マラソン中の「こむらがえり」(2)

均一、不均一

 

カラダの中は、基本的な組成は、すべて「均一」です。
いわゆる、「浸透圧」という、キホン中のキホン成分が、です。
カラダすべてが、ひとしい液で満たされている。

もちろん、活動によって、この均衡さはつねに変化しています。
活動のさかんな部署。
まったりしている部署。
それぞれ、代謝がことなるからです。

さる旅館があったとします。
松の部屋は、8人組の、お部屋宴会つきでのお泊まり。
梅の部屋は、ひとり静かな方のお泊まり。
翌朝の部屋のミダレ方は、同じにはなっていません。

それでも、旅立ったあとは、キチンとおそうじが入ります。
すると、同じようにサッパリとなります。
こういう感じでしょうね。

つねに均一さをめざしている。
カラダは、そう働いています。
なのに、なぜ家や押し入れの中はそうならないのか。
性格は、均一さを求めていないのか。
単なる、ズボラ?

 



 

熱中症騒動

 

マラソン中の、3大内科系アクシデント
大コムラガエリ。
熱中症。
急性胃腸障害(オエオエ、腹痛)。

こんな分類や統計、聞いたことありません。
すいません、わたくしの勝手な思いこみです。
よく出会う事件、ということです。

その中の熱中症を考えてみます。
はい、いつもの道草です、すいません。

熱中症は、マラソン大会では、めずらしくない病態です。
いえ、マラソンだけではありません。
屋外での活動一般だって、よくおこります。
場合によっては、しめきった部屋の中でもみられる。
しめきった車なんて、とくに危険。
夏ばかりでなく、その他の季節でも。

 



 

熱中症のおしえ

 

熱中症については、コムラガエリより、研究がすすんでいます。
専門家も、とりくまれている方が多い。
なぜなら、頻度が高いから。
救急車でお越しになる方も少なくはありません。

なぜなら、にもかかわるからです。
重くなれば、命をおとします。

ということで、勉強する機会も多い。
夏が近づけば、いろんなかたちで特集も組まれます。
病態の分類だとか、重症度の分類なども整備されています。
わたくしには、覚えきれない。

ということで、ウンチクは数知れず。
いや、ちゃんとした治療法です。
ですが、それらは省かせていただきます。
わたくしの技量をこえています。

熱中症の特質をひとつだけあげます。
カラダの脱水
脳ミソのムクミ

この相反する、2つの病態です。
そう、さきほどの「均一」の原則に反した状態です。
カラダの、メッチャな不均一。
これこそが、熱中症を特徴づける病態。

 



 

相反

 

カラダが脱水状態になる。
ま、だいたい熱中症になる条件のひとつが、水分不足ですから。
ここまでは、ついてゆける。

なのになぜ、脳ミソだけは、反対にむくむのか。

いえることは、脳ミソだけは、特殊な血管構造をもっている、ということです。
脳ミソの血管だけは、特殊なバリアがはられている。

血管を通しての出入りが、ひじょうに制限されています。
江戸時代の「入り鉄砲に出女」みたい。
むやみなものは、いっさい血管壁を通過させない。
そういう、最後の砦みたいなつくりになっているんですね。
関所やぶりは、打首獄門。

繊細な脳ミソを守るための神サマがつくったしくみです。
繊細な脳ミソに例外はありません、わたくしのようなものにも。

でも、フリーに出入りできるものはないかな。
そういって、人類はむかしから考えてきました。
本当に考えたかは、わかりませんが。

その結果、フリーとまではゆきませんが、ある程度通過しやすいブツを発見してゆきます。
それが「アルコール」と「麻薬」です。
麻薬は、何をもって麻薬というのか。
それは、脳ミソを通過できる物質、というところからです。

人類は、こういうものを見つけ、大切にしてきました。
なぜなら、脳を通過できるブツをとると、気分が変われると知ったからです。

逆にいえば、ほかは簡単には通さない。
通りゃんせ。
それが、脳ミソを守るということです。
人間は、脳ミソを守るしくみが、格段に進化・複雑化しているんですね。

さて、なにやらカラダが脱水気味になってきたぞ。
このままゆくと、脳ミソも干上がってしまいかねない。
こりゃ、脳ミソを守らねば、大変なことになるぞ。

干上がる前に、脳ミソに水分をストックせよ。
というシクミがあるんでしょう。
カラダが干上がりはじめると、脳ミソはムクミだす。
水分を、ためようと働きはじめる。

 



 

とりもつ縁

 

かたや脱水。
かたやムクミ。

ひとつのカラダの中で、相反する別々の状態が進行中。
これって、よくはありません。
カラダは「均一」の大原則を、やぶっていくわけですから。

ですから、重い熱中症は、手強いんです。
不均一さの増強って、なかなかやっかいです。

脱水だから、点滴を入れて、なおせばいいじゃん。
そうすると、脳ミソのムクミはすすんじゃいます。

脳ミソ優先で、脳ミソのムクミをまず補正しよう。
そのために、濃い点滴だ。
するとカラダの脱水が、ますます進行です。

両者のバランスを、どのように調整してゆこうか。
そして、高度の熱中症では、ときに筋肉のケイレンもみられます。
ああ、コムラガエリじゃないのか。

マラソン中のコムラガエリは、だいたい深部体温があがっています。
熱中症もひそんでいる。
ということは、カラダの各部の「不均一」状態もある。
脳ミソのむくみもはじまっている。
ということは、熱中症対策に準じる手立ても必要。

しかも、カラダに関しては、より複雑な事件がおきています。
典型的には、カラダ脱水状態でしょう。
熱中症なら、ふつうコレです。
逆に、お水とりすぎで、ブクブクになっているときもある。
こういう熱中症は、なかなかみられません。

簡単に、わりきれない。

マラソン中のコムラガエリ、いがいに奥が深い。
(つづく)

 



 

たーさん
脱水に ムクミの混在 根は深し

 

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