近代スポーツの幕あけ
走る。
はい、生産性は、ありません。
走るヒマがあったら、仕事をしなさい。
そういう時代が、長くつづきました。
そこに一石を投じた一人が、クーベルタン伯爵。
近代オリンピックの祖ともいわれ、伯爵らの尽力により、第一回オリンピックが、ギリシャのアテネで開催されます。
時に、明治29年(1896年)のことです。
日本では、まだ、スポーツの機は熟していませんでした。
日本の参加はありません。
はじめて日本がオリンピックに参加したのは、ストックホルム大会で、大正元年(1912年)のことです。
陸上には、2名の日本人選手が出場しています。
そのひとりが、マラソン競技の金栗四三さん(熱中症で途中棄権)で、のちに箱根駅伝の立役者の一人にもなりました。
2019年、NHKの大河ドラマ「いだてん」の主人公になるとか(東京オリンピックを意識していますね)。
笑われるのを承知でいわせていただきますが、「マラソン競技」って冬季オリンピックのほうが合ってませんか?
大正、昭和初期の陸上選手の中心は、学生とその卒業生です。
なにしろ、陸上って何?という時代でもあったからです。
金栗四三さんも、東京高等師範学校の学生でした。
そんな中にあって、全く別の世界から彗星のごとくあらわれた集団として「坂出青年団」がいます。
舞台を、瀬戸内へと移します。
瀬戸内海と塩
潮の干潮の差がおおきく、晴れの日がつづく瀬戸内海。それを利用して、瀬戸内は、江戸時代からたくさんの塩田が開かれていました。
当時の塩のつくり方の主役は「入浜式塩田」とよばれ、海水の満ちた砂浜を「浜子」とよばれる人々が、「馬鋤」とよばれる、野球グランドを整備するトンボの大きいものを腰にくくりつけて浜を行き来する「浜曳き」作業におわれていました。
現坂出市周辺は、この塩田のひとつの中心部でした。
浜曳きは、干潮の時間との勝負でもあり、馬鋤をかかえて浜をいっしょうけんめいに走る。
1日に数十キロも走る。
多くは、子供のころから、この作業にかりだされます。
こういう生活は、自然といい走り型を身につけます。
浜曳きは、どうみても「前足走り」です。
結果、走ること自体も好きになってゆき、町の競技会はおおいに盛り上がります。
そんな中で育った森井安平さんが、1924年の第一回神宮競技大会一般マラソンの部で優勝すると、マラソン熱は地域全体をまきこみはじめます。
そのなかのひとつが、坂出青年団の浜子たちでした。
朝起き会で走る、仕事をおえて走る。
昭和9年(1934年)の日本マラソン記録ベスト5の中に、坂出青年団のメンバーが4名しめていた、という驚異的な結果になってゆくのもうなづけます。
同年の日米対抗陸上のマラソン部門では、坂出青年団が4位までを独占。
アムステルダム五輪(1928年)には山田兼松(4位)、ベルリン五輪(1936年)には塩飽玉男さんと、五輪出場選手も排出してゆきます。
そんな彼らの足を支えたのは、足袋型のシューズで、「マラソン足袋」とよばれていました。
元祖は、金栗さんの通う師範学校の裏手にあった播磨屋足袋店。
そこで金栗さんの意見もとり入れたマラソン用の足袋の改良をかさねたため、マラソン足袋は、金栗足袋といわれるようになります。
その後を引き継ぐ形となったマラソン足袋メーカーが「オニツカタイガー」。
のちにアシックスへと名称を変えてゆきます。
塩田作業という重労働のなかではぐくまれていった走りが羽ばたいていった時代。
やがて戦後の技術革新の波で、入浜式塩田は姿を消し、浜子もいなくなりました。
(この項、坂出市の公開資料等を参考にさせていただきました)。
戦後の歩き型、走り型
わたしたちは、生まれてはじめての歩きを、「前足歩き」ではじめます。わたしの指導ではありません。
だれにも教えてもらうこともなく、そうはじめていますね。
カラダの自然なしくみ、なんでしょうか。
そして、はじめての走りも、前足に体重がのった「前足走り」です。
ところが、現代人の多くは、やがて「うしろ足歩き」「うしろ足走り」へと変わってゆきます。
いつごろ変わるのでしょうか。
わたしは「集団生活」がおおきな転機と考えています。
わたしたちは、前足に体重をのせた「前足歩き「前足走り」のまま、幼稚園や小学校という集団生活へ入ってゆきます。
集団生活で大切なことは、「統制」です。
バラバラは、好まれません。
整列。
前へならえ。
前進。
この間に、知らず知らず「行進歩き」が入ってきます。
行進の特徴は、うしろ足歩きです。
まとまりがとれて、はたから見ても、キレイにみえます。
行進の極端に進化したのが、軍隊です。
これでもか、と前足をあげて、うしろ足で体重を支えるうしろ足歩きになっています。
ピチッと決まって、統率が見事です。
集団生活になじむということはは、うしろ足歩きがなじむことにも通じるのです。
そうなると、求められるのは「カカト着地」の衝撃から守るシューズのクッション性です。
今は、幼いうちから、まこと立派な厚底シューズです。
うしろ足歩き、うしろ足走りを守る、なくてはならない相棒です。
シューズは、薄底がいいか、厚底がいいか、という選択肢があります。
決めるのは、歩き型、走り型ではないでしょうか。
ちょっと、試してみる
「走ってみたいけど、大変そうで、チュウチョしちゃう」。ならば、チョー「小マタ」の、チマチマゆっくり走りを一度試されたらいかがでしょうか。
歩くのより遅いスピードで、チマチマ走る感じです。
これだと、歩くことより疲れません(笑)。
そして、意識してみれば、前足により体重がかかってくることに気がつくかもしれません。
立派な、前足走りの第一歩です。
飛脚も、ここからはじまりました、多分。
そして、心配いりません。
この走り型が身についてくると、スピードもあがってきます。
加えて、距離ものびてくることでしょう。
「走りたいけど、走って故障しちゃって、走れません」。
ならば、チョー「小マタ」の、チマチマゆっくり走りを一度試されたらいかがでしょうか。
今までの走り型と、カラダの使い方のちがいに気がつきますか?
前足に体重が移動してきている感じ。
そして、これまで走ると痛みがはしった部分が、痛くない。
走ってつくった故障は、走り型を変えることで、乗りこえられる。
それは、痛くないほどのゆるさで走ることも、最初は大切ですが。
なぜ、痛まないのでしょうか。
痛くなる部分の使い方が変わったからです。
それほどの変化をおこしてゆく。
新しい走りの世界に出会えるかも。
とはいえ、走りは自分のカラダでおこなう行為です。
カラダは、いろんなことを伝えてきます。
ですから、ぜひ、自分のカラダとの対話をおろそかにしないでください。
カラダからの声、聞こえていますか?
対話ラン 走る楽しみ やみつきに
若干意味はちがいますが、「新世界」です
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