足が、棒になる

ゾンビ

 

長い距離を走ったあとの、ランナーの姿。
それは、しばしば「ゾンビ」にたとえられます。
とくに、わたしのような、軟弱ランナーは。

ゾンビ化する。
ゾンビのごとく歩いている。

じつは、わたくし、まだ本物のゾンビを見たことがありません。
実際のゾンビは、どんなふうに歩いているんでしょうか。
見てみたい、気もする。
見てみたくはない、気もする。

でも多くの方の支持をえている、ということは、似ているんでしょう。
ということで、ゾンビになってみようか。

いや、マラソン後だけじゃなく、いつだってゾンビみたいじゃないか。
そういう本質をついたご指摘は、ご遠慮ねがいます。
わかってます。

ところで、ゾンビの国籍は、どちらなんでしょうか。
メイドインジャパンではない、ような気がします。

 

 



 

 

ジャパン アズ

 

古来、日本では、長距離走後の姿を、どのように表現してきたのでしょうか。
わたしの知る限り「足が棒になる」が代表的じゃなかったでしょうか。

棒です。
ピノキオですか。
いや、ピノキオだったら、イタリア産になっちゃいますか。

わたくし、昔の日本人の発想に、とても興味をもっています。
興味だけではなく、問いかけもしています。

なぜ、そういう見方をするの?
なぜ、そういう表現を使ったの?

こりゃ、実に本質をついた表現だ。
そういうものに出会えると、飛び上がってしまいます。

一方で、そのココロはどこにあるの、とツッコミたいものもあります。
意味がわからない。
「たべてすぐ横になると、になる」とか。

わが家のご近所には、牛をかっている家があります。
近くをとおると、牛がモオモオとないています。
「あの牛さん、だれがたべてすぐ横になっちゃんたんだろう」

使い古されたギャグで、すいません。
実際には、まだそういうひとには、出会ったことはありません。

「たべてすぐ横になると、肺炎になる」
こういうのには、しゅっちゅう会いますけど。

 



 

 

足が棒

 

足が、になる。

おそらく、耳にしたことがあるかと思います。
そこを、どこまで堀りさげてみましたか。

わたくしの場合、長距離を走りおえた直後から、足は棒になっています。
なんて歩き方なんだ。
べつに、棒を意識しているわけじゃありません。
自然と、そうなってしまっている。

翌日になると、足は、さらに棒化しています。
翌々日になると、もうキッパリと棒です。

棒ですから、おれ曲がれません。
おれ曲がらないから、腰かけられません。
トイレにしゃがみこむ、なんて手すりがなければ無理です。
その日は終日、失禁パンツ(までは至ってませんが)。

しかし、やがて曲がりはじめてきます。
曲がるけど、痛い。
痛い思いをさけるためには、極力、曲げないことです。

足を、棒のままにしておくのが、なにより。
いちばん痛みを感じない方法。

 



 

歩くも、走るも

 

歩くとき、ふつうは、足は折れ曲がります。
股関節、膝関節、足関節、どれもみな。
そのための、関節なんでしょうね。

力強く歩くためには、曲がりのケジメをしっかりつけることが肝要です。
しかもそれが、かっこいい。

走るときだって、同様です。
力強く走るためには、曲がりのケジメがポイントです。

どちらも、動きのダイナミックさが大切でした。
足は、関節が曲がることで、ダイナミックさをつくれるんです。

とすると、です。
足を棒にしておくのは、この対極です。
世間の「おすすめ」の反対の方向にあります。

なぜ疲れると、足はこんな反抗をくわだてるのでしょうか。
まるで、反抗期に入った子どもみたいです。

というようなことを、考えたことがありますか。
なんでオレ(足)を、こんなに酷使するんじゃ。
もう、曲がってやんないぞ、といわれたからでしょうか。

 



 

もっと本質

 

カラダの力が、尽きてきたとき。
足は、棒になる。
正確には、棒のようになって、いつものように曲がらない。

これを世間のひとは、「カッコ悪い」とみます。
あるいじゃ、疲れているね、と。

でも、ここで立ち止まってみました。
なぜ、カラダは、足を棒化させたのでしょうか。

棒にすると、歩けるからです。
イテテてて、もう歩くのもしんどいよ。
そういう状況になっても、歩けるんですね。

なぜ、歩けるのでしょうか。
かっこ悪い「棒になった足」ですませておくだけでは、もったいなくありませんか。
ここを、ふり返ってみましょう。

足が棒になると、別の力が宿ってくるのです。
だから、新たに動ける。
もう、精も根も尽きはてた、はずなのにです。

じつは、長距離走は、走った直後から力尽きているわけではありません。
ま、わたくしの場合ですけど。

もう、走っている最中から、尽きてきています。
ヨレヨレ。
でも、なんとか走りつづけている。
なんだか、うかがい知れない力によって。
もちろん、ガクンとレベルダウンしています。

ところで、この走っている最中から「足を棒」にしてみたら、どうなるでしょうか。

足を棒にしたら動く。
これは、じつに動き方の、チョー単純化じゃないでしょうか。
いちばん、足の筋肉を使わない
さまざまな、歩き方、走り方のウンチクをはぎ取ってしまったカタチ。

無意識に近い動作、と思えるようになってきました。

長距離走後のしんどさの中でもなんとか動ける動作「足が棒」化。
活用できませんか。

 

 



 

たーさん
棒になる なら先に してしまえ

 

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