鉄人 | 飛脚走り

鉄人28号を知っていますか

ビルの街にガオ〜
夜のハイウエイにガオ〜

と聞くと、ピピピピと、なつかしのスイッチが入ります。
『鉄人28号』のテーマソング。
金田正太郎少年、チープな操縦桿、すべてがなつかしい。

すいません、あいかわらずピントのずれた発想。

もはや、鉄の時代は、うつり変わっています。
そうです、次の世代は、超合金ロボット。

そしていまや、さらなる進化。
AIロボットの登場です。
もはや、ついてゆけない。

ともあれ、わたくしの少年時代のあこがれの鉄人28号。

あのように強くなりたい。
自分も、鉄人のようになれないか。

いえ、たんぱく質が主体の人間が、鉄人にはなれません。
やはり、そんなものでしょうか。

たしかに、完全鉄人化計画は、むつかしいかもしれません。
でも、人間にも、鉄人の血が流れている。
人間も、鉄がないと生きてゆけません。

ゆけ、鉄人29号。

貧血と、鉄人

カラダのすみずみにまで酸素を運ぶ主役は、赤血球。
その赤血球をつくるのに必要なのが、鉄分。
赤血球量をしめす指標として、ヘモグロビンがある。
ヘモグロビンの低下は、貧血とよばれる。

さっこん、中学生でもご存知の知識です。

どんだけ、赤血球は大切なものなのか。

人間を構成する細胞数は、ぜんぶで37兆個くらいと、いわれています。
（むかしは、60兆個といわれていました）
そのうちの26兆個は、赤血球がしめている。
つまり、カラダの細胞数の３分の２は、赤血球。

ええ、そんなにですか。
圧倒的多数。
すなおに、おどろいておきましょう。

その赤血球のひと粒、ひと粒に鉄とたんぱく質の結合体であるヘモグロビンが必要になります。
鉄は、単体だとさびついちゃうので、こんな工夫がされているわけですね。

ですので、鉄が不足してくると、ちゃんとした赤血球が作れない。
それは、酸素の運び手不足ということ。
すると、すぐに息がきれる。
だから、マラソンをしても、疲れる。
そうか、実力の問題ではなかった（貧血の場合）

アタマスッキリと、鉄人

オツムの中では、さまざまな脳内物質が活躍しています。
その量やバランスで、オツムの回転が左右されます。
お勉強をする、しない、よりも大切なことかもしれません。

たとえば、こんな代謝があります。

フェニルアラニン→ドパミン
フェニルアラニン→ノルアドレナリン
トリプトファン→セロトニン
トリプトファン→メラトニン

これらの代謝回路は、どれも「鉄」の作用が必須です。
鉄がないと、先にすすめません。

ドパミンは、やる気をつくる物質です。
ノルアドレナリンは、ストレスへの対応をにないます。
セロトニンは、気分の調整に関係します。
メラトニンは、安眠をいざないます。

なので、鉄が足りなくなったら。

うつっぽくなる。
集中力がなくなる。
やる気がわかない。
アタマがいたい、メマイがする。
不眠や、昼間も眠くてしかたない。

人間も、鉄人の仲間なんだなあ。

カラダとおハダスッキリと、鉄人

筋肉、粘膜から皮膚、ツメにいたるまで、その代謝に鉄が必要です。
じつは、骨の代謝まで、関係もしています。
ですので、鉄不足から、思わぬコトが起こりえます。

動悸がドキドキ気になる（心臓も筋肉）
筋肉痛や、こむら返りが起こりやすい
筋力がおちた
ノドの奥に、つっかえ感がある
シミやアザができやすくなった
爪が弱くなって、割れやすい
化粧のノリが落ちた
ハダのハリ感がなくなった

ひとつひとつは小さな症状かもしれません。
でもいろいろと、そろってきたら、大ごとです。

循環器科をまわって、
胃カメラを受けて、
皮膚科に相談して、
女性の場合は、ここに婦人科が加わって、
という病院巡りになりかねません。

ひょっとしたら、鉄人じゃなくなっているだけかも。

疲労骨折、というと激しい運動や練習のしすぎ、という面があります。
でも、じつは鉄不足から骨が弱くなっていた、ということもあるんです。
少なからない頻度で。

フェリチンに着目

鉄人になれているか、の検査では、いくつかの項目が着目されます。

ヘモグロビン（貧血の程度）
血清鉄（おサイフの中身）
フェリチン（鉄の総資産）

カッコ内を参考にしていただければ、見どころがわかってきます。

ヘモグロビンで、貧血の程度を知ります。
血清鉄は、まあ、振り回されずに、パス。
そして、フェリチン値に着目。

フェリチンは、トランスフェリンとの鉄交換によって、血清鉄の維持をおこなってゆく鉄貯蔵タンパクですが、そこはスルー。
全身にあって、鉄の貯蔵量を、いちばん正確に反映します。

ただし一般健診項目では、ふつう入ってはいません。
貧血の始まりは、ヘモグロビンより先にあらわれます。
本当は、ランナーは、もっと気軽に調べられるといいですね。

おおまかな目やす。

50以下：鉄不足きてます
80以下：これ以上下がらないように、注意です
100以上：ひとつの目標、できれば120以上

とにかく「フェリチン値が低い」イコール「鉄不足」です。
足りなかったら、改善をおすすめします。

一方、フェリチン異常高値をどうみるか。

これは、フェリチンをふくむ臓器の何らかの異常が考えられます。
鉄剤の服用で、ここまでくることは、原則ありません。
感染、免疫異常、腫瘍、その他モロモロ。
このときは、その道のプロにご相談を。

さあ、鉄人になって「本来の実力」で、走りを楽しみましょう。
（鉄分で、本来の力以上は期待できません、多分）