マラソンとこむらがえり(4)

現場にて

 

筋細胞自体のハカイ。
筋細胞をうるおす細血管の断裂(酸欠)。

つまりは、細胞ハカイと酸欠。

これが、マラソン中のコムラガエリがおこっている「現場」の状況です。
この両者が、同時進行している。

ハカイされた組織からは、痛み物質の放出。
細血管の断裂によって、補給路・排出路の途絶。

よろしいでしょうか。

睡眠中のコムラガエリは、かるい「酸欠」状態だけです。
動脈硬化や脱水傾向などによって血流の低下
少なくとも、筋細胞のハカイは、おきていません。
細血管の断裂も、おきてはいません。
なので、もとどおりは、たやすい。

この「ちがい」は、大切と考えています。
また、この「ちがい」を考慮にいれた対策が必要です。
同じ土俵で考えてはいけなかったんですね。
ボクは、以前は同じにとらえていました。

たとえば、睡眠中のコムラガエリの翌日、血液検査をしても異常値はみられません。
マラソン中のコムラガエリを経験したランナーの翌日の血液検査は。
筋破壊を反映するCPK値の、とんでもな高値。
細胞破壊を反映するLDH値の、高値。
同様のALT値の、高値。
筋細胞の破壊の現象です。
こういう実証もみられています。

また、この検査値の変化は、コムラガエリをおこしていないランナーにもみられます。
細胞破壊、あきらかです。
マラソンの負担、軽んずべからず。

 



 

そして血液

 

マラソン中コムラガエリ現場からの中継は、以上です。
被災地からの実況中継をすると、こうなるでしょうか。
しつこいですが、この2点です。

で、ここで落としてはならないモノが登場してきます。
コムラガエリ被災地に、ふだんは何を送り、はこび出しているかです。

内容は、簡単です。
血液です。
酸素や栄養分にみちみちている血液。
これが、よどみなく流れこみ、使われ、はこび出されてゆく。

ところが、マラソン中は、このカラダ全体の血液自体にも変化がみられます。
少なくなるのが、「脱水」です。
最近では脱水撲滅キャンペーンのおかげか、逆に水分とりすぎもみられています。

また、消費された血液成分の変化。
栄養分とか、ビタミン、ミネラルとか。

ここで、はじめてマラソン中には、どんな補給が必要か、という課題になります。

 



 

出そろった3人衆

 

長くなってしまいましたが、マラソン中のコムラガエリをおこす原因3人衆がようやくそろいました。

(1)筋細胞のハカイ
(2)筋組織をうるおす細血管の断裂
(3)循環血液の変化

この3つのどれかが、おおきく破綻する。
すると、働きづめの「筋組織」が、働けなくなる。
その結果みられる現象が、「コムラガエリ」です。

ですから、この3つの変化をいかに少なくするか。
そこにコムラガエリ対策のキモがあると、思っています。

また、ひどいコムラガエリ状態になってしまったランナーの治療方向も、この是正ではないでしょうか。

ただし、3つもあげると、ちょっと複雑でしょうか。
もう少し、スッキリできぬものか。
という自己反省をへて、2つにしぼり上げてみました。

(A)組織の保護(上記の(1)と(2)の複合概念)
(B)うるおいの保護(上記の(2)と(3)の複合概念)

どうでしょうか。

組織の保護とは、ツレる部分を中心とした、カラダへの負担を少なくする走り方。
うるおいの保護とは、めぐる血流やその質をたもつ走り方。つまり、水分等の栄養補給法。

 



 

組織の保護

 

筋肉やカラダをできるだけこわさない走り方。

ここからは、「自分で考えて」工夫をしてみてください。
だって、ひとりひとり、ちがいますでしょ。
いかに負荷をかけずに走れるか、の実践ですから。

そのために、みんな、もれなくアタマがついているんですね。
自分でつくってゆくんです。
それが、何事も、オトナの流儀。

万人に効く方法なんてありません。
まったくの蛇足ですが、わたしの工夫をあげさせていただきます。
真似をせよ、ではありませんので、誤解しないでください。

力まない。
欲をだして、けり出す走りは、負荷がたかくなる。

とびはねない。
マラソンは、前にゆきゃいいので、上にゆく必要はない。

コマタでゆく。
その方が、アシへの負担が少ない。

要するに、「」をかかない、です。
タイムをめざして、なんて考えると、この3つから逸脱をはじめちゃう。
もう、そういう世界からはなれるお年頃なんですね。

ほら、まったくの個人的試行で、ぜんぜん参考にならないでしょ。

そして、コムラ来るぞ、来るぞ、という「予兆」に敏感になってください。
フクラハギのの「ハリ」感です。

マラソン中、これがきたら、次はコムラガエリの襲来があるかも、という発想。

ふだんの生活中、これがきたら、次はギックリ腰がくるかも、という発想。
そう、ギックリ腰は、重いものを持つからじゃなくて、フクラハギまではったあとにくることが多いんです。

ですから、ひごろから、フクラハギに着目。
押して痛いなら、もう普通じゃないんです。
疲れがたまっています。

プニュプニュ、柔らかくなきゃ、おかしいんです。
力を入れなければ、やわらかいところ。
オッパイと同じやわらかさ。



 

うるおいの保護

 

マラソン中、どんな水分やたべものをとればいいか。
これも、自分のスタイルをもちたいです。
それを修正してゆくたのしさ。

ただ、いろいろ工夫はするが、うまくゆかない。
そういうランナーの方に、おもしろいモノを紹介させていただきます。

五苓散(ごれいさん)という漢方です。

カラダの中の水分バランスを調整する四天王。
沢瀉、蒼朮、猪苓、茯苓。
そこに、クルクルめぐりをよくする名脇役。
桂枝。
この5大タッグマッチの漢方界の天才的発明品。

カラダのなかの水分不均一を整えてくれる横綱です。
低気圧の接近で、アタマがいたい。
とつぜんおそうめまい発作でクラクラ、立っていられない。
そこには、アタマの中のムクミが原因というのも少なくありません。

そうそう、飲む前に一服。
すると2日酔いが軽減されます。
あれも、体液の不均衡、とくに脳のムクミ。

このとき、五苓散を口にふくんで、モグモグドックン。
すうーっと、霧が晴れるように、アタマスッキリとなることがあります。

マラソン中は、体液の不均衡状態は、マックス。
ここに、かくれ熱中症もきている可能性もあります。

ですから、組織をゆるめる芍薬甘草湯といっしょに服用。
悪くはない、と思っています。

そして、コムラガエリで倒れているランナー。
そのさいには、お水をコップに一杯。
その中に、
五苓散2包
芍薬甘草湯2包
麻杏薏甘湯2包
インスタントコーヒーみたいにまぜて、ゴクゴク。

で、5分、10分後の経過観察。
たぶん、いいんじゃないかなあ。
ツムラさん、協力いただけませんかね(苦笑)。

これらをうまくまとめた「ランコム1包」なんていかがでしょうか。
これで、点滴や救急車依頼は、激減。
(個人的な夢想です)

ただ、まったくのわたくしの独断です。
万人にいいモノなんてない。
これは、つねにキモに命じておかねばならないことです。
そして、修正を加えつづける。
ちまたの感染症対策についても、いえてるんことですがね。

マラソン、たのしみたいものですから。

 



 

たーさん
原因を さぐれば道も ひらかれる

 

↓ よろしければ、清き1票をお願いします(1日ワンクリック有効)
にほんブログ村 その他スポーツブログ マラソンへ