富士山マラソン2021、後半戦は沈没

だいごみ

 

富士山マラソン初参加なのに、したり顔で失礼します。
このレースの、だいごみ。
それは、ハーフをすぎたところで待つ、激坂でしょう。

河口湖から、西湖にのぼる、約1キロ余りつづくのぼり坂です。
ふつうの、カタギのマラソン大会では、考えられません。
このコースで日本新記録がだせたら、そのまま世界新レベルです。

富士五湖ウルトラマラソンでは、55キロを走って、ここに突入します。
なので、最初から「歩き」になります。
わたくしの場合、ということになりますが。
坂をのぼりあげる力なんか、とうに消滅してますので。

しかし、今日はまだハーフを走っただけ。
歩いてなるものか。
走りつづけるぞ。

スピードは落ちますが、なんとか走りつづけます。
まわりのランナーも、走っています。

すると、オオオオ。
対向車線側には、すでに西湖を1周したランナーがかけおりてくるではないですか。

バンバンバン。
足音も、呼吸音も、規模がまるでちがいます。
すごいランナーが、おるもんです。

 



なんとか歩かずに、走る、走る。

 



エイドの、ド定番のカントリーマアム、おいしゅうございました。

 



バナナを、いただけるのも、うれしゅうございました。

 

西湖北岸

 

西湖まで、のぼってきました。
ここの北岸は、北に山脈をかかえているおかげで、北風をさえぎります。
くわえて、南から太陽光線をめ一杯あつめて、あたたかな空間。

ただし、アスファルト面が、もっとも荒れています。
ワラジで走っていると、よくわかります。
痛いんじゃ。

急に、よこから若い女性ランナーに声をかけられました。
「あのお、痛み止めは、持っていませんか?」
生理痛で、痛いんだそうです。

どうやら、ロキソンやカロナール系の薬を希望されています。
「すいません、そういう手持ちはなくて」

がっかりした表情。
「でも、漢方の芍薬甘草湯なら、もってますが」
すでに、スススッと、あやしげなおっさん(わたくしね)から、離れはじめています。
ま、じっさい、あやしいよね。

でも、この漢方の名誉のために、ひとこと。
芍薬甘草湯は、「こむらがえり」の薬じゃありません。
筋肉が、「ギュ」となった状況を、「フワッ」とさせる薬です。

ですから、1例として、ふくらはぎがつったときに有用。
それだけじゃありません。
子宮筋がギュッとなる、生理痛にも有用。
尿管筋がギュッとなる、尿管結石にも有用。
背骨筋がギュッとなる、ぎっくり腰にも有用。

なんて、ウンチクをたれている暇はありませんでした。
くだんの女性ランナーは、もうずっと離れてしまっています。

 



西湖の北岸は、ひだまりでポカポカ。

 



意外に深い西湖のふところ。

 

西湖南岸

 

西湖をグルリと回ると、すこしコースを湖畔からずらします。
すると、古民家のならぶ一角へ。
ほのぼのとした、ふるき日本の情景。
さすが、観光マラソン。

 



急に、日本昔話の世界へ突入。

 



柿の実も、よく実っていました。

 

そこを回ると、西湖の南岸へコースがきりかわってゆきます。
大きな木立のなかを走るコースへ変貌。
空気が、ひんやりしてきました。

30キロをこえてからでしょうか。
男性ランナーが、大きな声をあげて、コース上にうずくまっています。
両下肢のつよいツレのようです。

筋肉のツレは、どこでも痛いんです。

「大丈夫ですか」
ゼンゼン大丈夫じゃなさそうです。
会話も、ままならない、うめくだけ。

ここまでくると、水分をとって、時間をかけないと、落ち着かないでしょう。
完全に、芍薬甘草湯の時間を超えています。
命にはかかわりませんが、ご本人にとっては重大事です。

