歩きから、走りへ
走るとき、わたしたちの足は、前後します。
そして前後した足を交互にふみ出しながら、前へと走ってゆきます。
このさい、前に出た足に体重がのる走りを「前足走り」とよばせてください。
うしろに残る足に体重がのる走りを「うしろ足走り」とよばせてください。
前足に体重がのる「前足歩き」と、うしろ足に体重がのる「うしろ足歩き」と同じ要領です。
「前足歩き」と「うしろ足歩き」のちがいを、「歩き型」とわけてみました。
同じように、「前足走り」と「うしろ足走り」のちがいを、「走り型」のちがいとよばせていただきます。
なお、どちらも固定した型ではないことに注意してください。
階段をのぼるときは、だれもが「うしろ足」に体重がのりますし、階段をおりるときには「前足」に体重がのるように、両者は無意識に切りかわってゆきます。
一般的な平地で、だいたい、どちらの足に体重がよりのってくるか、というくらいの感じで結構です。
いろんなランナーの走り型を、観察させていただきましょう。
そして、自分はどちらかな、と考えてみていただけませんか。
この子は前足に体重がのった「前足走り」です。
着地からながめる走り型
かつて(今でもつづいていますか?)、走りのさいの着地を「カカト」からおこなうか、「足ウラ前(いわゆるフォアフット)」からおこなうか、という検証でもりあがりました。
ここでは、まず「足ウラ前」とか「足前部」とか「足先」とか、「フォアフット」というコトバに着目してみましょう。
どれも、日常会話ではまず使わないコトバです。
使わないし、聞かないし、出あいません。
日本語としても、カタカナ語としても、なじみのない、めずらしいコトバです。
そして、走りにエンのない方にとっては、一生出あうこともないコトバかもしれません。
これは、何を意味しているのでしょうか?
そうです、関心をもたれていない、ということです。
昔から関心を向けられないから、名前をつける人もいなかった。
名前がないから、よけいに関心が向かない。
足ウラのどこで着地しようが、そんなこと、どーでもいいじゃないか、という結果の名無しの權兵衞です。
でも、当ブログでは、ちょっと気にかけます。
そんな重箱のスミをつつかなくても、といわれるかもしれません。
重箱のスミにはりついたお赤飯は、けっこうおいしいものでっせ。
足ウラよりも、もっと着目したいところ
じつは、「足ウラ」よりも、もっと着目していただきたいところがあります。
それが、前とうしろ、どちらの足により体重をのせて走っていますか、ということです。
体重をのせるほうの足を「重心足」とよばせていただいております。
重心足は「前」にあるのか、「うしろ」にあるのか。
何度もしつこいですね。
すみません、でも大事だと思っているんです。
前足により体重がのっての走りでしょうか。
うしろ足に体重を残しながら、走っているでしょうか。
比率的に多いと感じている「うしろ足」により体重をのせて走る「うしろ足走り」のパッと見の特徴をあげさせていただきます。
・大マタで、力強い走り。
・一歩一歩、カラダが上にとび跳ねるような走り。
・カカトからの着地(シューズのカカトが減る)。
こういうものです。
ちょっと気にかけていさえすれば、見わけがつくことでしょう。
そして、自分はどっちかな(これが大事)。
重心足より、もっと着目したいところ
じつは、前とうしろ、どちらの足に体重がのっているかな、がわかってくると、もっともっと広い目を向けられるようになります。
それは「カラダ全体」の感覚です。
まず、階段をのぼっているときのような「うしろ足走り」の感覚を意識します。
多くは、ふだんの走り型です。
つぎに、歩幅を半分にして、階段をおりてくる感覚で前足に体重をのせる「前足走り」の感覚を味わってみます。
うしろ足走りと、前足走りを意識して切りかえて、感覚のちがいを比べてみるのです。
すると、たかだか体重をのせる足だった走りのちがいが、けっこう全身性にかわってくるのを感じていただけないでしょうか。
うしろ足走り、前足走りのちがいが、こんなにも変化をもたらすものなのか。
この感覚の切りかえが、新しい走りの発見に結びついてゆくと思っています。
走って故障してしまったランナーの方も、このちがいを有効に利用すれば、ちがったカラダで走れるようになるんです。
だって、カラダが本当に、切りかわっちゃうんだって。
ザッと、全身をながめておきましょう
走り方 | うしろ足走り | 前足走り |
意味 | うしろ足でカラダを支える走り | 前足でカラダを支える走り |
支える主役 |
うしろ足のフクラハギ |
前足の脛骨 (骨) |
前進力 |
うしろ足のける力 |
オシリを前に出す力 (体幹力) |
着地の仕方 | カカト着地 | 小ユビ山着地 |
歩幅 | 広い | せまい |
似合う衣装 | ズボン クッション性の高いクツ |
キモノ 鼻緒のある薄底クツ |
例 | 多くの現代人 |
江戸人、飛脚、ハダシで育った人 |
時計や数字に目をむけることも大切でしょう。
でもまず「自分の感覚」に集中してみる。
きっと、すてきな発見があるのでは、と期待しています。
走るのって、楽しい。
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