古い暦、今の暦

ふたつの暦

 

わが国は、季節の変化にとむ気候です。
冬がされば春がきて、夏の暑さにうつって、秋がめぐりくる。

次にくる季節の予兆を、どのように読みとれるか。
季節の変化を読みとれる力は、農作業だけでなく、くらしのはしばしに有用です。
もちろん、体調管理やランニング計画においても。

そんな思いもこめられて作られていったのが「暦(こよみ)」です。

世界では、おおきく2つの暦があります。

ひとつは、太陽との関係からつくられた暦。
地球は、1年をかけて、太陽のまえありを1周して、もとの位置にきます。
それを基準にした暦が「太陽暦」です。

もうひとつは、月の満ち欠けにあわせた暦。
月は、およそ29日をつかって、欠けてまた満ちてゆきます。
それを基準にした暦が「太陰暦」です。

もちろん、現在のわが国の暦は、「太陽暦」でまわっています。

 



 

すれちがい

 

暦を長くつかうためには、精密さも求められます。

地球は、太陽のまわりを1年かけて1周します。
これを、より正確にいうと、365,24日で1周となります。
すると、4年で約1日のアマリが生じます。

アマリのつじつま合わせが、「うるう年」です。
1年を1日ふやして、366日にして、つじつまを合わせる。
2020年、ことしがその年。
1日ぶん、余計に働きます。

一方、お月さんは、29,5日で地球を1周します。
ですので、29日か30日で、ひとめぐり。
これが、月の一ヶ月分です。

ですから、これが12倍されて、354日で1年という計算になります。
つまり、太陽暦の1年は365日で、太陰暦の1年は354日。

365−354=11
両者の暦で、1年に11日分の誤差が生じます。

 



 

 

第3の暦

 

もともと、わが国は、月の暦でスタートしたようです。
月の変化は日々はっきりしますし、暦をつくりやすい。
5世紀ごろより、使われだしたようです。

ところが、月の暦だけですと、少しずつ季節のズレがおこってしまいます。
なにしろ、1年が354日なんですから。
毎年、新年が11日はやまる、ということです。

そこで、月の暦に、太陽との関係も取り入れよう。
やっぱ、季節の基盤は、太陽との位置関係を抜きに語れません。
春夏秋冬のおおまかなところは、太陽が主導権をにぎっています。

そしてできていったのが、その名も「太陰太陽暦」。
月の暦に、太陽の暦がドッキングしたものです。
暦のハイブリッド版です。

わが国の古典は、この暦にのっとっています。
枕草子しかり。
土佐日記しかり。
奥の細道しかり。
すべての日付が、現代の太陽暦ではズレています。

その後も、太陰太陽暦は、こまかなバージョンアップがはかられます。
そして、ほぼ完成形をみたのが、1843年。
天保13年、ときは江戸時代です。
これが、世界にほこる『天保暦』です。

まさに、天才的な暦。
わが国の、暦の完成形、といってもいいものです。
これを利用しないテはない。

 



 

 

天保暦の概略

 

月の満ち欠けをもって、1月をつくる。
つまり、ひと月は、29日か30日になります。

まったく月のみえない新月(朔月)が、月のはじまり、つまり1日。
だんだん大きくなった月が、まん丸になるのが15日目か16日目。
15日目を満月(望月)といいます。
16日目は、十六夜(いざよい)。
やがて少しずつ欠ける月が、まったくみえなくなったら、次の月の始まり。

そうすると12回の月の満ち欠け、つまり月の12ヶ月は354日になります。
太陽の1年365日に11日足りない。

やく3年で33日。
つまり、1月分の差になってゆきます。

ここがポイント。

1ヶ月分の誤差がたまったら、その年は、新しい月をつくっちゃう。
つまり、その年は13ヶ月とするんです。
30ポイントたまったら、1ヶ月分進呈、というノリです。

これを「うるう月」といいます。

太陽暦のうるう日は、1日だけです。
天保暦(太陰太陽暦)のうるう月は、まるまる1月
ここの勘違いをしないでください。

ほぼ3年で30ポイントがたまります。
なので、うるう月は、だいたい3年に1回めぐってくるんです。

2020年、今年もうるう月がある年です。
天保暦だと、今年は13ヶ月という長丁場の年回りなんです。

月給もらっている方は、今年は13回もらえるんです。
天保暦だったらね。

 



 

 

うるう月の配置は、天才

 

3年に1度のペースで、1年が13ヶ月になる。

太陽暦のうるう年は、「1日」ふえるだけです。
天保暦(太陰太陽暦)のうるう月は、まるまる「1月」ふえます。
しつこいですが、勘違いしないでください。

そして感心してしまうのは、うるう月の配置法です。
江戸時代の天才が、決めました。
2020年は、4月のあとにうるう月がきます。
つまり、4月→うるう4月→5月と、めぐるのです。

4月が、2回もあるのか。
うららかそうで、いいじゃん。
なんて考えないでください。

天保暦では、1月から3月までが、春です。
ですから、1月が始まったとき、賀春というんです。

4月から6月は、です。

つまり、今年は夏が1ヶ月多い、ということです。
これが、どういうことを意味しているのか、おわかりになりますか。

今年は、夏が長い。
つまり、猛暑になるよ、ということです。

江戸時代に完成した暦は、今年の夏をそう予測しています。
原発も、CO2問題もなかった時代の暦の予測です。
地球温暖化、なんていうコトバもなかった時代の暦の予測です。

そのなかで、わたしたちは生きる。
そのなかで、走る。

さあ、その2020年の幕開け
天保暦2020年は、1月25日からはじまります。

よいお年を。
(つづく)

 



 

 

たーさん
月をめで こよみともに 生きてゆく

 

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