こちらも、ハラを決めて、つき合います。
といって、なかなかラチはあきません。
救護の方にもお願いして、毛布をもってきてもらったり。
しかし、確実に、カラダが冷えきってゆきます。

「一度、救護所にいって、あたたまって、出直しましょう」
なんとか、納得していただきました。
救護車をまちます。
立つこともできないので、2人がかりで、持ち上げて車中へ。
「お大事に」

救護車が立ちさるのを見送ったあと、「さあ、レースに」
いえいえ、そんなに簡単には切り替えられません。
ずっと座ってのなんちゃって救護活動で、わたくしのカラダにも異変

さむい。
動かない。

あと12キロ。
君のゆく道は、果てしなく遠い。
若くはないけど、『若者たち』のフレーズが。

 



西湖南岸は、大きな木立の中のラン。

 

癒すもの

 

富士五湖ウルトラマラソンのときは、ここは80キロを超えています(100キロコース)。
太陽も、西に西に、かたむいています。
ワラジも、2足目にはきかえています。

でも、今日はまだ30キロじゃないか。
太陽も、まだ真上で微笑んでくれてるじゃないか。

気持ちを切りかえて、一歩一歩、すすみます。
カラダも、少しずつ、あたたまってきました。

陽光を反射させた西湖湖面が、とても好きです。
なんたって、サイコー(すいません)。

 



湖畔の道を、ゴールに向かって、走ります、一応。

 



西湖の湖面は、時間や天候で、刻々と表情を変えてゆきます。

 

西湖に別れをつげる文化洞トンネルをくぐると、眼下に河口湖と場面がきりかわります。
ヘロヘロとのぼった坂を、ケロケロとくだる。
すぐに、河口湖の南岸にでます。

大きな湖ですが、沿道の景色は、刻々と変化します。
それだけでも、あきません。
小さなお店もあって、いつか寄ってみたいな、というところも。

なかなか見飽きません。

 



文化洞トンネルをくぐると、西湖から河口湖へ。

 



のぼった坂を、かけおりるという生産性のない遊び、といっては身も蓋もない。

 



河口湖に向かって、ゴー。

 

そして、ゴールへ

 

河口湖大橋の下をくぐると、湖畔の向こうにゴール会場らしきものが見えてきました。
ただし、まだまだ先です。

やがて、シャトルバス発着場までやってきました。
ここから、ずいぶんと歩いたよな。

「もう少しだ、がんばれ」
沿道の声援も、聞かれるようになってきました。
「そんな、まだ、まだ、あるじゃん」とココロのなかで思う。
うーん、不良中年。

すっかり観光地街道になってきました。
ソフトクリーム屋さんが、店をあけています。
ウルトラマラソンなら、絶対ここで、アイスを食うな。
しかし、きょうは、一秒一刻をきそうフルマラソンだ。
もう、一秒一刻のレベルは、超えてますけど。

それでも、ゴールが近づいてきました。
いろいろありました。
いろいろあったけど、すべてまとめて満足です。
みんな、元気になったかな。

ゴールラインは、42キロを走りおえたときにしか見えない光景があります。
別世界になる。
タイムは4時間34分10秒(ネット)、エヘヘ。

本日、最後の課題は帰路。
小仏トンネル、東京方面は、日曜午後はたぶん渋滞
なので、反対方向に回って、清里、佐久経由の作戦。

車の走行距離は、本日360キロ。
充実した1日でした。
いつか、前泊、当日泊を楽しむレースをしたいな。

 



海岸線を思わせるような光景もあります。

 



あと1キロ、今日は終日、富士山に雲がかかりませんでした。

 



いよいよラストスパート、のつもり。

 



ゴールライン、アナウンサーの熱狂中継が響いていました。

 

たーさん
のぼりおり 終わってみれば よき思い

 

↓ よろしければ、清き1票をお願いします(1日ワンクリック有効)
にほんブログ村 その他スポーツブログ マラソンへ