敗北宣言
小さな畑があります。
これまで、人力で、耕してきました。
シャベル、テンガ、草かき、カマ等。
すばらしく工夫された、先人の知恵の工具の力も借りて。
しかし、です。
いつまで、やれるだろうか。
もちろん、研究や工夫も重ねてまいりました。
主なるテーマは、不耕起、放置、自然栽培。
はい、いかに「手をぬくか」です。
それでも、どちらに進もうが、畑に関心を注がないと、畑は死んでゆくのです。
ひとが入ってこその、畑、田んぼ、里山なんですね。
という流れの中で、一大決心をしました。
よし、「耕運機」を買おう。
もう人力では、太刀打ちできません。
すなおに、わが体力の敗北を認めます。
ここ数年来、欲しい、欲しいとは考えていたのです。
でも、最後の決心がつきかねませんでした。
安くはありませんから。
そして、そもそも農業収益は「ゼロ」ですから。
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そしてついに手に入れた、マイ耕運機。
メーカーはどこに
わが国の農機具のシャアトップは、久保田だそうです。
そういえば、近所の専業農家のおやっさんちも、トラクターからコンバインにいたるまでオール久保田だなあ。
家庭用ミニ耕運機も、多種類のラインアップが用意されているようです。
ということで、さっそく市内の営業所をたずねてみました。
熟練さがひと目でわかる、わたしよりやや年上のオジサンの説明。
むつかしい。
簡単でしょ、というそこがイメージできないんですけど。
病院で、研修医の先生に病状説明を聞いているみたい。
あいにく実物もない、ということで、さらに話は混沌としてきました。
それで、強いオススメと、パンフレットをいただき、ひとまず退散。
つぎに、古くからある農機具屋さんへ。
2代目の若が切りもりしている姿を、ときどき店先から見たことがあります。
こちらは、ヤンマーの専門店。
目を引く実物もあります。
ひと目みて、カッコいいかも。
「いいでしょ、フェラーリの設計にも携わるひとのデザインです」
ふーん、こういう所から入っていいのかな。
「農機具にも、フェラーリの洗練さを導入しています」
あくまで、2代目のセリフですよ。
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このキャラには、見覚えが。昭和30年代からだそうです。
なんでも、ノリだ
はっきりいって、耕運機の機能の比較はできません。
そんな基礎知識もありません。
あたまに浮かんでいたのは、いま求める機能ということ。
ひとつは、畑をたがやす。
もうひとつは、夏の雑草を蹴散らしてくれること。
ゆくゆくは、サクを切ってゆく作業も。
土をかぶせてゆく作業も。
という風に考えていたら、久保田でもヤンマーでもできそう。
となれば、フェラーリに軍配をあげたい。
しかも、フェラーリは、あのヤン坊マー坊じゃないか。
耕運機には、ぜひ名前をつけたい。
久保田で思いつくのは「異邦人」だ。
ヤン坊マー坊なら「お天気号」だ。
よし、これに決めよう。
「これ、いくらになるんですか?」
2代目が、ソロバンをはじく。
いまどき、ソロバンがあるか。
しかし、この農機具屋さん、昭和のレトロ感がそのまま。
だって、お支払いも、現金でお願いします、と。
「カード設備は、まだないんですよ」
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なんとなくフェラーリに見える。
といって、本物のフェラーリを見たことはありません。
畑で、性格炸裂
2代目の運転するトラックにのって、ついに「お天気号」がわが家に。
さっそく、目の前の畑にいって、実技講習。
「こうやって、ここを回して、これを引っ張って始動」
うーん、手順が複数あります。
こういうのは、とっても苦手。
それでも、エンジン音が畑に響きました。
「あとは運転にギアを入れれば、畑をかけます」
おお、感動するくらい小気味よく、土がならされてゆく。
行き止まって、Uターン操作。
ふーん、すごいな。
これが、免許なしに操作できるんだ。
ですけど、公道は走れないみたいですが。
まっすぐに、耕してゆく。
当たり前です。
ところが、気を許すと、弧を描きはじめる。
なかなか、一直線には進んでくれない。
このあたり、わたくしの性格がそのまま反映されてしまいます。
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受けをねらった、わけではありません。
真面目に進んだ結果が、コレです。
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それでも、だんだんとサマにはなってきたかな。
農業計画
畑を、スッキリと耕すことができる。
うねを立ててゆくこともできますよ。
なんでも、できますよ。
おお文明もここまできたか、耕運機。
うーん、でもサクを切ってゆくのは、まだテンガでいいか。
一気にすべてを機械化、まではついてゆけません。
このあたりが、古い人間の発想なんでしょう。
これから、順次、使い分けを考えてゆきたい。
それにしても、光輝く耕運機。
今年のわが家の、最大のお買い物になりました。
今後は、こういうお買い物が増えてゆくのだろうか。
たとえば、電動ベッドであるとか。
たとえば、ポータブルトイレであるとか。
徐々に、機械の入ってくるくらし。
今年は、旧暦の暦通りに、秋がおくれています。
それでも、季節はめぐっています。
そして暦以上に季節を感じさせるのは、畑の勢いです。
四季の回転は、ほんとうに興味深い。
走っていても、おなじ感動を覚えませんか。
その、季節感。
自然にさからって、ひとは生きてゆけませんよね。
自然を知らずに、ひとは生きてゆけるのかなあ。
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そして、人力によるサク切りのあと、種まきの完了。
つみ菜、大根、小松菜、ほうれん草、とチマチマ播きました。
注意とおわび
今回、題名に「フェラーリ風新車」という表現をさせていただきました。
それは、あくまでフェラーリ「風」というだけです。
購入したのは、フェラーリではありません、苦笑。
耕運機です。
国産車です。
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わが畑 フェラーリ走り みのり待つ
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