リズムのつくる走り型

リズムにあずけてみる

 

メトロノームとお友達になって走ってみると、おもしろい発見があります。
メトロよ、お前って一体何者……

最初は、メトロノームの拍子を「30」に設定して走ってみます。
2秒に1拍、つまり2秒に1歩です。
無理です、走れません。
歩きにしても、ぎこちなくなって、ふつうには進めません。
ダルマさんが、転んだ。

つぎに、倍のリズム「60」に上げてみましょう。
1秒に1拍、1歩です。
うーん、能の舞台ですか。
駅のホームでやったら、後ろから、どつかれます。

では、リズム「100
だんだんリズムにのれてきましたが、走るのは難しい、歩きになっちゃいます。

つぎに、リズム「120
1秒に2歩つかえます。
まだ、走るのにはスローすぎますか。
速足歩きの、いいリズムになります。

よし、思い切ってリズム「150
だんだん、バナナの叩き売りの調子になってきました。
さあ、どうだ。
いよいよ走りのリズムにのってきました。
気持ちのいい、小走り。

そうか、リズムは、歩き型と走り型をつくってゆく力をもっているのかもしれない。


わたし愛用のタマゴッチ型ミニメトロノーム

 

リズム170にのってみよう

 

いよいよ、リズム「170」です。
わたしの好きなリズム。
けっこう、速い。
それでも、メトロのリズムを聞いていると、カラダはリズムに同調し始めます。

リズムにあわせて、前に進んでゆきます。
うん、うん、うん。
でもメトロちゃん、速すぎるよ。
ともすれば、リズムに乗り遅れてしまいます。

どうしたら、リズムに合わせられるかな。

ならば、とアシに力を入れてみる。
ぐっとカラダに力を込めてみる。

すると、メトロちゃんは、不機嫌になります。

「アタシと一緒のときは、もっと笑ってよ」
「どうして、そんな怖い顔になっちゃうの」
「力を込めたら、疲れるばかりで、アタシとどこまでも走ってゆけなくなるでしょ」

どうも、メトロちゃんは、歯をくいしばって、カラダにムチ打って走ろうとする姿を好かないようです。
そもそも、そんなことしたら長くはつづかない。

うーん、とりあえず、顔だけはニヤリとしてみます。
そうか、まず笑う。
走りに必要な第一歩は、首から下の動作ウンヌンより、笑顔作りか。

脱線しますが、笑顔走りは、根性走りより効率が上がっちゃいます、多くの場合。
レースのとき、いっぱい笑ったときの方が気持ちのいいゴールになりませんでしたか。
カラダも笑いたがっているんです。

ははは。
無理でもいい、笑顔作り。
すると、力が自然に分散してゆく感じになってゆきます。
カラダから、緊張がほぐれてゆく感じ。

すると、あら不思議。
リズムにのりやすくなってきました。
メトロちゃんも、ホッとしてくれているようです。

だんだん、リズム170に長くのれるようになってきました。
カラダの感覚も、どこか変わってきました。
真っ白だったカラダが、リズムに染まってきました。
どんな色になってゆきましたか?


 

リズムにのって見えてくる世界

 

メトロちゃんの一定のリズムにのって走りを楽しめるようになると、変化してくることがあります。

まず、走れる距離が少しずつ「のびて」きました。

努力したわけではないのに、筋トレ始めたわけでもないのに、不思議だなと思っているとメトロちゃんに笑われてしまいました。

「だって、アタシとお友達になったじゃない」

「ええ?走りの神様だったのですか。もしかして、現代の弘法大師さま」

「そんなことないでしょ。楽に走れるように、アタシのリズムにのっただけでしょ」

「そうか、カラダが楽にリズムにのるよう走ったのだから、カラダは楽なんだ。楽だから、もっと走れるだけなのか」

そう考えると、走れる距離が延びるとともに「疲れにくく」なった気がしてきたのも気のせいじゃなくて、本当のことだったのかもしれない。

そうそう、飛脚走りでは、「長く遠くへ走ってゆける快感」を追求しています。
それも、自分なりのペースで、ということ。

走れる距離がのびて、疲れにくくなってきたけれど、ひとつ気になることもあります。

ふとアシ元をみると、歩幅が以前よりせまくなっている気がします。

とくに、のぼり坂なんか、極端な小マタにならないと、メトロちゃんのリズムにのりつづけることなんか無理です。
下り坂だって、歩幅が広がると、リズムにのることはできなくなってしまいます。

