歩き型で、ここまでちがう、カラダの使い方

たかが歩きですが

歩き型は、前足に体重がのる「前足歩き」と、うしろ足に体重がのる「うしろ足歩き」の2つに大別されます。

わたしたちは、この両者を、無意識に使いわけてくらしています。
たとえば、階段をおりるときは前足に体重をのせる前足歩き、のぼるときはうしろ足に体重をのせるうしろ足歩きになります。

そして平地では、圧倒的に、うしろ足歩きの方が多い、とのべさせていただきました。

でも、なんでこんな分類を持ちだすのでしょうか。

単なる分類だけでしたら、オタクの趣味です。

ところが、歩き型のちがいが、カラダの使い方の差になっているとしたら、どうでしょうか。

そうなんですか。
そうなんですよ、というのが今回のテーマです。

ちがいを、みてゆきます。

こんなにちがうか、カラダの使い方

ここでは、おおきく「5つ」の着眼点を考えてみたいと思います。
こんなに、ちがうものなんですか?

その1、支える足の部位

うしろ足歩き」で体重を支えるうしろ足は、「体重」と「前にすすむ推進力」の2つです。
両者は、「地面をける力」とまとめることも可能です。
地面をけり出す力で、体重を支えつつ、前にすすみます。

特に「推進力」という動的な力の主役は「筋肉」です。
ごぞんじ、「ふくらはぎ」が大活躍。

うしろ足歩き」でいっぱい歩く人は、そのため見事なふくらはぎに成長しています。
現代人の特徴でしょうか。

一方、「前足歩き」で体重を支える前足は、真上にのった「体重だけ」です。
真上で、しかも体重のみなので、支える主役は「」になります。

中心は「脛骨」ですが、名前にこだわらなくても、きちんと支えてくれます。

前足歩き」になりますと、足は支えるだけで筋肉の出番は少なくなりますので、筋肉の成長はあまり期待できません。

ハダシ歩きで育ったケニア人ランナーは、きれいな前足歩きです。
なので、ウデのような足にしか見えません。
そんな足でも、ちゃんと走っています。
いえ、ちゃんとどころの比じゃない走り方をみせていますね。

その2、前にすすむ力

うしろ足歩き」ですすむ人は、うしろ足で体重を支える間に、前足をモモからもち上げ、前につき出してゆくことで前進します。

前足の筋肉も、精一杯つかいます。
そのため、モモ筋肉も、成長してゆきます。

つまり、「前後両方の足の筋肉の共同体」が、うしろ足歩きのエンジンになります。

前足歩き」では、すでに前にある足は地面についていて、もち上げたり、前につき出したりはできません。
前に出せるのは、オシリのホッペあたりからとなります。

オシリから前に出てゆく。
同じ感覚として、オナカも出てゆく。
つまり、「体幹」が、前足歩きのエンジンになります。

体幹は、直接見ることはできませんので、成長具合を確認することは、ちょっとむつかしい。
しいていうと、腰がすこし立ってくる感じでしょうか。

うしろ足は、オシリから引っぱられてついてくるだけ。
ですので、地面をけれない、けらない、力をこめられない。

その3、着地の仕方

うしろ足歩き」では、前足はおおきくつき出すため、カカトから地面に着いてゆきます。
カカト着地、といわれています。

その場とびジャンプをしてみれば一発でわかりますが、カカトからの着地は、足の先から脳天までおおきな衝撃が入ります。
そのため、とくに足底、足首、スネ、ヒザ、股関節などを痛めないよう、クッション性のいいシューズの使用が大切となります。

前足歩き」になると、小ユビ山から着地します。
小ユビの付け根を中心とした、足裏のことです。

これは、その場とびジャンプで着地するときにつかう足裏と同じです。

小ユビ山からの着地は、アシ裏から足首、ヒザ、股関節、上体とカラダ全体のクッション性を反射運動として利用するため、フワッとしたものになります。
あるいは、ほとんど地面に着けるだけ、というくらいの感覚になります。

ですから、本当はシューズもいらないくらいです。
でも、そうすると足はよごれる、地面の暑さ寒さもある、ということで足裏感覚をじゃましない薄底のシューズが欲しくなります。
理想をいえば、小ユビ山と親ユビ山の感覚をわける「ハナオ」のあるハキモノが欲しい。

その4、歩幅の差

うしろ足歩き」では、うしろ足で踏んばりながら前足をふみ出すために、歩幅が広くなります。
力強い、おおきな一歩、となります。

多くの運動家は、この「大マタ」「力強さ」を推奨しています。
運動リハビリ、高齢者リハビリの世界でも、同様です。
すなわち、うしろ足歩きのすすめ、ということです。

時代の脚光。
西洋的ですねえ。

前足歩き」は、すぐに前の足が着地するので、おおきな一歩をえることはむつかしいです。
小マタ歩き、です。

逆に、小マタ歩きを意識していると、「うしろ足歩き」が「前足歩き」に変わりはじめてきます。
おっと、これは時代の逆行ですか?

その5、にあう衣装

うしろ足歩き」は、カラダ全体を、とくに下半身をダイナミックにつかいます。
そのため、動きやすいズボン類が望ましい。
くわえて、ハキモノは、クッション性のよいもの。

これは、現代の衣料界のニーズに合っています。
「うしろ足歩き」と「現代ファッション」のコラボ。
ランニング雑誌なのに、ファッション誌かとみまちがうようなはなやかさ。
見事です。

前足歩き」は、どちらかというと、立ちんぼのチマチマ動作です。
この動作にあう衣装が、キモノでした。
ハキモノは、小ユビ山を利用して歩くので、ハナオ構造のものがよく合います。

うーん、前足歩きの似合う時代は、江戸時代になってしまうでしょうか。

ちがいを、どう活かしましょうか

うしろ足歩きと、前足歩き。

体重をのせる足のちがい、だけだと思っていたら、アレま、と結構な全身性の特徴があったようです。

とはいえ、近所の散歩くらいでしたら、ドッチでもいいかもしれません。
実際、ふつうの方に話しても、なかなか興味をもってはもらえません。
内容の問題なのか、わたしの人格的問題なのか。

ところが、歩く時間距離が長くなるにつれ、カラダへの影響はおおきくなってゆきます。
なにしろ、カラダの使い方が、大幅にちがうわけですから。

そして走りへとつながってゆくと、さらに、さらに、影響はおおきくなってゆきます。

さらに、考えてゆきたいと思います。
いろんな活用法が生まれてきます。

たーさん

気づくこと で生まれ変わる カラダかな

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