1本歯ゲタという奇跡

ゲタの教え

 

ゲタは、何も語りません。
ときどき、笑うだけです。
ゲタ、ゲタ、ゲタ。
いや、失礼。

語りませんが、はくことで教えられることがあります。
はけば、わかる。

ところで、立つ姿勢は、どういうのが望ましいでしょうか。
骨盤の向きが、ウンヌン。
歩き方は、どうしたらいいでしょうか。
力強く、大またで。
して、走り方は、どうすべきでしょうか。
体幹がカナメでね。

ちまたでは、いろんな教えが説かれています。
そして、流行もあります。

一方、ゲタは何も説いてきません。
きませんが、はいてみるとわかります。
ものすごい主張を感じるのです。

カラダには、楽に感じる姿勢がある。
スムースにすすめるカラダの使い方がある。

それは、ゲタに足をとおしさえすれば、わかる。



 

方向性のちがい

 

今のハキモノは、どのように選ばれているでしょうか。

見栄えがいい。
軽い。
そして、楽。
くわえて、最近の流行は、種々のサポート機能

ところが、ゲタは、そんなこと考えていないようです。
不安定さを強いる。
緊張を求める。

ところが、ゲタが足の一部になるにつれ、カラダは変わってきます。

ああ、こうに立っていればいいのか。
こう歩けば、より自然かもね。
この走り方は、いがいと楽だな。

ほんの数十年前まで、だれもがカラダ使いが基本でした。
自動でポン、なんてものは、ありませんでした。
動かなければ、くらせない。

じゃあ、どう動いたらいいんだろう。
ゲタにあわせられれば、いいんじゃないかな。

国民的なハキモノの地位をしめていた理由がわかります。
もちろん、今は、動かなくてもくらせる時代になりました。
でも、だからって、カラダの使い方に無頓着でいいんですか?

 



 

究極の1本歯というゲタ

 

とんでもないゲタがあります。
歯が、1本
歩く竹馬ですか。

本来は、山道などの荒地をゆく用に考えられた、といわれています。
ふつうの2本歯ゲタは、山道には不便です。
だからって、1本歯にしようって。
どんだけ、突飛な発想をもってらっしゃるんでしょうか。

そのため、1本歯ゲタは、山のゲタといわれてきました。
転じて、お山の天狗のハキモノ、というはなしにまで昇華してゆきます。

とりあえず、はいてみましょう。

ユラリ、グラグラ。
立つだけで、不安定です。
歩くとなると、かなりの要領が必要です。
しゃがんでみよう、とっても緊張。
これで和式トイレ、うーん、むつかしいです。

そもそも、はくだけで、ぬぐときでさえ、簡単じゃありません。
ところが、です。
慣れてくると、とってもカラダが気持ちよくなってきます。
温泉にユラユラつかっているような気分。
あー、極楽。

 



 



1本歯ゲタは、ふつうのゲタより、ひとまわり大きい。

 

バランス

 

地球上でくらすには、重力と仲良くなれないといきません。
重力って、あなどれない力です。
それが24時間、休むコトなくカラダに作用しています。

寝ているときも、です。
うかつに寝ていては、目覚めたら、床ずれができてしまいます。

立つときも、そうです。
歩くときも、もちろんです。
走っているときまでくると、重力とのタタカイ。

いかに重力のなかで、ちゃんと身をおけるか。

それは、どんなバランスでくらせるか、に通じませんか。
ランニング中の負荷のほとんどは、バランスとのかけひき。
とくに、歳とってからのオールド・ランニングにはね。
力で重力に打ち勝つ、なんて体力はもうありません。

では、どのようにバランスと仲良くなれるか。

それを1発でおしえてくれるのが、ゲタでした。
とくに1本歯ゲタは、シビアにバランス感覚をおしえてくれます。

 



 



 



 



 

 

バランスに着目する人々

 

かつて(今も一部では)板前さんは、1本歯ゲタで調理場に立っていたそうです。
1日中の立ち仕事。
そして、こまかな緊張を要求される仕事。
それを支えるのは、バランスのとれた姿勢、なんだとか。

外科医が、1本歯ゲタで手術をしたらどうなるのかな。
「わたし失敗しません」って、なるのかな?

ボクシング(WBA)ミドル級王者の村田諒太選手は、1本歯ゲタを愛用されているそうです。
バランスよくなければ、頂点まで登りつめられませんか。

スケートの小平奈緒選手も、1本歯ゲタを大切にされています。
平昌五輪500メートル金メダル、その他、ワールドカップ等で数々の金メダルの裏に、1本歯ゲタ。
彼女の有名なことばがあります。
バランスをとることで、心が整う
うーん、ココロが乱れっぱなしのわたしに、響いてきます。

何事も、バランス
カラダも、ココロも。
漢字になおすと、「中庸」といってもいいんでしょうか。

ゲタをはいていると、疲れがスッとひいてゆきます。
姿勢が、スッと立ってきます。
最初にうまれた緊張感がぬけるにつけ、腰が、膝が、肩が、首が、すっとやわらかくなってゆきます。

不思議な感覚、という表現では不十分です。
気持ちいい、です。
たぶん、カラダの中で眠ってしまっていたバランス力が目覚めるからなんでしょう。

この地球上からなくなってしまわないうちに、ゲタの感触を味わっておいてソンはないと思いますが。
ゲタの力、おそるべし。

 



 

たーさん
力で走るか バランスで走るか コケるか

 

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