どうしてなんでしょうか。

それでも、リズムにのってみるだけで、カラダのいろいろがつながってくる。
バラバラだったカラダが、まとまってくる。

いろんな発見がある。
友人に完璧なひとはいない、自分がそうであるように。
もう少し、メトロちゃんとつきあってみる。


 

リズムランニング

 

メトロちゃんのことだけを考えて走ってみると、いろんなことがアタマからぬけてゆきます。

これまで、考えてきたこと。
アシのだし方。
ウデのふり方。
姿勢の感覚。
走っている最中に、想起できますか。
だって、そんなこと考えている余裕はありません。
考え考え走っていたら、メトロちゃんに合わせられなくなって、メトロちゃんの機嫌をそこなうだけです。

逆に、そういって「覚えて」いったことや「考えていた」ことがにむかうにつれ、自分のカラダの中から「自分の走り型」がおぼろげながら浮かんできませんか。
自分と対話できるようになってゆく。

ああ、アシに力はいらないんだ。
ウデの振りは忘れていいのかもしれない、だってヒジが勝手に動いていってくれる。
オシリあたりで、スイスイ前にすすんでゆける感じかな。

メトロノームのリズムにのって走る気持ちよさ。

ずっとメトロちゃんとオシャベリしつづけると疲れるから、一定距離を走ってリズムにのれたと思ったらメトロちゃんをスイッチオフ。
そのまま、しばらく無言で楽な気分を味わう。
しばらくしたら、ふたたびメトロちゃんを呼び出して、リズムの修正

アスファルトの道も、ジャリ道も、草むらも、のぼり坂も、くだりも、曲がり角も、スタート時も、調子にのったときも、息苦しさを感じたときも、メトロちゃんのリズムとシンクロすることだけで走ってゆく。

リズムが、走りをつくってくれる。

リズムで、走りがつくられてゆく。

それだけで、走ってゆく。


 

くらしの中の、ちょこっとメトロ

 

メトロちゃんとの会話は、走る場面に限定しなくても、いつでも、どこでも可能です。

ポケットの中に、ミニメトロノームをしのばせておきます。
リズムは、自分の目標足拍数。
最初は、それより、ちょっと少なめでもかまいません。

大切なのは、自分で決めてゆくということ。
わたしの場合だと、いまはリズム「170」くらいがいいかなあ。
マイリズム数と、マイメトロノームを手に入れる。

10メートルでも、20メートルでも結構です。
走れそうな場所をみつけたら、それだけ、そこだけ、メトロちゃんにあわせて小走り。
ゴミを出しにいった帰りだっていい。

いきなりでも、いきなりだと、いつもよりさらに小マタになるでしょうから、準備運動のたぐいは不要です。

だれもいなければ、職場の廊下だってできちゃいます。
あやしい動きのオッチャンが、廊下天井の監視カメラに多数収録されている、というウワサもあります(笑)。

わずか数メートル、数十メートルのメトロノーム走り。
わずか数秒間のメトロノームリズム。

わずかなんですが、それだけでもカラダがシャキッとしてくるのは何故なんでしょうか。
瞬発、背すじが伸びてきます。

うーん、いい気持ち。

足拍数でつくるメトロノームのリズム走法の可能性は、無限大、と思っています。

 

一句  足拍数 つくってゆくよ 走りのかたち カラダのリズム

(おわび ぜんぜん句になってません。不出来な交通標語みたいです、すみません)

 

 
 

 

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