地方競馬場ですか
11月3日、文化の日、ぐんまマラソン会場です。
「群馬」です。
ウマ、ウマ、ウマ、馬が、群れる。
文字通り、巨大な「ぐんまちゃん」をはじめ、ぐんまちゃん着ぐるみ、ぐんまちゃん被りもの多数が、パドック内をパッカパッカと闊歩しています。
天気は良好。
「良馬場で、絶好のコンディション」です。
そのため、おおきな波乱は、おこらないでしょう。
大穴は、期待薄です。
オッズ通りの結果が予想されます。
午前9時、知事のピストルの合図で、まずはサラブレット級の陸連「馬番」をつけた本命わくの一団がダート内をいっせいにスタート。
そのあとを、馬齢さまざまな脚質馬が、大駆け、出負けみごとにバラバラとつづいてゆきます。
あわよくば、大穴、万馬券の願いを胸に。
いえ、すみません。
走り出したのは、みな「人間」です。
今日は、ダービーではありません、マラソン大会です。
またまた、出だしから、すべりまくりです。
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出あし好調
ぐんまマラソンの特徴のひとつは、バツグンのスタート環境があります。
道は広い、基本下り基調、心やわらぐ紅葉の景色、川辺の静けさ。
スタートダッシュを狙いたければ、ジャマするものはありません。
9キロ過ぎまでは、思いっきり、つっ走ってゆけます。
コースは、前橋・高崎市内の広範囲を、反時計回りにグルリと一周するという豪華設定。
次々に切りかわる景色は、目には豪華ですが、多くの交通規制でご迷惑もおかけします。
しかも、給水所は多すぎないか、と心配したくなるほどの、コース上23ヶ所の設定。
平均2キロもゆかないうちに、次の給水所です。
最短700メートルで、次の給水所って、 JR山手線の駅並みの近さです。
加速する前に、もう次の給水所ということで、なかなかスピードにはのれません(ウソです、これは実力のなせるもの)。
くわえて、給水所は観光物産展ですか、といわんばかりのぐんまマラソン道の駅化していて、かりんとうまんじゅう、よもぎまんじゅう、ラスク、せんべい、プチ大福、からあげ、つけものまで、リュックを背負ってゴッソリ集めてまわりたい、と思わせるようなごうか接待がつづきます。
トマトジュースコーナーでは、ランニング中のトマトジュースって塩味もきいていけるね、と再認識させていただきました。
だけでなく、音楽隊、吹奏楽部、和太鼓、ダンス、チア、ハワイアン、よさこい、八木節(群馬民謡)、バトントワリング、天女羽衣隊と42,195キロの中に、これでもかという応援団にふれてゆくことができます。
なかには、走っているわたしたちより体力使ってんじゃねえの、と心配したくなるような大演舞。
これで力が出ない、といったらウソになります。
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人生はマラソンだ
しばしばマラソンにたとえられる人生。
それは、実際にマラソンを走ってみればわかります、ねえ増田明美さん。
レースのすべてに、順風満帆なんてことはありえない。
山があれば、谷もある。
楽あれば、苦もある。
前半は下り基調、おい風コースのぐんまマラソンの真価は、太陽が頭上にさしかかる後半、とくに30キロをこえるとジワリと馬脚をあらわしてきます。
少しずつ、コースがのぼりになりはじめます。
広い直線コースが、走った感を弱めてゆきます。
風のある日は、真っ向から空っ風を受けるようになります(今回は静かでしたが)。
くわえて、個人的には31キロ地点で、いきなり止められ「これより2分間の遮断です」と唐突に宣言されました。
車を通すためでしたが、車がなくなっても「2分間は止めます」という融通のきかない答弁に「国会中継かここは」と周囲一同がどよめきます。
空気を読んで、とは申しませんが、流れくらいはみて機転をきかせていただきたい場面です。
自分で休んだ10分より、強制的に止められた2分間のほうが、長くかんじるものです。
単調になった(ようにみえる)広い直線路を、ひたすら北に向かいます。
ありがたいのは、沿道からの声援です。
「ナイスラン、がんばって」
ナイスじゃないのはわかっていますが、お気持ち、心に染みわたってきます。
マラソンは、力つきてからだ
魔の36キロ地点。
本当は、マイナス思考を生む負の命名法はしたくないのですが、どうしても思わずにはいられません。
広い幹線道路が、一変して、利根川沿いのせまいサイクリングロードに切りかわります。
河川沿いを走るこのコースは、大きな橋の下をくぐり抜けてゆきます。
そのため、その都度、コブをすべるスキーのようなデコボコにつきあわねばならなくなります。
ダダダダダッと駆けおりると、ヨボヨボヨボと結構な傾斜ののぼり道。
カ、カラダがついてゆかない。
さすがに、アシが張ってきます。
まわりのランナーも、一斉にスピードが落ちてゆきます。
わたしとて、例外じゃありません。
せめて足拍数(ピッチ)だけでも保ちたい、と考えると、一歩が数十センチのピヨピヨ走り。
駄馬から、ピヨ子に変身の一場面です。
ああ、飛脚走りが。
ヒヨコのまま中央大橋をわたると、再び下って群馬県庁前を折りかえし、いよいよ40キロ地点にかかります。
あとは、利根川沿いを、ゴールに向かうだけです。
だけですが、だけではすまないのがマラソンです。
ここからは「あきらめない」という意志だけがカラダを引っ張ります。
がんばれ、意志アタマ!
理屈はいりませんし、通用しません。
止まるな、歩くな、笑え。
そしてついに正田醤油スタジアム群馬内にひかれたゴールラインに到着。
なんだか、急にチカラが復活してきたみたいで、手をあげてゴール。
3時間57分。
首にガラス製のぐんまちゃんメダルをかけていただき、ニヤニヤ。
いくつになっても、完走メダルって、お年玉みたいにうれしい。
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ゴール会場は、ご当地ゆるキャラも勢ぞろいしてのお出迎え
巨大な笑い声のこだまする会場
メイン会場のスタジアム周辺は、さんさんと輝く陽に照らされて、なにもかもが光っています。
ああ、まぶしい。
やれやれ、いよいよ白内障が入ってきたかな。
フル、10キロ、ベビーカーやちびっ子もいっしょのリバーサイドジョギングあわせて16,000名ほどのランナーが集結しているのです。
くわえて、応援や家族同伴の方々も大勢いらっしゃいます。
いま、ここに、群馬県人口の100分の1が集まっている計算です。
会場周辺は、松をはじめとした木立がかこんでいます。
その合間に、たくさんの飲食ブースが立ちならんでいます。
定番ものから、ご当地ものまで、もう、迷うほどの盛りだくさんメニュー。
わいわい、がやがや、ちびっ子からお年よりまで、みんなニコニコ舌づつみをうっています。
ランナーへの無料サービス、ぐんまの郷土料理「おっきりこみ」コーナーには、とんでもなく長い行列ができています。
あらためて会場を散策すると、ぐんまちゃん帽が、ここかしこにパカパカ歩いています。
地方競馬場は、元気です。
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今日もワラジのお世話になりました。
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