「きょういく」と「きょうよう」

うっちゃり

「きょういく」と「きょうよう」

オマエに、何が語れるの？
オマエにゃあ、出番はありませんよ。

真っ先に、こんな風に、いわれそうです。
はい、自分でも、わきまえています。
およびじゃない。
植木等の世界ですね。

ところが、日本語は、奥が深いのです。
なにしろ、「２本語」ともいえるくらいですから。

そうです、「きょういく」も「きょうよう」も、２本立て。
２つの意味を、もたせることができるんです。

ふつう、「きょういく」といったら「教育」。
「きょうよう」といったら「教養」。
そして、この世界は、たしかに、わたしの出番はありません。
エンもない。

これから考えたいのは「今日行く」「今日用」です。
みごと、うっちゃりできますでしょうか？

今日行く

１日のはじまりは、どこをスタートとしたらよいでしょうか。
まず前日の夜、ねむりにつきます。
すやすや。

そのあとの第一歩を、１日のはじまりとしてみます。
すると、具体的には、何になるでしょうか。

トイレにゆく。
ま、わたくしの場合、こんなものです。

ときに、それは真夜中（年とったなあ）。
ときに、明け方。

真夜中の場合は、もう１度、しきりなおし、すやすや。
明け方だったら、そのまま朝へ。

時間によっては、本を読んだり。
そして少々のナンチャッテ体操で目覚めさせたら、外への徘徊。

目覚まし時計を鳴らすことは、ありません。
自然に、目がさめてしまいます。
さめなくなったら、サヨナラ。

そうです、今日行く第一歩は、トイレと徘徊。

今日用

起きて最初の用事は、トイレです。
つぎに、本に手をだしたり。
次には、ナンチャッテ体操。
そして、徘徊。

単純です。
毎日、同じ繰り返しで、変化球はありません。
徘徊からもどって、汗をかいていたら、わかし湯にドボン。
そうでなければ、顔をあらって、どっちにしろおフロそーじ。
ゴミ出しの日は、ゴミ整理。
なんだ、かんだで、やることはあります。

単純行動のよいところ。
それは、アタマを必要としない、ことでしょうか。
なので、今でも、つづけられる。

余分なことは、考えない。
というより、だんだん、考えられなくなっている。
とりあえず、行動にでる。

用事は、カラダでするものです。
アタマは、何かと、理由をつけたがる。

今日は、寒いぞ。
雨が、降ってるじゃん。
きのう、疲れたよな。

朝から、アタマが威張りすぎると、ろくなことはありません。

今日の「用」の第一歩は、トイレと徘徊。
そのあと、おフロの掃除。

お達者老人

自分の歳になると、いつまで走っていられるかな、と考えます。
どんだけ早く、というお歳ごろでは、ありません。

そのための工夫を考えるのは、たのしい。
その中でも、ピカリと光るお手本があります。
周囲で活動している、お達者老人の生き方です。
自分も、老人のお仲間ですし。

共通点を、見つけました。

今日、行くところがある生活。
今日、用がある生活。

いえいえ、そんな大それた行き先や用事ではありません。

まず、トイレにゆく。
家の前の畑にゆく。
草をむしる。
大根を抜いてくる。
ゴハンの用意をする。

そんな「今日行く」ところと「今日用」のある毎日。
それを繰り返していたら、いつのまにか、90を超えていた。
おそれいります。

ぎゃくに、どこにも行かない、用はない。
そういうのを、寝たきりといいます。

まず、スタート

とりあえず、カラダを動かしてみる。
朝なら、フトンから、出てみる。

そこから、１日がはじまります。
今日のスタート。
動きはじめたら、しめたものです。

そのための条件は？
今日行く、ところをつくっておく。
今日の用を、つくっておく。

これを、「きょういく」と「きょうよう」を身につける、といいます。
わたくし、残念ながら、教育と教養には、エンがありませんでした。
でも、朝１番の、今日行くと今日用は、身につきました。

そして、これは、だれが、いくつになっても、できそうです。
要は、やる気持ちと環境。

１週間の入院で、ヨレヨレになってしまう方（おもにお年寄り）は多いです。
それは、「きょういく」と「きょうよう」が遮断されてしまうから。
施設に入っても、同様ですね。
「あぶないから、勝手にベッドから降りないで」なんて。

「今日行く」ところを、いくつ持っていますか？
「今日用」が、いくつありますか？

昔の子どもは、朝から、そういうのがイッパイありませんでしたか？
いわゆる、お手伝い。

「今日行く」ところがなければ、教育したってねえ。
「今日用」がなければ、教養をたくわえたってねえ。

朝のランニングは、その両方を兼ね備えているんだよ。
お散歩でもね。
うーん、できすぎた言い訳。