走りの原点、タートルマラソン中止に想う

なぜ走るのですか?

 

タートルマラソン全国大会
東京、荒川河川敷を会場にして、荒川にそってのぼり、Uターンして帰ってくるマラソン大会。

記録証と日記をふり返ってみると、最初に参加させていただいたのは、平成20年10月19日の大会でした。
参加理由は、会場がわりに近いこと。
朝、ふつうに家をでて、日帰りでゆっくり帰ってこられるから。

そして参加してみると、会場までの東京下町の雰囲気、広大な荒川周辺の景色などに魅了されてゆきます。
くわえて、この大会は、わたしの所属する日医ジョガーズが医療ボランティアで入っていることもあわせ、秋の楽しみ以上に積極的に加わらせていただくようになってきました。

という話は、ここまで。

この大会で、あらためて「なぜ走るのか」を教えられました。

 



昨年の大会会場の光景。ほぼ同じ場所が、冒頭部の写真に変わってしまったそうです

 

車イスランナー

 

この大会のひとつの特徴は、車イスちびっ子ランナーが多数参加されることです。

車イスといっても、競技用に特化されたアスリート仕様ではありません。
日常に使っている車イスです。
つまりは、日常生活で、ふつうに歩くのが大変なちびっ子たちの参加です。

もちろん、ひとりではレース参加はまだむつかしいです。
親御さんたちもいっしょに参加し、うしろを押します。

そして、このふつうの車イスが、一般ランナーと同じコースを走ります。
(もちろん、距離や条件は、いろいろ工夫されています)。

家の中での車イスを想像してみてください。
家具や壁にぶつからないように、シズシズと使います。

一歩家を出て、外出先での車イスの姿を想像してみてください。
まだこの国は、車イスにとっては、バリアーだらけです。
動線は、ひじょうに限られます。
いきおい、ゆけるところは、制限されています。

 



 

 

表情がものがたるもの

 

車イスにのって、わたしたちが走るマラソンコースをいっしょに風をきる。
多くの車イスのランナー。
ひとりひとりの表情。

ふつうに走っているランナーの表情は、さまざまです。
必死の形相のランナー。
おおきな息をはきつづけるランナー。
おしゃべりしながら、チンタラすすむランナー。

ところが車イスの上のランナーには、なぜか共通項がみえてきます。
輝いている

おいおい、輝いている表情って、どんなものなんだ。
うーん、むつかしい質問です。
それでも、輝いている、としかいえない雰囲気になっているんです。

おおきなちびっ子になると、という表現もヘンですが、電動車イスで参加される子もいます。
その走る姿は、もうレーシングカードライバー顔負け。
ランニングコースを、ぶいぶい走りぬけます。
ほんとに、いい表情。

 



昨年度の大会の一コマ。同じコースを、いっしょに走る!区別なし。

 

 



昨年度の大会の一コマ。電動車イスだって、自分のレースを楽しめます。ブイブイ。

 

キラキラ

 

不思議に思っていました。
なぜ、車イスで走りぬけるランナーは、輝いてくるのか。

ボクの独断になってしまいますが、それは「走っているから」。

そう、非日常のスピードの世界に入ってくるからなんです。

家の中では、けっして感じられないスピード。
町の中でも、こんなスピードはだせません。
車に乗ってはだせますが、それは車の中での感覚。

に出ること。
空気の流れを全身に感じること。
大地の振動を、めいっぱいに味わうこと。

そんな世界に飛びこむことで、しぜんに輝きが生まれてくるのかもしれません。

 



 

 

走りの非日常

 

なぜ、走っているんですか。

そういう質問がでるくらい、ふつうのくらしに、走ることは非日常的な行為です。
おとなになれば、電車が間にあわないとき以外、小走りさえしなくなります。

ところが、走ってみる
すると自分のカラダ全体に、いつもとちがう風を受ける。
いつもとちがう光景が、目に入ってくる。
いつもとちがう感覚が、全身をつつんでくる。
いつもとちがう時間が、流れ始める。

そして走り終えたあとの、汗と心地よい疲労感。

走るのって、おもしろいことじゃないですか。
すばらしいことじゃないですか。

忘れてしまいがちな、走りの原点
自分は、何のために走っているのか。

 



いろんな人が、楽しむ(大会ホームページ上、フォトギャラリーから拝借)。

 



走りだけじゃなく、いろんな体験もできます。それはいろんな出会いの第一歩。

 

困難の上に

 

バリアフリー大会もかかげているタートルマラソン大会。
ことし、2019年10月20日に予定していた大会は、台風19号の影響で、中止になりました。
大雨で、会場もコースも水浸し、泥まみれで、使えない状態だそうです。
(冒頭写真は、会場予定地)。

この大会は、過去にもおおきな事件がありました。

10月なのにとつぜん猛暑となり、24名もの救急車搬送ランナーがでる事態になって、全国紙にも報道された大会。
都会なのに、ハーフまでの大会なのに、心肺停止で倒れた30代のランナーにAEDも届けられず、命をおとされた大会。

たぶん主催者は、いろんな場所で、批判もされたでしょう。
でも、その都度、改善をほどこされてきました。

どこよりも、エイドをふやしてゆく。
1キロおきにAED隊を配置してゆく。

くじけなさ、に感服しています。
何が、その力となっているのでしょうか。
そこに、車イスランナーの顔も浮かぶのかもしれません。

一般ランナーにとっては、一つの大会かもしれません。
でも、車イスランナーにとっては、かけがえのない大会です。
そして車イスランナーだけじゃなく、楽しみにしているランナーの存在。
だから、がんばれ。
だから、つづけてほしい。

走ることって、すばらしい、というのを感じさせてくれるすてきな大会です。

 



2019年度、大会ホームページ上の「フォトギャラリー」上の1枚。今回の記事で見つけました。何やらアヤシイおっさんが載っていました。検閲ダイジョーブ?

 

 

たーさん
なぜ走る きっとわかるよ タートルマラソン

 

↓ よろしければ、清き1票をお願いします(1日ワンクリック有効)
にほんブログ村 その他スポーツブログ マラソンへ
にほんブログ村