足首と、五重塔

距骨に着目

 

人間の足首は、礎石構造になっている。

大きな柱の下端を支える石を、礎石(つかいし)といいました。
石をとって、(いすずえ)ともいいます。
意味は、そのまま「基礎」ということです。

山門などの大きな柱の下には、立派な礎石が支えています。
その伝統は、いまに続いています。
巨大なビルも、礎をほどこした年を「定礎」として残しています。

その定礎構造は、何から学んだんでしょうか。
2本足で立つ人間から、ではなかったのではないでしょうか。

軽くはない体重を、小さな足首で支える。
そうです、足首を軽んずべからず。
その足首の中の足首、「ザ・足首」ともいうべき場所。
それが、いま注目している「距骨(きょこつ)」です。

というのも、大地という足ウラにおかれた土台。
カラダという大きな柱を受ける土台。
それが、距骨です。

そこが、うまく使えていないとしたら。
そこが、うまく働けていないとしたら。

けっこう、重大な問題じゃないでしょうか。

 



 

もうひとつの視点

 

人間の足首構造をみて、礎石の発想をえた。
ま、わたくしの独断ですが。

ただし、これだけでは、じつは不十分ですね。
というのも、「」は動きません。
一方、人間は、つねに動く存在です。

動くだけでは、ありません。
ランナーなんて、走るんですから。
ここを、忘れてはいけません。

動きを支える定礎なんて、ありません。
いわんや、走る定礎なんて、考えられません。

もしも柱が動くとしたら、どうしたらいいと考えますか?
じつは、ここにも天才がいたのです。

その天才が作った建造物が、法隆寺の五重塔ではないでしょうか。
五重塔、というこらいですから、ノッポ構造です。
そして、わが国は、むかしから地震大国です。
グラグラ、は日常茶飯事。

つまり、高い塔は、大きく揺れるのです。
動くのです。
静止を前提とした構造では、もちません。

たとえば、大きな石垣は、ハンパなく重いです。
それでも、地震でくずれてしまう。
ところが、法隆寺の五重塔は、1300年以上も立ちつづけています。

どうしたら、こんなことが可能になるんでしょうか。

 



 

バランス、という視点

 

法隆寺の五重塔の中は、1本の巨大な柱がつらぬいています。
それを「心柱(しんばしら)」といいます。
天井から、地面までのびる大柱です。

この柱。
もともとは、地面にそなえつけられた大礎石の上にたてらてたそうです。
しかし、長い歳月のすえに、下面が朽ちていったそうです。
やがて、天からつり下げられる構造となって、いまに至っているようです。

つまり、天井からつるされた心柱が、振り子の役目をはたしている。
そして、これが地震のさいの建物のバランスをうまくとっているのだそうです。

日光東照宮の五重塔は、最初から心柱をつり下げているそうです。
こういう設計もある。

日本の塔は、こういう心柱構造をもっています。
それが、地震大国で塔の構造をたもつ秘密のようです。

1995年には、阪神淡路大震災がおこりました。
兵庫県には、15基の三重塔があるそうです。
みな、基本構造は同じだそうです。
そして、倒壊したのは、皆無でした。

そういえば、東京スカイツリーの基本構造も、心柱のアイデアが活用されていますね。
心柱、すごい。

 



これは、羽黒山の五重塔です。

 

2つの合体

 

人間は、2本足、動作中は1本足になる生きものです。
それなのに、コケない。
そして、歩いて走れる。

なぜ、そのようなことができるのでしょうか。

それは、カラダの中に、「心柱」が通っているから。
アタマから下がった心柱は、足首におさまる。

物理的表現をすれば、「重力」に従う、となるかもしれません。
でも、心柱の方が、イメージがわきませんか。

そして、頭から下がった心柱は、足首のどこにおさまるのでしょうか。
それが「距骨」です。
距骨が、カラダの心柱構造を受けとめる。

だって、ほかの足首まわりのたくさんの骨は、みな相互に強力につながっていますから。
互いにつながる骨構造は、強く根をはった根っこと同じです。
強力ですが、動きには弱い。

ポツンと、存在している骨。
自由に、存在している骨。
それをさがすと「距骨」しかないのです。

 



 

距骨の立場

 

足ウラは、アーチ状になっている、というのは有名なはなしです。

そのアーチの高さで、人間は、分類をはじめました。
高めのアーチ。
低めのアーチ。
いろんな分類が趣味な方が、いらっしゃるんですね。

そして、体重もさまざまです。
体格もさまざまです。
大きくて、ガッチリしたひと。
小さくて、キャサなひと。

でも、そんな分類は、どうでもいいんです。
どんなアーチであっても、距骨はその上に乗っているだけですから。
どんな体格であっても、距骨は心柱を受けとめているだけですから。

距骨がしっかりしていれば、大地からの反力はしっかり受け流せます。
距骨がしっかりしていれば、体重の負荷はしっかり受けとめられます。
大切なモノを、見失しわないように。

さて、そんな距骨。
大切に利用できているでしょうか。

これが安定した走りには、重要なポイントをにぎっていませんか。
これがくずれたとき、足首から人間は崩壊の危機にたたされるのです。
あくまで、私見ですけど。
(つづく)

 



たーさん
人間を 支えるカナメ 心柱

 

↓ よろしければ、清き1票をお願いします(1日ワンクリック有効)
にほんブログ村 その他スポーツブログ マラソンへ