長い道のり
ひとは、生まれても、寝がえりひとつうてません。
しかし、やがて、スルリとカラダの向きをかえる。
いわゆる、「イモリのポーズ」がとれるようになります。
とはいえ、イモリのままですと、身動きもままならない。
その点が、元祖イモリと人間とのちがいでしょうか。
どうしたら、前にすすんでゆくことができるだろうか。
そうだ、胴体をもち上げてみよう。
かようにして、人間イモリは、やがて「ワンコのポーズ」をつくってゆきます。
いえ、ワンコにこだわりません。
ニャンコでもいい。
シマウマでもいい。
ライオンでもいい。
でも、タコとかイカでは、いけません。
つまり、4本足でカラダを支えるポーズです。
ここでは、その代表として「ワンコ」の名前を使わさせていただきます。
ただし、ワンコとのちがいもあります。
やがて4本足生活に別れをつげる人間は、ワンコのような4本足にはなれません。
4本の肉球で胴体を支える、というわけにはいかないのです。
手のヒラと、ヒザ頭で、胴体を支えます。
とくに着目したいのは、アシです。
ヒザ頭が、ユカにつく。
それでも、ハイハイ移動を獲得し、行動範囲がぐっと広がるのです。
ここにいたるまで、生まれてから8ヶ月ほどを要します。
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ワンコのポーズをなつかしむ
人間版、ワンコのポーズ。
さいきん、とったことはありませんか?
いがいに、忘れられていることです。
理由を、いくつか考えてみました。
そんなヒマがない。
いそがしいんですね。
する場所がない。
タタミの間とか、直接にヒザをつける場がなくなっています。
する必要性がない。
ベッドからすっと立ち、イスの生活に、ワンコのポーズをとる出番はありません。
とろうと思えば、たやすいワンコのポーズ、4本足。
難易度だって、高いことはありません。
お金だって、かかりません。
要は、やってみる機会や思いがあるかない、だけ。
なのに、まったくのご無沙汰。
もったいないな、と思います。
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支柱感覚
ワンコのポーズで静止。
たまには、こんなポーズをとってみませんか。
世間の声がにぎやかです。
たまには、そこからちょっと距離をおいてみて、自分のカラダの声に耳をかたむける。
まず、どうでしょうか?
ワンコのポーズは、きついですか。
それがきついというのでしたら、どこかに重症感をかかえていませんか。
なぜなら、人間本来の姿でもあるわけですから。
人体構造の基本は、4本足のポーズでしたよね。
重力にたいする、基本姿勢です。
わたしは「ワンコのポーズ」を、そう位置づけています。
なんだか、楽な気がする。
そう感じませんか。
背骨が、ちゃんとのびてくれる。
肩まわりが、ゆったりしてくる。
腰まわりも、緊張感がほどけてくる。
腰にかかっていた負担が、解放されてくる。
つまり、カラダ全体がリラックス感。
重力でひかれているのに、まるで、しなだれているかのよう。
ゆったり、まったり感。
そうか、だからワンコだけじゃなく、ニャンコも、シマウマも、ライオンも、みんな4本足生活を手放さなかったこのでないか。
そんなことさえ、考えてしまう。
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前後左右に、動きまわる
ワンコのポーズの特徴。
前にすすむのに、力は要りません。
バックも、できます。
右や左へ、カニさん移動も、むつかしくはない。
くわえて、安定感。
どっちにも、動ける。
将棋の「金」みたいです。
イモリとのちがいかな。
ということで、いろんな方向へ、ハイハイしてみます。
2本足だって、前後左右に動けますよ。
でも、安定性、自在性は、どちらのほうがスムースでしょうか。
やがて、ハイハイの移動感覚が、思いだされてくるのではないでしょうか。
ムカシとった杵柄。
すると、何か感じませんか。
アレレ、これって全身運動じゃん。
全身を、無理なく使う。
だから、1カ所だけに、負担が集中しない。
1カ所にかかる負担が少ない。
だから、4本足の仲間たちは、動きだすまえに入念な準備体操も不要。
チーターやニャンコって、ときに、いきなり猛烈ダッシュしていませんか。
オトーサンが、運動会で突然ダッシュやったら、痛テテテテテでアキレス腱やっちゃうパターンです。
全身をつかえるゆえの、神ワザかも。
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あえて、ハイハイ
ワンコのポーズをとってみる。
ハイハイで、ウロウロしてみる。
天候に左右されることはありません。
広い空間がなくても可能です。
牢屋の中だってできる、幸いまだ経験はありませんが。
外出禁止令下でも、できる。
すると、カラダがリラックスする、にとどまりません。
本来の「カラダの連結状態」にもどってゆく気がしませんか。
ああ、背骨って、こうして連なっていたんだな。
肩って、このように胴体と結ばれていたんだな。
アシは、オシリから、こう繋がっているのか。
手がカラダを支えると、アシの負担が減ってくるな。
そして何より、カラダ全体の動きがスムースになってくる気がする。
この感覚を、思いだしてみませんか。
ムカシ、みんなが持っていた感覚です。
年をとって、歩けなくなるまでハイハイを封印しておくのは、もったいないです。
自然なカラダを、ワンコのポーズから、もう一度。
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