ひらめき
運動器系のモロモロ症状に、漢方薬はアリだぞ。
100キロウルトラマラソン後の、ハンパない筋肉痛。
それを、麻杏薏甘湯は、痛みの「程度」も「期間」も、大幅に軽減してくれました。
個人的な、体験ですけれど。
こんなに、やさしくしてくれるヒトがいてくれる。
いえ、ヒトじゃありませんが。
ひごろ、愛情に飢えている身に、じつに感慨深い体験となりました。
ウルウル。
なぜ、いままで気がつかなかったのだろう。
なぜ、いままで気に止めてこなかったのだろう。
ひとつは、わたくしの「鈍感力」にあったのかもしれません。
飛脚走りになってから、ラン関係の故障はありません。
どこかに、痛みをかかえるわけでもない。
でるのは、レース後の筋肉痛くらい。
そして、それは時間が解決してくれます、自然に。
つまり、注目する必然がなかったのです。
でも、今回、考えをあらためました。
運動器の世界でも、もっともっと活用の場をつくりたい。
実は、走らないヒトのなかにも、運動器の痛みをかかえる方は少なくありませんし。
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漢方チーム
漢方は、すべてチームで活動します。
ひとりのものは、ありません。
最小が、ふたりのチーム。
ランニング界で有名な、芍薬甘草湯が代表者です。
多いものでは、10人をこえる大所帯もあります。
まるで、ラグビー軍団。
そういった多彩な漢方チームを、どうみてゆこうか。
特徴として、まず「2つ」にわけてみました。
ひとつは、「エースをたてるチーム」です。
もうひとつが、「チームワークが売りのチーム」です。
「エースをたてるチーム」には、文字通り、エースがいます。
もちろん、それがチームの大黒柱であり、看板です。
エースを中心に、まわる。
といって、エースがひとりで、試合はできません。
まず、エースを支える「相棒」が必要です。
野球でいえば、豪速球エースの影に、それを受ける名キャッチャーという相棒の存在です。
サッカーでいえば、神業シュートをきめるストラーカーの影に、絶妙なパスをおくる相棒。
そして、これらをの活躍を支える、チームメイト。
「チームワークが売りのチーム」には、大物はいません。
しかし、全員がそれぞれの持ち味を発揮して、試合を盛り上げます。
一見「地味」とみられちゃうかもしれません。
しかし、クロウト衆からは「職人」チームと評価される存在です。
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エースをたてるチーム
麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)は、エースをたてるチームです。
チーム構成は、4人。
麻黄
薏苡仁
杏仁
甘草
4人のアタマの文字を並べて、チーム名をつくったようです。
エースは「麻黄」です。
体表や筋肉などの熱(炎症)に強力に介入してくれる大エースです。
あつさを、強力にサポート。
いたみを、強力にサポート。
ハレを、強力にサポート。
熱をもっちゃったら、どんとまかせろ、という実にたのもしい存在です。
その大エースを受け止める相棒が、「薏苡仁」です。
大エースを、「筋肉内」によびこむ役目をもっています。
そのおかげで、筋肉内(だけ)で、麻黄は大活躍できます。
結果、「筋肉内(だけ)」の熱が、強くおさまっていってくれるのですね。
のこりの2人の杏仁と甘草は、エースコンビの活躍の場をととのえる役目です。
グランドキーパーみたいな存在。
ぬかるんでいたら、水はけをサポート。
カラカラで、ほこりがまっていたら、うるおいをサポート。
うら方、といっては失礼でしょうか。
でも、エースたちが活躍できるのは、このうら方さんがいるおかげです。
足場を気にすることなく、活躍できるからです。
なくてはならない存在です。
うーん、いいチーム。
なお、これは、あくまで、わたくし流の解釈です。
別の解釈をされる方も、いっぱいおりますよ(苦笑)。
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チームワークが売りのチーム
一方、桂枝茯苓丸は、チームワークで成り立っています。
どーんと看板の大エースは、いません。
これは、5人からなるチームです。
そして、みなで「流れ」を演出する職人です。
桂枝(シナモン)は、リラックスさを導いて、流れやすさを演出させます。
芍薬は、血管を広げて、流れそのものをよくします。
牡丹皮と桃仁は、ドロドロの血液自身を、サラサラ化させてゆきます。
それらがうまく働けるように、茯苓が胃を守ってくれています。
おかげで、とどこおった「血流」が、動きはじめる。
運動器の障害、といえば、だいたい流れの障害がからんでいますから。
打ちみ、しかり。
捻挫、しかり。
骨折、しかり。
そして、筋肉痛しかり。
どれも、流れがとどこおっています。
それを、しばしば「はれている」「むくんでいる」と表現しますが。
ここをまかせてくれ、という職人チームです。
じつに心強い存在です。
ただし、急性期の筋肉痛に、この出動をお願いしなくてはならないか。
そこは、まだ検討中です。
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筋肉痛がさったあとで
というわけで、ランニング後の筋肉痛は、すっかり様変わりした感があります。
痛みのピークが、やってこない。
痛みの感覚が、みるみるひいてゆく。
そのため、すぐに元通り。
さあ、さっそくいつものラン再開だ。
というふうには、なりませんでした。
まだ、下腿のシンに「違和感」が残る。
まだ、右ヒザ周辺に「違和感」が残る。
うーん、そこで再び生理学の知識です。
運動器の感覚受容器は、おおまかに4ヶ所。
真皮(皮膚直下)
筋膜
関節包(関節をつつむ膜)
骨膜
そうです、今回の筋肉痛セットでは、たぶん「筋肉・筋膜」の変化をおこしました。
目的場所は、筋肉・筋膜でした。
関節には、働いていない。
骨には、働いていない。
ですから、骨膜と関節包の感覚が、でているんだろう。
こういう感覚は、初めてです。
生理学の知識のありがたさを、しみじみ感じました。
骨と関節を忘れちゃならない。
新しい入り口を見つけました。
(つづく)
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