土とのたわむれ
春です。
アナを掘る。
草をかく。
サクを切る。
聞きなれないコトバが、ありませか?
アナを掘る、というのは、わかりますね。
草をかく、というのは、方言ですかね。
地上にでてきた草を、根っこ部分から切りはなすことです。
たいがいの草は、これで枯れてくれます。
メヒシバは、それでも増える、というのがシャクですが。
サクを切る。
タネをまくとき、少し土をもって、平らにする作業です。
この上に、チョンとタネをまき、土をそっとかぶせてゆく。
アナを掘るときには、シャベル。
草をかくときは、草かき。
サクを切るときは、テンガ。
わたしたちの土地では、そういう名の道具も使います。
まだ耕運機がないものですから、すべて手作業。
いい運動です。
独自の動作
シャベルは、足で押しこんで、土にくい込ませます。
なので、下半身の力が肝要。
草かきは、腕でガシガシ引きながら、草たいじ。
なので、上肢の力が作業を左右する。
サク切りは、土をサッサかと盛りつけるので、脚力が勝負。
腰の力が必要です。
と、以前は思っていました。
ところが、だんだんと変わってきたのです。
いちばんの変化は、年とった、ということでしょうか。
力がなくなってきました。
ま、力なんて、モトからありませんでしたが。
ますます、なくなってきている。
それにつれて、カラダの使い方も変わってきたようです。
そして、師匠筋も見つけました。
地下タビジジイの存在です。
表現は悪いですが、尊敬の対象です。
畑名人
アナ掘り。
草かき。
サク切り。
みな、作業としては、動作がちがいます。
使う道具も、ちがいます。
ところが、だんだんと共通点がみえてきたのです。
教科書は、今も田畑で活躍する地下タビジジイの行動です。
アナ掘り名人は、草かきも、サク切りも見事。
アナ掘りは見事だけれど、ほかは見ちゃいられない、というようなことはありません。
地下タビジジイの行動には、ソツがありません。
そりゃ、筋力ウンヌンとなれば、若者にはかないません。
作業始めのスピードをとったら、若者に軍配があがるかもしれません。
ただ、ですね。
長くつづかない。
途中から、息ハアハア、汗ダラダラ。
地下タビジジイは、スピードこそ早いとはいえないかもしれませんが、何といいましょうか、気負いがない。
サマになっている。
モクモクと、作業がすすむ。
わたしも、地下タビジジイと肩をならべる年には突入してきました。
ならば、その動きの世界をめざそう。
背中が動くこと
最近、とくに感じてきたことです。
どの農作業も、背中で動く。
ザクっと、アナを掘るとき、背中で掘るとシャベルの進み方がちがう。
草かきをシャカシャカ引くとき、背中で草かきを引くと楽。
サクを盛りつけてゆくとき、背中で土を寄せるとすすむ。
そこで、ひらめいたのです。
じゃあ、他にも使えないかな。
草むしりに、道具は使いません。
しゃがんで、草をむしるだけ。
そのときも、手でむしるのではなく、背中を意識すると、動作が楽になる。
カマを使って、草を刈るときも、同様。
カマの動きを、背中と連動させてみる。
あれあれ、背中を意識すると、動作がちょっと変わるかも。
まったくちがう世界。
超音波エコーをガイドに、首ネッコの静脈などに、カテーテルをさし込む手技があります。
中心静脈穿刺。
これも、手で押しこむより、背中ですすむ感覚にしたほうが、針の動きがスムース。
の、ような気がします。
それじゃ、走りはどうなる
で、本題に入ります。
走るときには、どうなんでしょうか。
走るさい、あまり背中を意識することはありません。
意識するとすれば、足さばきとか、姿勢とか、息継ぎとか。
背中は、単に最後についているだけの存在。
そこで、あえて背中を意識してみる。
背中から、走ってみる。
いや、背中も、広うございます。
ランドセルをしょったときに当たる部分をいいます。
本ブログでは、それらを総称して「ランドセル筋」と命名させていただいております。
ランドセルをしょった感覚をもつ。
そのまま、ランドセルを押された感じで、前に出る、走る。
しつこいですが、ランドセルを押された感覚です。
すると、いままでと感覚が変わってきませんか。
変わるはずです。
ランドセルをしょって走るなんて、何十年もしていませんから。
まして、ランドセルを押される感覚なんて。
いがいと、カラダが楽に前にすすむ感じになります、わたしの場合。
これって、シャベルが、草かきが、テンガが、少し使いやすくなったのと重なる感覚です。
脚が、ランドセルの下から伸びているような気分にさえなります。
もともと、小マタなのに、一歩が長くなった感じ。
農作業と、ランドセルと、走りは、つながっているのかもしれません。
よかったら、いちど試してみてください。
さあ、新学期ももうすぐです。
ランドセル 押された感じで 走りだす
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