台湾パワー
2023年のチャレンジ富士五湖ウルトラマラソン。
スタート前のアナウンスで、こんな情報を流していました。
「今年は、外国人ランナーもたくさん参加しています。
1番多いのは、台湾からのランナーです」
ふーん、と聞き流していました。
そういう流れがもどってきたのかな。
でも走っている途中じゃ、わからないだろうな。
ところが、わかりました。
Tシャツの背中に、ごていねいにも「TAIWAN」の文字がかかれたランナーを発見したのです。
こりゃ、一発でわかります。
いや、見過ごす可能性の方がおおきいかもしれません。
いちいち、背中の文字は読みませんから。
気をひいたのは、足もとのせいです。
ゾーリで走っている。
しかもウルトラに似合わない、小太り中年オヤジ風(失礼)です。
最初の湖、山中湖畔を走っている最中です。
まだ20キロもいっていません。
ゾーリといっても、いわゆるビーサンではありません。
ギョサンです。
漁師さんが、船の上で作業中にもはくというゾーリです。
ギョサンは、わたくしも持っています。
ハナオ式のハキモノは、興味がありますから。
ビーサンより、かたくて丈夫です。
でも走るには、走りにくいです(わたくし的には)。
もっぱら、お散歩用です。
なのに、この台湾オヂサン、けっこうスムースに走っている。
写真は、「ギョサン」のイメージ図です。
ひとりじゃない
じつに気になるハキモノと走り方です。
しばらく後について、観察させてもらいます。
ワラーチ(ワラジ)と、ギョサンのちがいは何でしょうか?
いちばんは、カカトの固定でしょう。
ワラーチ(ワラジ)は、カカトではきます(わたくし的には)。
ハナオは、そえているだけです。
ハキモノと足は、カカトを共有して、一体化しています。
ところが、前を走るこの台湾オヂサンのギョサンは、カカトフリーです。
なのに、ペッタンペッタン感が、感じられません。
けっこうスムースに走っています。
ギョサンの重さも、感じさせません。
しかも同じ100キロコース組ですから、冷やかし参加ではなさそうです。
フルマラソンも、走っているはず。
もう、立派なランナーに格上げです。
しばらく、あとをつけて考えをめぐらせます。
しかし、だんだんとペースがあわなくなってゆきます。
そっと抜いてゆきます。
コトバが通じれば、声かけしましたが。
そして、レース後半。
80キロをこえて西湖畔を走っている最中。
こんどは、別のギョサン2人組ランナーに出会いました。
お2人とも、スムースにカカトフリーのギョサンをはきこなしています。
おおきな声で話し合いながら走っているので、わかりました。
これも日本語じゃない。
おそらく、台湾語です。
この2人組には、もうひとり、女性ランナーもいっしょに走っています。
やはり、同じコトバを話しています。
この女性ランナーは、ファイブフィンガーズです。
5本指シューズ。
わたくしの、富士五湖ゴール時のアンヨ、疲れでピンボケ気味。
考察
なにゆえ、漁師さんゾーリで走っているのか。
そもそも、あの重く、かたいギョサンでウルトラ大丈夫なのか。
わたしには、無理です。
レース後、調べてみました。
すると新しい事実がわかってきたのです。
わたくしが「ギョサン」と思っていたハキモノ。
あれは、正式には「台湾サンダル」というらしいのです。
ギョサン、とは似ていますが、まったくの別物のようです。
台湾では、運動やランニングにも、おすすめのハキモノらしいです。
くわえて、カカトをつつむ、シューズ式のゾーリもありました。
むしろカカト付きの方が、ランニングにはおすすめだそうです。
そうか、ランニング用のゾーリなのか。
そうと知ったら、行動したい。
台湾サンダルって、入手できないのか。
ありました。
日本では、現在、「小部本舗」というところで、輸入代行をしてくださっているようです。
日本にあります。
https://xiaobubenpu.stores.jp
カカト付きの台湾サンダル、一足3,800円。
一般のランニングシューズと比べれば、リーズナブルです。
まあ、ゾーリなんですものね。
そうとわかれば、実際に走ってみたい。
走りは、理屈じゃなくて、実践です。
早速手に入れてしまった、「台湾サンダル」箱がかわいい。
製造元は、「母子なんちゃら」と書いてありますが、知らない漢字で読めません。
入手
申し込んじゃいました。
あとは気楽に待ってみよう。
いえ、そんな気づかい不要でした。
注文した翌日に、届いていました。
あんたは、Amazonか?
(いまのところ、Amazonでは扱っていないようです)。
手にして、おどろいたこと。
その軽さです。
ギョサンの半分くらいの重さと感じました。
くわえて、その柔らかさです。
ギョサンは、ゴッツイ感満載ですから。
クツ底は、ワラーチやワラジから比べれば、あついです。
1センチくらいはあるでしょうか。
ふつうのビーサンより、ややあつめ。
といって、いまはやりのランニングシューズからみれば、ウスウスです。
そして、おもしろい注意書きがありました。
製造工程で油をつかうようなので、はくまえに洗ってくださいと。
たしかに、ちょっぴり油の感触。
そのため、まずはセッケンをつけてゴシゴシ。
すぐに乾きます。
まず洗わせる理由もわかりました。
サンダルの着色のための油が残っているんですね。
最初は、はいたあと、足に色がすこしつきました。
満を侍して、アシを入れてみます。
第一印象は、やはり沈む感。
つまり、クッション性がある。
そして、カカトのホールド感の低さ。
わたくし、ランニングシューズはもっていません。
ワラーチ、ワラジ、地下タビ、地下タビ様シューズ。
みんな、クッション性はありません。
なので、ハキモノへの感覚は、ふつうのランナーとはちがうと思いますが。
茶色のギョサンと、黒の台湾サンダル。
台湾サンダルは、ギョサンに比べて、「軽い」「柔らかい」「クッション性」高い。
探求します
新しいハキモノは、最初は歩きこなすことから、が安心です。
フワフワ感は、かなり気になりますが、まあ歩けます。
ハナオに慣れていない方は、タビ式ソックスをはいてもいいかもしれません。
そして、ゆっくりラン。
ビミョーにというか、相当にワラーチ感とはちがいます。
やはり、沈み感が気になります。
すいません、クッション性に慣れていません。
そして、カカトへのホールド感のうすさ。
でも感触は、悪くはありません。
すこし慣らしてみるのも悪くはなさそうです。
ワラーチ(ワラジ)のよさは、足ウラへの単純さにあるように思います。
大地の感触が、そのままアシ裏に伝わってきます。
砂利道は、痛い。
そういう足ウラの感じるままの走りになってゆきます。
わたしは、それを「快」と感じます。
つまり、自分の足ウラの感覚だよりの走りになります。
ですから、バンバンと威勢よくは走れません。
その結果、どうなると思いますか?
ウルトラマラソンを走ると、カラダ全体の疲労感はハンパありません。
オナカまで、疲れる。
なのに「足くび」から下だけは、なんともならないんです。
疲れ感がないんです、信じられないことかもしれませんが。
痛くもならない。
かたくもならない。
さわると、柔らかいまま。
100キロを走り通した感が、うまれないのですね。
足クビから上も同じようになれば、連チャンで100キロ走れそう。
ハキモノの世界、奥が広すぎです。
ギョサンスタイル。これで船の上で漁ができるんでしょうか。
台湾サンダルスタイル。これで走れるんでしょうか。
究極には、こういうスタイルも好きですが。
新しい 世界がひらけた 台湾サンダル
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