アシに着目
走りには、大別して、2通りの振幅があります。
「おし」て走る(前アシ)
「ひいて」走る(うしろアシ)
どなたも、両方の力を利用して、走っています。
往復運動ですから、切りはなせません。
ただ、そのどちらを主役にして走っているか、の差がでます。
この見分け方は、いがいと単純です。
だって、カラダの使い方の特徴ですから、カラダにあらわれる。
「おし」て走るためには「モモ力」が大切です。
モモを、おおきく使う。
なので、太モモの発達がみられます。
モモが立派に育つと、それを支えるフクラハギも育ちます。
「ひいて」走るには、「体幹のヒッパリ力」が必要となります。
なので、体幹それも背側部が力の中心です。
ただし、ここは目立ちにくい。
アシに着目すれば、アシは支えるだけです。
なので、なかなかたくましくみえません。
そう、両者の特徴は、アシのなかの「太モモ」にあらわれやすい。
太モモの発達したランナー →「おす」派
太モモのするりとしたランナー →「ひく」派
ここで注意していただきたいのは、どちらがえらいか、ではないということです。
どっちも、アリです。
個性です。
たとえば、箱根駅伝2023、山のぼり5区
お正月の学生ランナーの名物競技、箱根駅伝。
ここの5区は、箱根の山のぼりです。
エンエンと、坂をのぼる。
そのため、走り方の特徴がでやすい。
その区間での、「おす」派、「ひく」派の例です。
2023年は、駒澤大学が優勝しました。
5区を走ったのは、山川拓馬選手。
太モモを、思いかえしてください。
ガッツリ発達していて、よくきたえられています。
そのモモを「おし」だして、ガシガシと坂をかけのぼってゆきました。
結果、2位3位を離しての往路優勝へ。
わたし式の表現させていただくと、「力強い」走りです。
この5区で、いちばんはやいタイムで走ったのは、城西大学の山本唯翔選手。
区間賞獲得の走りです。
山本選手の太モモに着目してみましょう。
スラリとして、力強さをあまり感じさせません。
坂をかけのぼる、というより、まいあがってゆく感じ。
きれいな「ひく」走りでした。
うしろアシが、すっとひかれてカラダの下におりる。
わたし式の表現をさせていただくと、「華麗」な走り。
そのため、記録がトップにもかかわらず「山の神」といわれませんでした。
かわりに「山の妖精」なんていわれたとか。
イメージが、伝わります。
何度もくりかえしますが、どっちがいい、という話ではありません。
自分にあった走りが一番。
たとえば、外国人ランナー
ことわっておきますが、ケニアにはいったことがありません。
なので、ケニアの方が、どのように走っているかの現地レポートはできません。
あくまで、日本で走っておられる、テレビにうつるケニア人ランナーの観察です。
なので、ランナーとしては、エリートの方々です。
そういうケニア人ランナーの走りは、どう映るでしょうか。
アシが骨盤(体幹)にひかれていませんか?
そう「ひく」走り派です。
特筆すべきは、そのアシのほそさです。
ウデみたいなアシで、どっピューんと疾走してゆく。
一方で、ジャマイカ系のランナーさんが思い出せるでしょうか。
ウサイン・ボルト選手とか。
ものすごくアシを「おし」だして走っています。
それを支える太モモの立派さよ。
筋肉モリモリに発達しています。
こういう走りもある。
メキシコの山岳地帯には、ララムリとよばれる人々がくらしています。
山道を、ワラーチでかけめぐる民として、一部のランナーには知られています。
その方たちは、「ひく」派です。
アシがヒョロリ、モモはスラリ。
しかも、ハキモノは、本家ワラーチです。
そう、ワラジの兄弟。
腰にまくのは、ハカマならぬスカートですね。
着地問題
走るさい、アシ裏のどこから着地するか。
そういう、着地アシ問題というのがあります。
カカトから着地するか。
アシ裏全体で着地するか。
前のほうから着地するか。
ほぼ無意識におこなわれる行為なんで、そこまでこだわる必要があるでしょうか。
というより、これはアシのふり方で、決まっちゃいませんか。
「おし」て出せば、カカトからの着地になります。
「ひいて」出せば、前からの着地になります。
だって、足の構造とつながりが、そうなっているからです。
それだけ。
カラダは、全部がつながっています。
ワラーチが走りにくいので、どうしたらよいですか。
そういう疑問をいただくことがあります。
「おし」て走ると、ワラーチはズレてしまうので、使い勝手はよくありません。
「ひいて」走る様にできているから。
というより、ワラーチ走りが、「ひく」走りをうむから。
これだけ。
故障問題
無理をすれば、故障もおこしやすくなるのが世の常。
これは走りだって、例外ではありません。
自分自身の故障問題。
そして、テレビに出てくるようなランナーさんの故障問題。
故障が「長びく」
故障を「くり返す」
たとえば、ヒザ。
たとえば、アキレス腱。
たとえば、足底。
たとえば、腰。
ここで、「長びく」と「くり返す」といいましたが、両者は別物です。
「長びく」は、じつは運動器にはめったにありません。
なぜなら、組織はつねに新しい成分に置きかわっているからです。
筋肉でさえ、数ヶ月で、ほぼすべての成分が新調されてくる。
新しくなる、イコールなおってる。
それが、なかなかよくならない。
それは、くり返し、よくない負荷をかけているからです。
同じ場所に、同じよくない負荷がくり返されている。
なかなかよくならない故障の、正体ですね。
ですから、同じ負荷をさけてみる。
具体的には、走り方をかえてみる。
そのひとつが、「おす」走りと「ひく」走りの移行、もありじゃないでしょうか。
そうすれば、走りながらも、故障はいえてゆく。
そして、どんな走り方のランナーさんが故障をおこしやすいか。
それを学ばせていただくことは、すごい勉強です。
ああ、あの走り方は、アソコに負担が大きくなってはいまいか。
そういう目を育てる。
それを、自分に活かしてみる。
勉強は、自分でやるもんです。
アシさばき 走りに幅うむ おすとひく
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