々にいやされながら走りつづけます。
はじめての経験
安政遠足マラソンは、22回目のチャレンジです。
ま、今回、22回目は中止になって、来年に持ち越されていますが。
それなのに、はじめての経験が2つありました。
ひとつは、はじめて、フツーの格好でのランです。
ふだん、ご近所を徘徊ランしている格好、ということです。
なにしろ、仮装マラソン大会でしたから。
毎回、ちがったコスチューム作りに、ないアタマをしぼってきました。
その時間と手間を、走りの練習にあてろ。
もうひとつは、はじめてのひとりレース。
前をみても、振り返っても、だれもいません。
そして、この経験の中から、おもしろい発見ができました。
なんて、おもしろいコースなんじゃ。
年に1度、レースのときだけ走るには、もったいない。
なにしろ、歴史を刻む中山道を走るんですから。
見どころ満載。
歴史探訪コースとして活用できるんじゃないでしょうか。
なお、大会の中止は、はじめての経験になりませんか?
これは東日本大震災のときにも、中止になっています。
ですので、2回目の経験となりました。
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妙義山が近づいてくると、旧中山道は国道18号にぶつかります。
新しい道、古き道
西へ西へ、つまり軽井沢につながる道は、基本のぼりです。
当地の旧中山道は、現在は、多くは国道18号と名前をかえています。
マラソンコースは、途中で、この国道を横切ります。
国道の横断。
大会関係者が、アタマを悩ます問題のひとつです。
とくに侍マラソンは、圧倒的に、仮装ランナーで占められています。
仮装ランナーの目的は、ウケです(個人的見解)。
決して、はやさではありません。
じっさいに、ノロノロ。
こういうのが、ダラダラと国道の流れを分断し続けるのは、たぶん、メイワクです。
そこで、旧道から現国道に近づいたら、一気にコースを変更。
とんでもな坂を下りはじめます。
そして、マムシ注意という耕作放棄地をよこに、国道下にもうけられた小さなトンネルに誘導。
高さ2メートル。
ハデな仮装のときは、ふつうに通り抜けられません。
でも、ここをくぐり抜けると、妙義山がグッと近づいてきます。
松井田宿へと入ってゆきます。
関所コース(20キロ)の中間点へとなってゆきます。
(つづく)
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と、ここで突如わきの下り坂に誘導されてゆきます。
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こういう田園風景に、心なごませるランナーもいらっしゃいます。マムシがいるけど。
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国道下を横切る、高さ2メートルのトンネルをくぐります。
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松井田宿に入ってゆきます。絶景が広がってきます。
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