反射

有名犬

 

有名な犬、といわれて思い浮かべる名前は、だれでしょうか。

忠犬ハチ公は、国際的にも名が知られるチョー有名犬です。
南極観測隊とともに海をわたったタロ、ジロだって、負けてません。
身体障害者補助犬法の成立に力をつくした介助犬シンシア
盲導犬クイール

チャーリーブラウンのお友達、スヌーピー
フランダースの犬のパトラッシュ
その名も、名犬ラッシー
ちょっと毛色は変わりますが、のらくろ

そのなかにあって、名は知られていませんが、ロシアの科学者パブロプの飼っていた犬も別の意味で有名です。

パブロフは、犬にある試みをしました。
それは、毎日エサをやる前に、ベルの音を聞かせることです。
するとやがて、その犬は、年老いて死にました。

いえ、もとい、エサを出さなくても、ベルの音だけでヨダレを流すようになったのです。
これを「条件反射」といいます。

そして今回は、これとはちがう「反射」を考えます(前文ムダに長すぎ)。


 

ヒトの反射

 

反射を、ここでは「特定の刺激に対して、意識しなくてもおこる反応」とします。
わたしたちのカラダは、実に多くの反射で、生きています。

ヒザのお皿の下をポンとたたくと、足がピョンと上がるのは、膝蓋腱反射です(深部反射)。

ノドの奥をさわると、オエッとなるのも反射です(表在反射)。

手のひらにふれると、ギュッと握りかえしてくるのは、生まれて3ヶ月くらいまでみられる赤ちゃん時代反射です(原始反射)。

カラダがよろけると、パッと立ち直ろうとするのも反射です(姿勢反射)。

いきなり立ち上がっても、頭がクラクラしないのは、血圧や心拍を即座に適応してくれる反射のおかげです(自律神経反射)。

ちなみに、クイズを出されると、瞬時に答えられる人を「反射神経がいい」といいますが、これは医学的な反射じゃありません。
単に機転がきく、というだけです。


 

着地時の足ウラ

 

その場で、真上にピョコンと飛びあがると、足ウラのどこで着地しますか。
床の上で、ハダシでためしてみると、よくわかるかもしれません。

カカトから着地する、ということはまず考えられません。
だって、ノー天までひびく痛みがカラダをかけめぐりますものね。

足の前方(フォアフット)で着地します。
そのさい、親ユビよりですか、小ユビよりですか、均等ですか。
本ブログでは、親ユビの根元の足ウラ山を「親ユビ山」とよんでいます。
同様に、子ユビから人差し指(足でも便宜上こうよんでおきます)にかかる足ウラ山を「小ユビ山」とよんでいます。

普通小ユビ山のほうから着地しませんか
ふつうじゃない方もあられるかもしれませんが、ここでは、普通じゃないことには触れません。

なぜ、小ユビ山から着地するんでしょうか。

無意識に、そうなっています。
無意識ということは、自然にそうなっちゃっているということです。
なにしろ、カラダが楽に着地できるんですから。
その直後に、親ユビ山側が床につく。

同時に、着地の瞬間の、足ユビに着目してください。
どうなっていますか。

着地の瞬間、親ユビが少しだけ、ピョイと上を向きませんか。

これを「小ユビ山→親ユビ反射」といいます。
そう、反射です。
無意識の反応、つまり、いつでもそうなる。

もっとも、辞典やネットで調べても、のっていません。
わたしがつくった名前です。


 

小ユビ山→親ユビ反射の意義

 

小ユビ山から着地した瞬間、親ユビは一瞬上方にそります。

なぜ上にそるんでしょうか。
わたしは、ふたつの理由を考えています。

ひとつは、ユビを「まきこまない」ようにするためです。
特に、その場とびジャンプより、歩きや走りのときに有効な反射です。
着地時に、親ユビが下を向いていたら、ユビを痛めたり、下にまきこみやすくなってしまいます。

もうひとつの理由は、「足ウラのアーチ」をつくるためです。

親ユビが上に向くと、土踏まず部分にアーチができます。
アーチができると、足ウラはクッション性が高まります。

ときどき、足ウラを静止した状態で評価して、アーチが高いだの低いだのといわれることがあります。
立っているだけなら、極端な話、どっちだていいんじゃありませんか。

大切なのは、動きのなかでの「機能」です。

着地という、足ウラからカラダ全体に一番負荷のかかる場面で、足ウラにアーチができりゃいいだけの話じゃありませんか。
小ユビ山から着地すると、自然にそれがつくられます。
なにしろ、反射だからです。
意識しなくても、忘れていても、疲れてきても、そうなっているんです。

ひとのカラダは、まこと完璧です。
足ウラには、すでに耐久性の高い(死ぬまで使える)クッション機能が内蔵されているんですね。
心配しないでください。

ただし、使い方次第です。
そうです、カカトから着地したら、使えないかもしれません。
親ユビ山から着地しても、あまりうまくいかないかもしれません。


 

ハナオに着目

 

小ユビ山から着地すると、親ユビが瞬間少し上を向く。
親ユビを除いたほかの4本のユビは、おおきな動きはみせません。

つまり、着地のたびに、親ユビと他の4本のユビは別行動をとるということです。

行動をわける分岐点の名称は、そうハナオです。

ですから、ハキモノに必須の構造は、ハナオです。
親ユビと、そのほかの4本ユビは、ハナオによってお互いの自由を尊重できるようになっているのです。

足袋しかり、地下タビしかり、ゾーリしかり、ゲタしかり、ワラジしかり。
共通するのは、親ユビと、他の4本のユビがお互いに自由に動ける工夫をほどこした構造です。

親ユビと、他の4本のユビを、いっしょの部屋に閉じこめちゃキュークツなんです。
これが、江戸時代の身体感覚
だから、靴下だって、わざわざ足袋型を作ったんです。
現代の靴下より、ずっと手間のかかる作業だったのに。

いえ、江戸時代までもどらなくても結構です。

現代だって、幼いころは、小マタ歩きの小ユビ山着地です。
その歩き方を、そのまま育む衣装の一例が、キモノです。
キモノで育てば、大人になっても、足ユビはハナオを欲するはずです。
キモノの人が、足袋にゾーリとなるのは、自然な体の欲求だったのですね。

ハキモノをはく時間のかなりを「ハナオ構造」のあるハキモノでくらすようになったわたしが、仕事の都合などで革靴をはくと、足ユビの居場所がなくなった不快感で歩き方までおかしくなってしまいます。


わが家の、ハナオくんたち大集合

 

うーん、つくづく現代人になれないものです。
くわえて、オシャレな高級場面には出てゆけないなあ。

ま、この繊細な感覚も、がっつりシューズでガシガシ歩き慣れてくれば消えていってしまうのでしょうけど。

足ウラの反射の話題でした。
多分、毎度の役には立たないお話でした。

一句  ハナオくん 自然なアシが 欲しがるよ

 

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